老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

昔は若かった

2022-03-20 08:40:12 | 老いの光影 第7章 「老人のねがい」
1852 小さい春見つけた





日曜の朝も beagle元気と散歩
路端に小さい春を見つけた
小さい小さい蕗のとうが顔を出し
「おはよう」、と聲をかけてくれた

老いても男は我儘で
病や寝たきりになると
元気が失せ妻に甘えてしまう

老妻が老夫の介護をする方が多いのかもしれない
振り返って見て
老夫が老妻の介護をされた家族を
思い出そうとするが思い浮かばない
献身的に妻を介護されている夫の話(ブログ)を目にする

三十年も昔の話です
特別養護老人ホーム開設の準備をしているときで
暇な時間がありました。

自分の他に福祉専門学校の教え子が2人いた。
3人で老夫婦のお宅を週2回訪れていた。
その家は75歳の夫が72歳の妻の介護をされていた。
妻は脳梗塞後遺症で歩けず左半身麻痺(要介護3の状態にあった)
まだ介護保険サービスはなく、花婆さんは、家で三毛猫と過ごしていた。

夫は測量の仕事をしていた。
時々、ライトバンに乗せたまま 測量しながら妻の様子を見たりする。
夏など暑く、脱水症になりはぐったこともあった。
車椅子に座り、食卓にはおにぎりやおかずがならんでいた。

花さんの手におにぎりを持っていたものの
飼い猫 三毛に食べられいた。

ご主人の了解を得て
自分達3人は花さんの家をおじゃました
いつも午後3時過ぎ頃
「花さ〜ん」と声をかけ家に入る

オンボロ車(30万円の中古車)の助手席に花さんを乗せ
地元のスーパーマーケットまで夕食の食材を買い出しに行った。
外に出た時の話さんの表情は恵比寿顔。
花さんは顔じゅうにソフトクリームをつけ、手鏡で映った顔を見て笑っていた。

女の子二人は夕食作り
自分は話し相手。
勿論オムツ交換もした。

6時半過ぎ夫が仕事から帰ってくる。
5人でワイワイしながら夕食を食べた。
自分たちは夕食をご馳走になった。

8時過ぎになると、自分と若い 昌枝さんと
花さんをお風呂に入れた
ご主人にお風呂の入れ方を見ていただき
「こうするといいよ」、と押し売りの介護をした。

ご主人は、我流で妻をお風呂に入れていた。
(週に5日ご主人は妻をお風呂に入れていた)

夫の方が痩せていたが、腕力があったので
力まかせに浴槽に入れる。
タイヤ中に入っているゴムチューブを切り
それを妻の片腕に通し、浴槽のなかに入れていた。

体は洗わない、お湯に浸かるだけ。
お風呂に入っている間は(4分位)
居間で夫は一服している。
見に行ったら体が傾いていたこともあった。

乱暴なお風呂の入れ方ではあったが
自分たちは夫の入浴の仕方を認めた。
仕事をしながらオムツを取り替え、お風呂にいれ
食事もつくる
なかなかできるものではない
愛情があるんだな、と傍目で感じた。

お風呂が終わったら、花さんは蒲団の中。
その後十時頃まで、ご主人といろんな話をした。
食事をご馳走になってしまったが、
貴重な体験をさせてもらった。

ふと、昔若かった頃の在宅介護の風景を思い出した。