自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャガイモ栽培物語《真正種子編》(10)

2015-04-03 | ジャガイモ

以下は科学教室での話題です。せっかくなので,子どもを中心にしてできるだけ多く方にジャガイモの種子を蒔いてもらいたくて「ジャガイモを種から育てよう」と呼びかけました。集まったのが8人。

種子を見せると,「こんなに小さいの?」とみんなびっくり。播種して発芽させた実物を提示すると,みんながアッとびっくり。さらに,もう一つのびっくり話があります。

種子を提示して,問題を出したのです。問題の内容は「ジャガイモは,次のどの野菜と同じなかまでしょうか。キュウリ,サツマイモ,キャベツ,トマト,タマネギ,ニンジン」というもの。

さて,正解はあったかというと,ありませんでした。結果は,サツマイモ(6人),キャベツ(1人),タマネギ(1人)。おとなも不正解です。高校生も! 誰一人として正解しなかったというのはふしぎなぐらいです。これが三つめのびっくり話です。

なんのなかまか考えるのは,分類,あるいは比較といった範疇での話です。いうまでもなく,分類は,なんらかの基準に従ってわける操作を指します。比較は,なんらかの基準に従って比べ合わせる行為のことです。どちらも対象物を分析的・総合的に検討する際の,たいせつな思考手段です。自然なら,個々のコトやモノを広く,深く,そして具体的に捉える重要な糸口になります。

結果は不正解だったのですが,全員なんとか理由を考えようとしました。「サツマイモもジャガイモもイモだ」「サツマイモとかたちが似ている」「キャベツのなかまだと,どこかで聞いたことがあるような気がする」「タマネギとでき方が似ている」。そんなふうです。

しかし,分類の基準を“花の属性”と関連付けて判断しようとする人はありませんでした。ジャガイモがナス科であり,サツマイモがヒルガオ科であることはまったく思いも寄らなかったのです。それで,図鑑を手がかりにしてトマトと同じナス科だとわかったときは「へぇー!」と,みんな大驚き。


自然との直接対話ととおして植物に親しむ上で,ある程度なかまわけができたり,同じなかまが類推できたりすると強力な武器になるでしょう。そうした見方ができるようになると,目の前の自然がまたゆたかに見え始めるはずです。 

夏には,タネイモを植えたジャガイモに実(種子)が生るでしょう。これを見てもらおうと思っています。またまた,びっくり顔が見られるでしょう。