トキワハゼが可憐な花を付けて,群落を挙げて昆虫を誘っています。漢字を当てはめると,『常盤はぜ』 です。『野に咲く花』(山と渓谷社刊)によれば,由来は「ほぼ1年中花が見られ,果実がはぜるからという」と紹介されています。
こういう特徴ある花を見ると,いったいどんな昆虫が訪れるのか,気になります。それが,まったく偶然,昆虫を一種見ることになったのです。それはハナバチです。ニッポンヒゲナガハナバチ,あるいはシロスジヒゲナガハナアブでしょう。二つの違いは翅脈を比べるとわかるそうですが,わたしには区別はつきません。
触覚は,からだの大きさに不釣合いな程立派です。感覚器官としての威力をグイグイ発揮しているにちがいありません。
下唇にからだを置き,花の奥にある蜜源を覗いています。
ほんのしばらくのことでしたが,様子を観察していると確かに蜜を口にしていました。
たった一匹しか見ませんでしたが,ひととき,花の色とかたちは虫を招くことに成功したのです。結果,ハナアブは送粉者として見事に役目を果たしたことになります。
ついで話。よくよく思い出せば,このハナアブがカラスノエンドウの花を訪れているのを見かけたことがあります。花のしくみがなんだか似ています。