自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

北陸,こんな旅

2015-04-10 | 旅行

1年ぶりに北陸を訪ねました。人と出会い,桜を見るというのが目的でした。 

この日は曇り空。とても寒くて,風が強く吹いていました。

そんな中,わたしが気にいっている桜並木は,ちょうど満開を迎えていました。木々は若木ばかり。樹姿が初々しいばかりでプチプチしていました。それに樹皮のツヤが見事。整列した若木たちは地平線の向こうまで続いていました。なんだか,未来につながっているようで。


防寒着で身を包み,マスクをして息が楽にできるように対策を講じて,しばしウォーキング。遥かかなたの雪山と,目の前の桜と麦田が北国の春を特徴付けています。並木の下を行く自転車が,のどかさを語っているようです。こういう風景を見ると,「ああ,来てよかった」と思わず感じてしまいます。 



海岸にも足を運びました。太陽が傾く砂浜に,骨だけになった魚のからだが一つ。これが,虫の目写真の格好の被写体になってくれました。 いつか,どこかで,なにかの理由でこうなる運命に出会ったのでしょう。しずかな風景です。

 
一年前に新聞で知った,書籍編集発行所の店主Kさんを訪ねました。「こんな本作りをする人が,この世にいらっしゃるのか」と驚き入るスタイルで,本作りをたのしんでいらっしゃる方です。

なんの事前連絡もせず,突然お伺いしたにもかかわらず,情熱を込めて本作りの楽しさを次々と語ってくださいました。わたしは,その話にどんどん引き込まれるのを感じました。


どの本も特装本です。装丁は凝りに凝ったものばかり。本の函に,切り揃えた細竹を張り付けたもの。木の函に,特別な処理を施して着色し,一部に穴を開けて,表紙が少し見えるようにしたもの。表紙に布やアルミを張って加工したもの。

もちろん,中身の編集も工夫だらけ。奥付けのおもしろさにも舌を巻いてしまいました。

こんなわけですから,大量生産などとてもできませんし,書店に並べることだってできません。ネットを通して直接取引をされているといいます。しかし,「これで,生活できるのかなあ」とついつい感じてしまいました。

そこまで本作りに精力を費やして,たのしんでいらっしゃるとは。「ふつうの商売とちがって,わたしは売れない本を作っています」。これはKさんのことば。大量生産で版を重ねる一般の出版社とはまったく異なった次元で,本を一冊一冊愛しい思いで仕上げる思想に触れ,こころから感嘆。

こんなわけで,自然とも人とも,また新しい出会いができた今回の旅。十分,充実したひとときを過ごせました。