自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ヒゲナガハナバチのおもしろい生態(追加版)

2015-04-21 | 昆虫

シロスジヒゲナガバチか,ニッポンヒゲナガバチか,それはわかりません。そうした分類は,今はどちらでもよいのです。

いずれであっても,わたしのこころの内では,このヒゲナガバチの棲息のおもしろさは益々強まっています。いつ行っても,畑のブロッコリーの花にヒゲナガバチが集まっている箇所があります。 


触覚が長い個体はオスだといいます。とすれば,写真に写っている個体たちはすべてオスということになります。 


近づいてよく見ると,顔はいかついような,世にもふしぎな形相をしているような,この昆虫ならではの風貌に見えます。 

 
夜休むときは,頭を上にし,からだが落下しないように大顎を蕾に突き刺しているって,おもしろいなあと感じます。


そのときの姿を横から見ると,確かに大顎の威力が伝わってきます。 


昨年4月29日付けの記事『オドリコソウとヒゲナガハナバチ』と,すこしつながってこの個体が見え始めました。そのとき,個体は単独行動をしていました。

それについ最近,他の場所で地表すれすれで群飛するヒゲナガハナバチを見かけました。調べてみると,ニッポンヒゲナガハナバチは地中に巣をつくり,単独生活をする,とか。春だけに出現するとも。なら,そのときの群飛の意味はなんだったのでしょうか。ときどき地上に降り立つ個体があったのは,巣が近くにあるためなのかもしれません。

それで,このハナバチが益々おもしろく感じられてきたのです。

 


あちらこちらにヤブキリ

2015-04-21 | タンポポ

今の時期,タンポポがどっさり咲いています。在来種も外来種も元気いっぱいです。在来種はけっして負けることなく,縄張りをつくって生きています。

それらのタンポポを見ていると,ごく小さなバッタの幼虫がいることがわかります。あちこちにいて目立つので,ふしぎに思うほどです。これはヤブキリの若齢幼虫で,背中に褐色の筋が一本走っているのが特徴です。


からだの大きさに不釣合いな程の触覚は,人間の目にはスマートさを演出するのに成功しているのですが,もちろん,格好良く見せるための道具なのではありません。触覚は,匂いや振動を感じる高感度センサーです。

からだには花粉がどっさり付着しています。大好物のタンポポを訪れ,花粉や花弁などを食している証拠です。タイミングがよければ,食べている瞬間を観察することができます。見ているうちに,ここを訪れる前,離れたところから,この花にセンサーを近づけて好物かどうか確認している姿が浮かんできました。

人が近づくと,あるいはそっと近寄っても,とても敏感で,警戒心が強くて花の裏側に隠れることがよくあります。これは複眼で姿を感知するほか,触覚で空気の振動を感じたからなのでしょう。

したがって,ヤブキリの幼虫を接写しようとすると,触覚に感知されないように注意を払わなくてはなりません。こんなことでも,いのちのふしぎ,巧みを感じます。

ついでに,察知されず,うまく被写体にできたコマを二つばかり。

 


こちらはキリギリス。背中の筋は二本なので,ヤブキリと区別が付きます。ちょうど蕊を食している最中でした。おいしそうな顔に見えますが,どうでしょうか。


後方には,蕊の先を食べられた花柱がポツンポツンと立っています。

意識的に目を向けると,意外な世界がタンポポにも広がっています。