自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

モンキアゲハ,羽化に向かって(2)

2015-09-04 | モンキアゲハ

8月28日(金)。2匹の幼虫に,はっきり成長の差が現れています。大きい個体をA,小さい方をBと呼んでいくことにします。Aの体長は20mm,Bは15mm。これだけの差は,たぶん食餌量の差からくるものと思われます。

Aはいつの間にか4齢になっているようです。びっくりするほどの成長ぶりです。


並べて置くと,よくわかります。


休むところは,必ず同じ場所。食べるところは別の葉で,食べ終えるとまたもとの場所に戻ってきます。

8月31日(月)。Aは体長30mm。指を触れると臭角を出しましたが,それっきりであとは出しませんでした。


Bの体長20mm。脱皮し終えたばかりのようです。個体Aを目安にして考えると,これで4齢になったのでしょう。でも,体長がすごく小さいのがふしぎです。

 
しばらくして個体Aが葉を食べているのを撮りました。ガツガツ食べているのが印象的でした。

 

 


産卵行動,目撃

2015-09-03 | ヤマトシジミ

アゲハの庭園にて。

手入れをしていると,そこに置いた植木鉢にヤマトシジミが一匹。植木鉢は,モンシロチョウの幼虫用にと思い,イヌガラシを数株植えて放っておいているものです。イヌガラシの根元にカタバミが生えていて,そこを成虫が訪れたのです。

とまってじっとしているので,もしかすると産卵するのかもしれないと予感。カメラのスイッチをON状態で待つことにしました。


待つこと5分。向きを変えたので,どうするのかなと思っていると,下に降り始めました。これこそ産卵行動のしるしです。


息を呑み込むようにして,行動を見守りました。下に降りたヤマトシジミは,歩いて近くの葉に移動。そして,一枚の葉の裏側に産卵孔をくっ付けて産卵したのです。待っていたこの瞬間!


卵を産み終えると,さらに歩いて別の葉に。そうして,そこでも卵を一粒産卵しました。その後,さっさと舞い上がっていきました。 

 
この瞬間を待っていて産卵を観察。期待外れでがっかり,ってことでなく,前後の様子を一部始終見届けることができました。なんとも幸運な目撃となりました。 

 


ヒマワリの花紙!

2015-09-02 | 野草紙

ヒマワリやマリーゴールドは花壇の植物です。サルビアやカンナもそう。ミニトマトやカボチャやスイカは畑の野菜。それらは野草ではありません。

なのに,それらを野草の範疇で扱い,それらからつくる紙も,わたしは『野草紙』とくくって呼んでいます。理由は簡単です。植物一般をまず野草の視点でとらえる習慣がわたしの身に付いているからにすぎません。さらに,人類が,もともと野草であった植物を花壇や畑の栽培植物に仕立てていった歴史を考えると,それらだってとくべつな『野草』として扱ってもまったく不正解とも思えません。

野生のゾウが排泄する糞からつくる紙は明らかに野草紙です。動物園で飼育員から餌を与えられ,それを食べるゾウが排泄する糞からつくる紙は,明らかに純粋な野草紙ではありません。でも,そうした区分にこだわることはほとんど意味がないように,わたしには思われます。カボチャを数個食べていれば,糞からつくる紙はもう野草紙ではない,なんて話になったりしてはおもしろくもありません。

窮屈に考えることなく,ざあーっと『野草紙』という枠組みでとらえたいと思うのです。

さて,花壇に咲くヒマワリの花弁を材料に紙を漉きました。黄色の紙ができるでしょうか。

 


煮ると,かなりの紙料が取り出せました。花弁の名残りが見えます。それが見える程度で煮終わったといった方が合っています。色は黄色です。 


それを漉きました。サイズはA4。 


盆を過ぎると,乾きが途端に悪くなります。そのため天気のよい日を選んで漉き,できるだけ早く乾燥させるのがコツです。色はかなり変わっていますが,もとの黄色が連想できます。

 


今回,注意を払って乾かしたのですが,最終段階で枠から紙が剥がれかけました。たぶん,厚手の紙にしようとして多めに紙料を入れたためか,あるいはサイズが大き過ぎたためかと思われます。それによって,繊維の収縮力が,繊維と木枠との密着力に打ちかったのでしょう。対策として小さなサイズを漉くとか,もう少し薄く漉いていたらどうだったでしょうか。チャンスをみて,再びつくってみようと思います。  

 


キツネノカミソリ紙!

2015-09-01 | 野草紙

キツネノカミソリという名は,なかなか趣きのあることばです。命名した人のオシャレ度が伝わってきそうです。葉のかたちから剃刀(かみそり)を連想するという理由で名付けられたといいます。「狐の」という接頭語がなぜ付いているのか,わたしにはわかりません。

それはともかく,キツネノカミソリはヒガンバナ科の野草です。花期は8月で,ヒガンバナより1カ月以上早い感じです。土手や斜面で群落をつくっているのを見ると,なかなか見応えがあります。あるところにはあって,ないところにはちっともないという程度の自生ぶりですから,ヒガンバナほどの強烈な印象はありません。しかしその花を見ると,なんだか慎み深い花という感じがわたしにはしてきて,こころが和む気持ちがします。


花の色は黄赤と言い表せる穏やかな赤色です。じつは,その突然変異種である,真っ白な花をずっと以前に群落で見つけました。それを持ち帰って栽培しているのですが,毎年同じように鮮やかな白い花を付けてわたしの目を楽しませてくれています。

このキツネノカミソリの花茎を材料にして野草紙を漉いてみましょう。ヒガンバナ科の植物は,ナツズイセンもそうなのですが,透明感のあるツヤ紙といったすてきな紙に仕上がります。


作り方はとても簡単です。花茎をアルカリ剤(重曹)をすこしだけ加えて煮ます。もともと繊維が弱いので,たくさん入れると繊維そのものが頼りなくなります。煮る時間は30分程度で十分。

煮終わったら,揉み洗いします。ミキサーを使う必要はありません。洗っているうちに,長い繊維,短い繊維というふうに適当に入り混じって紙料ができます。


それが紙料そのものなのです。

次に紙料を木枠に流し込みます。


枠を外して乾燥させれば,これで完成! 暑い日なら一日で乾きます。ふしぎな質感の紙が出来上がります。