●今日の一枚 280●
Toshiko Mariano Quartet
今日は車で1時間程の妻の実家で家族と合流する予定だったが、疲れが溜まったせいか身体全体がだるく、予定をキャンセルした。QPコーワゴールドを飲み、昼間から熱い風呂に入ったら、身体の方のコンディションもだいぶ改善された。したがって、必然的に、今宵も「ジャズ喫茶ごっこ」第2夜である。
何を聴こうか迷った挙句、たまたま目についたのは秋吉敏子&チャーリー・マリアーノの1960年録音作品『トシコ・マリアーノ・カルテット』である。チャーリー・マリアーノと結婚したばかりのトシコが発表した初期の快作である。ベースの柔らかい音がとても気に入っており、以前はよく聴いたアルバムである。愛聴盤だったといってもいい。最近はなぜか聴く機会が少なくなってしまった。
やはり、名曲⑤ Long Yellow Load が印象深い。トシコが生まれ育った満州の長い黄色い道と、アメリカのジャズの世界で黄色人種の演奏家として歩き続けていく長く険しい道をシンクロさせたこの名曲は、それ自体素晴らしいが、チャーリー・マリアーノの哀愁のアルトがそれを際立たせている。正直いえば、この演奏におけるトシコのソロはやや凡庸なものに思え、チャーリー・マリアーノのソロもやや冗長で、意味不明のことをだらだらと長くしゃべる頭の悪さ(ちょっといいすぎ?)を感じてしまうのだが、美しく印象的なテーマ部のアレンジと演奏のまとまりは、やはり出色である。素晴らしい。感動的な演奏だ。
これまで⑤ Long Yellow Load の印象が非常に強く、この曲だけを繰り返し聴くことの多かったこのアルバムであるが、今回の「ジャズ喫茶ごっこ」で大音響で全5曲を通して聴いてみると、そのどれもが中々に素晴らしい演奏であることを再認識した。やはり、「ジャズ喫茶ごっこ」は時々やってみるものである。