WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

サルベージ船

2011年06月11日 | 大津波の現場から

 大津波から3ヶ月、私の住む街は、大津波の跡はまだまだ生々しいが、それでも瓦礫は減ってきており、復旧作業は確実に進んでいるようにみえる。もちろん、経済的なことも含めた、街の復興・再生はこれからのことであり、いくつものハードルを越えねばならないだろうが……。

 2週間程前、海岸付近をクルマで走っていると、見たこともない大きなクレーンをもつサルベージ船を見かけた。恐らくは、大津波で流され陸地に乗り上げてしまった船を引き上げるための物なのだろう。あまりにめずらしいので、思わずクルマを止めてシャッターを切ってしまった。かなり遠くまで離れたのだが、全貌がおさまりきらないほどの大きさだった。

 ただ、陸地に乗り上げた船の中には、このサルベージ船をもってしても引き上げ困難なほど巨大な船がいくつもある。どう考えても困難だと、素人目にもはっきりとわかるほどの巨大な船である。これらの船をいったいどのようにして海に戻すのだろうか。単純な疑問だが、個人的にはとても興味をひかれる。

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「悪臭」・「震災バエ」(加筆)

2011年06月11日 | 大津波の現場から

 あの大津波から3ヶ月たった。それにしても、昨日も臭かった。

 私の住む街では、大津波襲来現場を中心に以前記したような悪臭問題が深刻化している。冷凍工場から魚や魚のすり身、つり餌などが流出して腐敗し、悪臭を放っているのだ。被災現場はもちろんのことだが、風の向きによっては現場からかなり離れた場所でも強い悪臭となることもしばしばだ。現場から数百メートルの私の家でも、日によってかなりの悪臭を感じ、気軽に窓などあけられない状況である。家に近い被災現場が瓦礫置き場になったこともそれに拍車をかけているのかもしれない。

 悪臭は大津波の数日後からあったが、当時は気が張っていたこともあり、なんとか我慢できた。しかし、生活も落ち着き始めている現在、この悪臭は我々の神経にボディーブローのようにじわじわとダメージを与えてくる。私なども日によっては、もう限界だなどと絶望的な気分になることもある。もちろん、気を取り直して日常生活にもどるわけだが……。

 最近では、この悪臭現場を中心に「震災バエ」が問題化している。腐敗物から緑色のピカピカした大型のハエが大量発生しているのだ。場所によっては洗濯物を干すことも困難な程のようだ。一週間ほど前の朝、早起きして庭の草花に水をやっていると、私の家の壁(クリーム色だ)にたくさんのハエがたかっているのを発見、ハエたたきを使って10分程で40~50匹のハエを撃退したがむなしく、状況の根本的解決には程遠い有様だった。清潔を旨とするコンビニの中をハエが飛んでいることもしばしばだ。行政も被災現場に薬品をまくなどの対応をしているようで、ここ数日ハエの数は若干減ったが、根本的解決とはなっておらず、また暑い日々が続けばハエは増加するものと思われる。次の写真は今日の我が家の様子である。ああ、気持ち悪い。お食事中の方、すみませんでした。

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 数日前の「回覧板」では、「ペットボトルの集ハエ容器」なるものも紹介された。この装置に、お酒1合、酢1合、砂糖1合でつくった溶液を入れるのだそうで、グレープフルーツジュースを入れるとさらに効果的であるとあった。まだ実践していないので、効果の程はさだかではないが、そのうちやってみようかと考えている。

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  今年の夏は「節電ファシズム」が到来しそうな雰囲気であるが、エアコン使用をせず、悪臭と震災バエのために窓もあけられず、蒸し風呂のような室内で扇風機を回している光景を思い描くと、絶望的な気持ちになる。そもそもエアコンを使ったところで、外の空気を取り込むわけで、悪臭が室内に侵入する問題は避けられない。

 一体、どうしたらいいのだろう。我々東北人は我慢強いらしいので、やはり我慢するしかないのだろう。