●今日の一枚 371●
The Style Council
Our favourite Shop
この土日は、私の住む街のみなと祭りだ。震災後の経済的状況が厳しいらしく、かつては2時間近くやっていた花火大会もわずか30分間のみだが、復興支援のボランティア団体などの参加もあって、それなりに盛況のようだ。かつてはお祭り男だった私だが、年齢とともに喧騒と人間関係がわずらわしくなり、現在ではほとんど祭りには参加しない「非国民」になってしまった。地元ケーブルテレビでの実況放映もほとんど視ず、会場へ足を運ぶこともないが、明日は次男が打囃子に出演するので送り迎えぐらいはしなければなるまいと思っている。
スタイル・カウンシルの1985年作品、『Our Favourite Shop』である。私はどちらかというと、前作の『Cafe Bleu』の方が好きなのだが、もちろんこのアルバムも悪くはない。ジャージーな部分は影を潜めたが、サウンド的にはソフィスティケートされてよりポップでスタイリッシュになった。ちょっと前にクルマのHDDに入れてから、よく聴くようになった。20数年ぶりだ。非常に洗練されたサウンドであるにもかかわらず、どこかに荒々しさの痕跡を残し、サッチャー政権へのアンチを隠そうとしなかった彼らのスタイルに私は好感をもつ。
スタイル・カウンシルが活躍した1980年代以降、世界も日本もその根幹が大きく変わってしまったようにみえる。例えば、経済における格差の拡大と、政治・社会における「右」へのシフトてある。50歳を過ぎて、そのことの意味をきちんと理解したいと思うようになった。昨年の秋ごろから、ミルトン・フリードマンを中心とする市場原理主義者と、それらを批判した書物を時間をみつけては読み続けている。仕事のために作業は遅々として進まず、また経済学素人の私にどれだけの理解ができるのか心もとないが、自分が生きてきた時代と自分の人生を確認する作業のひとつだと考えている。