WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

秋吉敏子のブルーノート東京'97

2006年09月17日 | 今日の一枚(A-B)

●今日の一枚 51●

Toshiko Akiyoshi    

Live At Blue Note Tokyo '97

Scan10014_3  秋吉敏子のコンサートにはもう十数回いっている(いやもっとか)。このCDも数年前、東北地方のある寺の本堂でのライブの時買ったものであり、敏子のサインも入っている。この時の寺のLiveは環境的に最悪であった。観客のほとんどが、寺の檀家の老人たちであったことは、まだ仕方ないとして、ピアノがどこかの結婚式場から借りてきたという自動演奏機能付の代物であった。音がこもっておかしいなと思っていたら、ピアノのしたから電源コードがぶら下がっていた。世界の敏子にこんなピアノを使わせるとは……。主催者である住職(近所では評判の生臭坊主だ)も何とかできなかったのかと思ったものだった。

 この作品は、1997年のブルーノート東京でのLiveの模様がおさめられている。日野元彦(ds)、鈴木良雄(b)というメンバーだ。もともとLive盤録音用に録られたものではないのではないだろうか。録音はけっして良くない。バスドラムの音がやたら大きく、全体にこもった感じの音だ。にもかかわらず、演奏は全体的にダイナミックで、元気の良いものだ。今は亡き、日野元彦のドラムがあおるようにたたみかけ、敏子や鈴木がそれに敏感にレスポンスしていく。

 日野元彦を生で聴くチャンスは何度もあったが、そのうちにと思って後回しにしていたら、亡くなってしまった。本当にくやまれる。Liveを見たことのある友人たちは、口をそろえたように、その驚異的なドラミングを語るのだ。

 日野元彦が亡くなったのは、1999年5月13日。すい臓ガンによる肝不全だった。


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