●今日の一枚 50●
Gerry Mulligan Quartet
久々の完全オフ2日目。昨日からずっと本を読みながら、何枚かのCDやレコードを聴いている。今、聴いているのがこのオリジナル・ジェリー・マリガン・カルテットだ。ジャズ決定版1500シリーズで最近購入したものだ。
1952~53年に録音されたこのアルバムは、ジェリー・マリガンの最も初期の姿を伝えるものといわれるが、そこで感じられるのは、彼がずっと昔から(そのキャリアのはじめから)、あの優しく人を包む込むような柔らかな音色をもっていたのだ、ということだ。後藤雅洋さんは「マリガンの演奏はやはりバリトン・サックスでしか表現できない特性をもっている。それはこの楽器の当たり前の機能である低音の魅力にとどまらず、テナー・サックスより強くて深い音色が、あたかもテナーを吹いているかのようにスムーズに出てくるところである。」と述べている(『新ジャズの名演・名盤』講談社現代新書) 。バリトン・サックスというのは、大きいだけに、音をコントロールするのが大変なのだそうだ。そのバリトンをマリガンほど自由に操れる奴はいないというわけだ。
このアルバムは、チェット・ベイカーが参加しており、トランペットとバリトン・サックスのかけ合いが聴きものとなっているが、爽快だ。購入したばかりで、昨日初めて聞いたのだが、なかなか気に入っている。あの寺島靖国さんも『辛口! JAZZ名盤1001』(講談社+α文庫)のなかで、「ジェリー・マリガンを最初に買うならこれだ」と絶賛している。