WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

トム・ウェイツとリッキー・リー・ジョーンズ②

2020年12月31日 | 今日の一枚(S-T)
◎今日の一枚 456◎
Tom Waits
Heartattack And Vine
 二人が出会ったのは、1977年、トム・ウェイツが28歳、リッキー・リー・ジョーンズは22歳の時だったようだ。トム・ウェイツはデビューしてアルバムを数枚発表していたがまだ知名度は低く、リッキー・リー・ジョーンズはデビューすらしていない下積みの時期だった。
 1979年にリッキー・リー・ジョーンズのデビュー作『浪漫』(→こちら)が発表されると、ロックにフォークやジャズ、ブルースを融合させたその音楽は、多くの支持を集めるようになる。このアルバムは全米3位のヒットとなり、翌年のグラミー賞最優秀新人賞を獲得するなど、彼女は一躍スターダムにのし上がっていく。
 この後、リッキー・リー・ジョーンズはトム・ウェイツと暮らしたロスを離れ、ニューヨークへと旅立って行くことになる。

 今日の一枚は、トム・ウェイツの1980年作品『ハートアタック・アンド・ヴァイン』である。トム・ウェイツの6作目のアルバムだ。ジャケットは新聞紙を模したデザインだが、よく見ると、曲名と歌詞が書かれている。
 リッキー・リー・ジョーンズとの別れを歌ったとされる⑨ Ruby's Arms(ルビーズ・アームス)は、胸がしめつけられるほど切なく美しい曲である。心がかき乱されるほど切なくなり、じっとそこにたたずむのみである。
俺の服は置いていく
お前といた時のものさ
今はブーツと皮のジャケットがあればいい
ルビーの腕に別れを告げる
俺もつらいけれど
カーテンごしに出ていくさ
お前の目をさまさないように
 ちなみに、⑤ Jersey Girl(ジャージー・ガール)は、リッキー・リー・ジョーンズと別れた後、出会った脚本家キャサリン・ブレナンに捧げた曲である。二人は、このアルバムのレコーディングを終えた後、結婚することになる。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿