WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

おかえりモネのジャズ喫茶

2021年06月25日 | 今日の一枚(K-L)
◎今日の一枚 515◎
Lee Morgan
Vol.3
 人の噂は、「おかえりモネ」である。舞台は、気仙沼と登米。私は気仙沼、妻は登米の出身である。長男は登米で生まれて、気仙沼で育った。毎日、ビデオ録画して、夜に一杯やりながら見る始末である。
 ところで、気仙沼や登米のほんの一部のジャズフリークの間では、「おかえりモネ」に登場するジャズ喫茶のモデルはどこかが議論されているらしい。もちろん、あれは架空のジャズ喫茶であり、モデルを探すのは無意味化かもしれない。けれども、無意味と知りつつも、空疎な議論をしてみたくなる気持ちはよくわかる。
 「おかえりモネ」のジャズ喫茶の名は"Swifty"。一関の「ベイシー」を意識していることはわかる。「ベイシー」のマスター菅原さんの愛称が"Swifty"だからだ。けれども、モデルではなかろう。「おかえりモネ」のジャズ喫茶は、「ベイシー」のように広くはないようだ。店の雰囲気も、スピーカーも全然違う。「おかえりモネ」のジャズ喫茶は窓があって明るいが、「ベイシー」はそうではない。
 現在、登米にあるジャズ喫茶は、「エルヴィン」のみだが、これも違うだろう。店の広さは同じくらいだが、「エルヴィン」は暗く、アングラ的な雰囲気、というか汚い。スピーカーも無骨なアルテックである。「おかえりモネ」のジャズ喫茶とは雰囲気が正反対である。登米の隣町の栗原市若柳の「ジャキ」や「コロポックル」も候補にあがるだろう。「ジャキ」は店の規模は同じぐらいだが、蔵を改造した雰囲気に、「おかえりモネ」のジャズ喫茶の明るさはない。「コロポックル」は窓が多く、明るい雰囲気だ。眺めも良い。けれども、おかえりモネ」のジャズ喫茶より若干広いだろう。スピーカーもJBLのハイエンドDD67000である。
 結局、ベイシーを念頭に置きつつも、「エルヴィン」や「ジャキ」に、「コロポックル」のイメージを加味したものではないか、というのが私の結論である。

 「おかえりモネ」のお父さんがトランぺッターということなので、今日の一枚はリー・モーガンの1957年録音盤『VOL.3』である。ベニー・ゴルソンの「アイ・リメンバー・クリフォード」の名演で我々の胸に決定的な印象を残した名盤である。しばらくぶりに聴いたが、胸が震えた。名曲にして名演である。


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