●今日の一枚 35●
Art Blakey' Jazz Messengers
Olympia concert
アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズの『オリンピア・コンサート』(1958年録音)。名盤だ。若い頃は、こういうのは、馬鹿にして聴かなかったのだった。何というか、おじさんが昔を懐かしんで聴くレコードだと思っていた。今、私はれっきとしたおじさんになった。最近、この手のハードバップが無性に好きになり、アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズのCDもいくつか買った。。きっと、年のせいだ。ただ、昔を懐かしんでいるわけではない。なぜか、すっと身体に入ってくるのだ。すっと入ってきて、心が躍る。
名盤『サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』と同じツアーの録音である。どちらもすばらしい、② I Remember clifford によって、私はこちらが好きだ。②はリー・モーガン(tp)のベストプレイではないだろうか。曲の良さはもちろんだが、音の震えがなんともいえなくいい。熱狂の中のライブ録音ながら、繊細で情感溢れる演奏だ。リー・モーガンが当時弱冠20歳だったなんてちょっと信じられないほどだ。⑦ Whisper not もいい。私の知っているこの曲の演奏でベスト5にはいる。
それにしても、称えるべきは、ベニー・ゴルソンのアレンジである。彼なくしてはこの時期のジャズ・メッセンジャーズは語れない。ゴルソン・ハーモニーはもはやひとつのカテゴリーといってもいい程だ。ただ、プレイヤーとしてのゴルソンについては、存在感の薄さを指摘せざるを得ない。CD付属の小西啓一によるライナーノーツは、
「ただこのライブで、一つ不満があるとしたら、プレーヤーとしてのゴルソンの存在である。いやが上にも盛り上がっている会場だけに、彼も目一杯の奮戦振りを聴かせるが、あのだらだらと長いソロ(?)は、どうも雰囲気を削いでしまう感じがしてならない。作・編曲、音楽監督としては、抜群の才を誇る彼だが、テナーマンとしては、やはりB級の人なのだろう。……」
と手厳しい。
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