WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

一風ラーメン

2020年12月14日 | 今日の一枚(K-L)
◎今日の一枚 448◎
Wynton Kelly
Piano
 ラーメンは好きだ。よく食べる。震災後、私の住む街のラーメン屋はかなり変動したと思う。地震や津波で、多かれ少なかれ、多くのラーメン屋が被害を受けた。もちろん懐かしい味を復活させてくれた店もあるが、そのまま廃業してしまった店、再建したが味が落ちてしまった店もある。また、若い世代により新陳代謝がはかられた店や、被災地貢献の名のもと、鳴り物入りで他の地域からやってきた店もある。鳴り物入りでやってきた店の中には、メディアに露出し、有名になった店も多い。けれども、実際に行ってみると、これが本当に美味いのかな、と首を傾げたくなる店もある。TVレポーターが絶賛し、観光客らで賑わっているのを見ると、被災地に来てくれた負い目も手伝って、なかなか本当のことを言えないものだ。あるラーメン屋は、都会で板前修業をした人が開いたということで有名になったが、私にはまったく美味しくなかった。ある時、職場の知人とそのラーメン屋の話になったとき、恐る恐る美味くなかったといってみると、その知人も「そうですよね。美味しくないですよね。」と大きな声で相槌を打ってくれたことがあった。やはり、「王様は裸だ」とはなかなか言い出しにくかったようだ。
 ここ10年ぐらい、私がよく行くラーメン屋は、「ラーメン・一風」という店だ。同じ市内といってもかなりはずれの方にあり、車で20分以上はかかるが、それでも月2回以上は行く。先週も土曜日に訪問したばかりだ。一見、昔ながらのしょうゆラーメンだが、味のバランスがきちんとしており、意外に奥行きがある。また食べたくなるラーメンだ。炭焼きのチャーシューは本当に美味い。私は必ず、一風ラーメンと半ライスを注文する。ほとんど浮気はしない。それで過不足ないのだ。
 もともと家族で働いている小さなラーメン屋だが、コロナ騒ぎで席を間引きして営業している。心配だ。それでも、昼食時には並んで待たなければならない状況だが、私にはちょっとぐらい待っても食べたいラーメンだ。

 今日の一枚は、ウィントン・ケリーの『ウィスパー・ノット』である。1958年の録音だ(Riverside)。『ウィスパー・ノット』は邦題である。ジャケットに小さな文字で「PIANO」と記されているが、これが本当のタイトルらしい。Wynton KellyがPianoだということを示す表記かと思っていたが、とするとタイトルは何なのだろう。「WYNTON KELLY」がタイトルなのだろうかなどと考えてしまう。まったく紛らわしい表記の仕方である。
 昔から好きな一枚である。LPも持っていたがだいぶ前にCDも購入した。ちなみに同じくケリーの『ケリー・ブルー』はLPは持っているが、CDは未だに購入していない。多分これからも買わないだろう。ウィントン・ケリーのピアノは、音が軽く、ノリが軽妙なところがいい。ファンキーだが、必要以上に粘っこくないのだ。このアルバムの聴きどころは、ケニー・バレルのギターとの掛け合いである。いや掛け合いというより、協力関係といったほうがいいだろうか。ウィントン・ケリーのピアノにケニー・バレルが絶妙のアクセントをつけ、ケニー・バレルのギターソロにはウィントン・ケリーがお洒落で哀歓を湛えたバッキングをするのだ。
 ①Whisper Not、④Strong Man が私の大のお気に入りである。ウィントン・ケリーもケニー・バレルもなんだか楽しそうだ。
Wynton Kelly(p)
Kenny Burrell(g)
Paul Chambers(b)
Philly Joe Jones(ds)



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