◎今日の一枚 520◎
The Beatles
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
東京2020オリンピックの開会式について、いろいろいわれているようだ。トンチンカンであまりに皮相な演出。不必要に長すぎるスピーチ。首相と東京都知事の不敬なふるまい。そして、あまりにグダグダで統制の取れない雰囲気。どれもその通りだ。私自身、見ていてリアルタイムでそのように感じた。
けれども、私が最も違和感を感じたのは、国旗やオリンピック旗の掲揚と、国家斉唱の場面だった。国旗やオリンピック旗の掲揚になぜ自衛隊が登場するのだ。国を守る自衛隊は、セレモニーの脚光を浴びる場面に出てきてはいけない。自衛隊は縁の下の力持ちであってもらいたいし、またそういう覚悟が必要だ。それが軍国主義ではない時代の自衛隊のあり方だろう。
国歌について、MISIAの歌唱に文句があるのではない。国歌斉唱の場面で、たびたび天皇陛下を映したNHKの演出は何だ。君が代の歌詞が天皇を称えるものであることを、しばらくぶりに思い出してしまった。現天皇が嫌いなわけではない。同じ時代に中世史を学んだ彼には、むしろシンパシーを感じる。恐らく、安田元久氏から中世史を学んだ彼だからこそ、不必要に祭り上げられることに抵抗を感じているはずだ。
こうした違和感を感じたのは私だけだろうか。webを見ると、おびただしい開会式への批判があるが、私のような違和感についてはほとんどない。それは、私の感じ方が特異なのだろうか。あるいは、自衛隊や天皇や君が代に批判的な言説の「自粛」なのだろうか。そうした批判的な言説は非国民的振る舞いとして排されるということだろうか。もしそうだとすれば、《われわれの日本》は、終わりへと向かっているのかもしれない。
今日の一枚は、ザ・ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』だ。1967年発表作である。
改めて思うのだけれど、《A Day In The Life》は本当にいい曲だ。数日前から、耳元でそのメロディーが鳴り響いている。きっかけは、YouTubeで土門秀明という人のソロギターを聴いたからだ。エレガットの演奏である。何とも味のある演奏である。ちょっと、弾いてみようと楽譜を探したが見当たらない。時間がある時にしばらくぶりに編曲してみようかと思っている。
ビートルズのこのアルバムは、世評の通り優れた作品であり、名盤といわれるにふさわしいものであるが、最後に配されたこの《A Day In The Life》とその余韻が決定的に重要な印象を与えている。
その余韻の数秒後に現れる、意味不明のお遊びのような音は、レコードの針を戻しにステレオの前まで行く時間を計算したもののようだ。レコード時代を思い出し、楽しい気持ちになる。
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