WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ジュニア・マンスの"ジュニア"

2006年09月18日 | 今日の一枚(I-J)

●今日の一枚 52●

Junior Mance     "Junior"

Scan10007_13  大好きな一枚だ。CDの帯には「ジャズ・ピアノ・トリオ名盤中の名盤」とある。1959年の録音だ。1959年といえば、ジャズの世界ではあの『カインド・オブ・ブルー』をはじめ名だたる作品がなだれのように登場した伝説の年だ。

 ジュニア・マンスはジャズらしいジャズをやるピアニストだ。「トラディショナル・モダン」という言葉があるらしいが、ジュニアのピアノはまさしく「トラディショナル・モダン」といえるかも知れない。ライナー・ノーツには次のようなオスカー・ピーターソンの言葉がおさめられている。

 「昨今、ピアノの何たるかさえわきまえない前衛ジャズマンや低級なピアニストが横行するジャズ界にあって、豊かなテクニックとフレッシュなアイデアに恵まれたジュニア・マンスの登場は、実に爽快だ。しかもジュニアは、聴き手の心に直接的に訴えかけるエモーショナルなものを内蔵しており、ジャズの最も根源的なスウィングを忘れることがない。豊かな楽想に恵まれているジュニアは、アイディアをとめどもなく発展、変化させていく過程で、ひとつの演奏にいつの場合にもある種の物語性をもたらす。これはマンス独自の特質だが、そんな意味からも、このアルバムは、あなたに多くのドラマを伝えるはずだし、マンスはまだまだこれからもわれわれを楽しませてくれるにちがいない。」

 ③ウィスパー・ノットがいい。よくスウィングし、歌心のある演奏だ。リズムに同化して心が躍り、とてもハッピーな気持ちになる。ウイントン・ケリーとケニー・バレルがやった名演と甲乙つけがたい演奏だ。


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