●今日の一枚 80●
Pat Metheny & Brad Mehldau
Metheny / Mehldau
話題の一枚である。私ならずとも、興味深い一枚であろう。私にとっても、両者ともはやい時期からフォローしているフェイバリット・アーティストだ。だが、この2人の競演はあまり思いつかなかった。サウンドの傾向が違うような気がしたからである。
力のある2人の競演というと、往々にして、自己主張をしすぎて、駆け引きとしては面白くても、音楽としてはイマイチという場合が多い。そういう作品は、一度目は「おっ、なかなか凄いぞ」などといってしたり顔で聴くのだが、次第に聴かなくなり、CD棚の片隅に追いやられてしまうものだ。そういうCDを私は何枚ももっている。
さて、このアルバムはどうか。Jazzの醍醐味とでもいおうか、2人の駆け引きを想像できる興味深いサウンドである。しかも、互いに技巧を誇示しあうのではなく、「調和」ということを念頭において演奏しているところがえらい。全体としていいアルバムだと思う。ただ、それらの音がうまく溶け合っているかといわれれば、やや疑問が残る。ビル・エヴァンスとジム・ホールの作品に比肩すべきアルバムという雑誌記事も見られるが、正直言って、完成度は今一歩ではなかろうか。このアルバムが末永く再生装置のトレイにのるかどうかは、もう少し聴き込んでみなければわからない。⑥ Find Me In Your Dreams のように感動的な演奏があったとしてもだ。
ところで、雑誌広告にブラッド・メルドーの言葉として次のようにものが掲載されていた。「13歳の時に聞いたパット・メセニー・グループのAre You Going With Me が人生を変えた瞬間となったよ。僕にとって、パットはマイルスやコルトレーンやキース・ジャレットと同格なんだ。」
冗談じゃない。《マイルスやコルトレーンやキース・ジャレットと同格 》 だと……、そんなことは当たり前だ。そんな当然のことをなぜ勿体つけて語る必要があるんだ。不愉快だ。
追伸……。ふと、思いついた。パット・メセニーとゴンザロ・ルバルカバのデュオが聴きたい。この2人はマッチすると思うのだが、どうだろうか。
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