王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

「半夏生」を読んだ

2007-01-07 08:46:34 | 本を読む
悪い事に暮れの忙しい頃から友人が貸してくれた今野敏著「東京湾臨海署」シリーズに嵌まってしまった 6冊を読みふけったのは暮れの事だが市の図書館に申し込んでおいた1冊が仕事始めの5日に届いた
「半夏生(はんげしょう)」副題 東京湾臨海署安積班 である

6日は朝から雨 足元はゴム長が欲しいくらい振る 人通りもまるでないからこんな日は店番も開店休業だ
早速「半夏生」に読みふける
話は安積班長の縄張り お台場のショッピングモールの一角でアラブ系の若者が倒れた所から始まる 病院に収容されるが発熱の後、死亡した
やがて彼がバイオテロ(微生物や細菌によるテロ)の疑いを懸けられ本庁(警察庁?)公安部の岸辺の指導の下、内閣府にバイオテロ対策本部が設置され臨海署に現地本部が置かれる

白バイ巡査の中西は最初に安積の部下の須田と黒木は病院でアラブ人に接触したため強制隔離、部下は村雨と桜井の二人になってしまう お台場の封鎖に関わるてんやわんや そしてアラブ人の行き倒れを発見報告したホームレスの捜索、一方アラブ人の方も身元不明な訳は直前に引ったくりに会った事が分かってくる 臨海署刑事課総力挙げての引ったくり犯探しとアラブ人のパスポート回収 やがて彼が身元不明のテロリストでないことが分かる その間桜井の活躍でアラブ人通報者のホームレスが捕まり病院に収容される

折から病院隔離中の須田から「中西と黒木は回復、私は何とも無い 病院の関係者は単なるインフルエンザでないかと見ている 私もインフルエンザの予防注射を既に受けていたので発病しないのでは」との報告が上がる
そういえばバイオテロの元が何であれ2日からそれ以上の潜伏期があって発症するのに今回の例はアラブ人に接触後24時間以内に発症している事が何かおかしい事に気づく

安積は思い切って対策本部で「インフルエンザ説」を唱えるが岸辺の受け入れる所とならなかった
さてどう幕引きをするか
その日の午後TVのワイドショウで「テロでは無くインフルエンザ説」を報じた
夕刻5時 厚生省の役人が情報リークは湾岸所署の責任だと怒鳴り込んできた
そこえ内閣対策室から米国に出した「アラブ人、中西、黒田の検体がいづれもA香港インフルエンザ・ウイルスである」事がわかったのでバイオテロ対策本部は解散したとの連絡が入る 従って現地も解散 安積班の判断の光る御話でした

怖いのはこの後です
バイオテロでも無い話をここまで膨らました責任は誰が取るのでしょう?
当然岸辺ですよね 彼は最後に安積と短い会話をします
「半夏生」とは夏の花で花の近くの葉の一部が白くなり半分化粧した様なので半化粧とも 半分は取り繕い飾り立てて生きなければならない官僚の生き方だと
岸辺は半分は本音で生きたいと安積に語ります 安積の本音100%に感銘したのでしょう
岸辺は国の事を本当に思うキャリアが居る事を知って欲しかったと語ります

でも岸辺はバイオテロ対策の為にありもしないテロを故意に想定して対策本部を立ち上げて機能を試したのか、かすかな兆候にすばやく反応してバイオテロを未然に防ぐ働きをしたのかどちらか爺には本意は分かりませんでした

今回も警察の現場の皆さんは本当に大変な事が良く判りました
全国のお巡りさん 有り難う!

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安藤百福氏 96歳 大往生 | トップ | 成人式で逮捕騒ぎ 春日部 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本を読む」カテゴリの最新記事