う~~~~ん
腹減った
まだ仕事が終わらん
腹減った
おいしい鍋が食べたい
あつあつふぅ~♪ふぅ~♪しながら
カニ鍋なんぞ食べたいな
カニ鍋ってほとんど食った事が無いもんな
食べた時あんのは申し訳程度にカニの足が入った鍋
それもダシが出ちゃって味も素っ気も無い身
出来たら地元で食ってみたいな
それも一匹数万円もする奴を・・・
カニ鍋の地元ってどこだろう・・
三陸あたりかな・・
三陸って何県やろ
外はこな雪が舞い、雪が地に落ちるのをまるでじゃまをするかのように海風が吹き付ける
そして地の底から唸るような海鳴りが聞こえる
「ごめんやすぅ~」
「おお来たか、待っとたでぇ~♪」
「今日は呼んでくれはっておーきに」
「あれ、姉さん京言葉やな」
「へぇ~少し前まで祇園に出ておりましたぁ~」
「ほぅ~都落ちってわけや、それにしちゃ姉さんえらい別品さんやんか♪」
「まぁ旦はんいちびったらあきまへんえ」
ここは三陸の老舗の温泉旅館
浮世のしがらみに疲れた僕は一人旅に出ていた。
部屋に運ばれた夕食は
新鮮で豪華な舟盛り、七輪の上で焼かれるマッタケに越前蟹そしてお目当てのカニ鍋
一人寂しい宴をまぎらわす為に今宵は芸者を呼んだ
芸者の名は夢千代と言った
夢千代の奏でる三味の音
そして旨い酒に旨い肴
その夜は厳しい浮世を忘れるかのようにしたたか酔った。
夢千代との決して飾らない楽しい会話
宵もふけて宴も終わろうかとしたその時
「旦はん、わて今晩、帰りとうおへん」
「えっ、帰らんでもええんか」
「へぇ・・・わてはだいじおへん」
「えっ・・・ええんかぁ~♪」
・・・・
・・・・
仕事・・・せんかい!