え~~ん!どうしよう・・・
軽い気持ちで始めた高齢者の顔パコマッサージがここへ来て暗礁に乗り上げた
範囲を拡げて60歳以上に対象の幅を拡げたんだが
70歳以上の方には得てして好評だが
60代の方には不評だ
その理由が「物足らない」との事だ
しずえさんに到ってはコテンコテンの酷評だ
「何あれ?」
「スチームもパックも無いし化粧品と言ったらディスカウント店の市販品だし」
「家に帰って顔を洗い直しちゃったわよ!」
そこまで言わんといてくれよ・・・
最初は軽い気持ちだったのに・・・
それに一回1000円やんか・・・
うちの儲けなんかあらへんやんか・・・
しずえさんはしゃべり続ける
「私も思ったわよ、やっぱり安いからこんなもんかって、でもね付け刃じゃだめなのよ」
「私が行ってたエステは一回5000円だったけどそれに近いものを求めるじゃない」
「値段じゃないのよ!」
やはり何十年も商売を女手一つで背負ってきた人の言う事は違う
しずえさん、まだまだ続ける
「私もね、試しても見ないで友達紹介して恥かいちゃったじゃないの」
僕は「えへへ!」と聞いていたが言う事はごもっともな事だ
安いからと言って中途半端なサービスをしたんじゃ本業に差し障る
「ごめんなさいねぇ~♪」
「今度はしっかりと体制を整えてご案内しますぅ~」
「リフォームもするしエステの機械も入れますよぅ~化粧品は上等なもん使うし
そうや!ゲルマニウムの温浴なんかもええよね、それにシャワー室なんかも作っちゃおうか、あはは!」
(いったいなんぼ金が掛かるんじゃい!)
最初は軽い気持ちで始めたのに・・・
泥沼にはまったらどうしよう・・・
しずえさんはこう付け加えた
「今度はお願いね!」
僕は「はぃ~~!」と言うしか無かった
幾つになっても女性が美しく生活を送る手助けをしようと僕のまじめで壮大な考えは銭の前にひざまずくしか無いのか・・・
しかし、きょうびの年寄りはしっかりもんじゃ!
あわよくは商売にしようとしている考えがみえみえじゃ
「えへへ!」
それにしても難儀な世の中じゃ