ほしちゃんの「続・なるようにしか、ならん」。

安くてウマいもんと料理と旅行と音楽と競馬が好きなサラリーマンの暮らしを、ありのままに綴ります。

「勝者なき闘い」の末にあるものは…?

2015-05-18 22:00:06 | 思うこと
大阪都構想の是非を問う住民投票が昨日大阪市内で実施され、反対が僅差で賛成を上回り都構想は廃案。現状の大阪市が維持される事となった。私は大阪市民ではないが、この闘いを非常に興味を持ちながら見させていただいた。

私は立場上不偏不党であらねばならないので、個人的な賛成・反対などの意見は一切差し控えさせていただく。しかしながら今回の闘いは、結果として勝者は居なかった、という印象を抱かざるを得ない。

近親者にそのような方がいらっしゃると不快に思われる方がいるのは重々承知だが、例えとしてこれ以上適切なモノはないので敢えて表現させていただく。
大阪市は、じわじわと進行しこのままでは生命が脅かされる病気にかかっている。5兆円を超える借金が、何よりそれを物語っている。
賛成派は、過激とも思える物言いで物議をかもす主治医が
「劇薬を投じましょう。治る可能性があります。但し、副作用もあります」
と治療方針を述べている。
一報反対派は
「今のままでいいです」
と、一歩も譲らない状態だ。
今回最も残念なのは、今のままでいいという反対派に自助努力の跡が最後まで見えなかった事。それと荒療治を薦める賛成派がインフォームド・コンセントを取り付ける期間が短かすぎた事だ。


自らが仕掛けた闘いに敗れ、主治医は政界を去る(予定)だが、何の希望も持てない。闘いの跡には、何のレールも敷かれていないからだ。
現状維持のままでは、大阪はジリ貧だ。特別区設置を望んだ市民も、半分近く居る。しかしながら、賛成派を納得させられる再建策を反対派は何ら持ち合わせていない。

いい悪い、好き嫌いは別にして、7年の間にこれだけ大阪が抱える問題を顕在化し、全国的議論を巻き起こした主治医の功績は極めて大きい。彼を超える手腕を持つ者は、当分現れないであろう。
しかしその「いい悪い」「好き嫌い」が全てだったようにも思えて仕方ない。
主治医は都構想の本質について、
「大阪市のカネと権限を、むしり取るため」
と発言していた。真理だろうが、むしり取られる側の特別区の住民にすればサービス低下を連想せざるを得ず、賛成を投じにくかったのではないか。

「究極の直接民主主義」は、市民の心を真っ二つに分断し、禍根だけが残った。
大阪再建の道は、また遠のいたように思える…