
我が尊敬してやまない「歌う人間国宝」山下達郎の来年度の全国ツアーの日程が発表され、同時にシステムも明らかになった。
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以前から問題になっているチケット転売問題に終止符を打つべく、ついに入場時に顔写真認証をするようになってしまった。同時に、購入時に同行者の名前も記入せねばならなくなり、仮に一緒に行く予定だった友人が行けなくなった場合も別の人に譲るという融通が一切利かなくなってしまった。
ただ、同時に一定期間のみキャンセルも受け付けてくれるようになった。
自分が行くつもりのないチケットを何枚も購入し、転売サイトで高値で売る行為の問題点は以前から指摘されてきた。同様に、カネだけ振り込ませてチケットを送らない詐欺事件も横行した。
トラブルを防ぐためには仕方のない事かもしれないが、私は何とも言えない寂しさを覚える。
これはどう見ても、ポピュラーミュージックの取る手段ではない。
何がポピュラーで、何がそうでないのかという議論はさておき、ポピュラーミュージックというのは誰もが親しめる音楽だったはずだ。
誰でもレコード・CDを買えて、誰でもコンサートに行こうと思えば行けるものであった。それが大衆音楽、ポピュラーミュージックではなかったのか。
発売の段階からこれだけ厳格なシステムを導入し、あたかも全ての客を性悪説で見るようなビジネスに、未来があるとは考えにくい。
誰が好きこのんで、入りたくもないイープラスの会員にさせられ、同行者の半年以上先のスケジュールを押さえさせられ、入金のためにファミマに行かされ、当日は同行者ともども免許証まで持って行かねばならないのか。
ファンになり、CDを買ってくれてコンサートにまで行こうと思った善良な市民にそこまでさせる事に、売る側の心は痛まないのか?
しかもメインのファン層は、50代だというのに。
「達郎のチケットあるねんけど、一緒に行かへん?」
という軽いノリで同行者を募れて、その同行者も喜んでくれるのがコンサートではないのか。
私のような音楽ファンは、若者に「昭和」というひと言で葬り去られてしまうのだろうか…