学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

《雪中錦鶏図》との初対面

2016-06-01 21:49:31 | 展覧会感想
もうすでに終わってしまいましたが、東京都美術館の「若冲展」を見に行ってきました。ウェブでは相当に混雑するとの情報が流れていて、さぞかし並ぶのだろうと思っていたのですが、待ち時間は90分程度。意外にもすんなりと会場へ入ることができました。(90分が短いという感覚!)

このブログでもご紹介しましたが、私がまだ美術を学び始めたばかりの頃、ひと目で好きになったのが若冲の動植綵絵でした。とりわけ、私が好きだったのは《雪中錦鶏図》です。その作品は、粘液のような雪のなかに、風景と同化したかのような2羽の錦鶏が描かれたもので、今でもどう言葉に表したらいいものかわからないのですが、とにかく私は魅了されたのです。しかし、それは図版でのこと。いずれ本物を観てみたいと思ってはいたものの、なかなか機会はないまま年月は過ぎて行きました。

その《雪中錦鶏図》、とうとう本物を観ることができました。第一印象は思っていたよりも作品が大きい、ということ。(若冲の作品に関しては、どれもイメージしていたより作品が大きかった)そして、私が大学生のときに図版で観た色彩よりも、本物のほうが淡くて優しい印象を受けたということ。

その場にゆっくり立って、私は古い友人に再会したかのような感動を覚え…られれば良かったのですが、なにぶん会場内は混雑しており、あまり余韻にひたる間もなく、移動することになりました。そうして間近では見れなくなったのですが、動植綵絵を一通り見終えたあとに、再びやや遠目から眺めてました。次に会えるのはいつかわかりませんが、この日を忘れることはないでしょう。「若冲展」、とても良い展覧会でした。

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