語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】大逆転が生まれる理由 ~甲子園~

2018年07月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 今年の夏も、甲子園では高校球児たちの熱戦が繰り広げられていた。あまりにも気温の高い時期の試合で、選手の体調を心配しつつ、大きな驚きと感動を覚えるのは、とくに終盤、ありえないと思う点差からの逆転が始まることだ。
 なぜ、高校野球にはあのような奇跡が起こるのだろう。単に最後まで諦めないからなのか、それとも技術的な何かがあるのだろうか。野球はルールを知っている程度の私には、まったく分からなかった。
 「甲子園の名将が語る! なぜ大逆転は生まれるのか」(石川遙輝、萩原晴一郎、松橋孝治著、竹書房、1,836円)には、「大逆転が起きるときには、必ず“一体感”と“言葉のマジック”がある」と記されている。
 本書では、智辯(ちべん)学園和歌山高校の嶋仁氏や早稲田実業学校高等部の和泉実氏(いずれも元監督)など、名将として知られる5人に、それぞれの大逆転劇の舞台裏で何が起こっていたかを聞いている。野球のみならず、人や物事を動かすためのヒントとなる話が満載されていた。

□南雲つぐみ(医学ライター)「大逆転が生まれる理由 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年9月24日)を引用

【佐藤優】宗教は似ているところほど、どこも面倒である

2018年07月14日 | ●佐藤優
 <安全保障という視点から見れば、当時の幕府が、あれぐらい厳しい対抗措置を行わなければ、日本という国は保てなかったともいえます。この時代、直前に天草の乱があったということ、そもそもということでいえば、カトリシズムは、ポルトガルやスペインの侵略主義と一体になって、日本列島に入ってきたことも銘記すべきでしょう。
 織田信長のような戦国大名が、自分だけ良ければあとはどうでもいいとでもいうかのように、野放図にカトリシズムを受け入れていました。その結果、カトリックの普遍主義によって、日本が植民地にされるリスクは充分にありました。幕府が発した禁令のような厳格な法的措置をして国を鎖(と)ざさないと、カトリックの脅威から日本を守れなかったでしょう。
 おわかりでしょうが、日本の非キリスト教徒が漠然と同じようにイメージするものと、本来のカトリックとプロテスタントとはまったく違うということです。
 私が外務省にいたころの話です。誰かがバチカンに出張に行くと、よくカトリックの十字架とローマ教皇の写真を、ありがたそうに土産に持ってきました。私はいちおう「はい、はい」と受け取っておきましたが、そのあとはゴミ箱直行です。たぶん、創価学会の信者の人に(創価学会を破門した)大石寺の阿部日顕(あべにっけん)の写真を持っていっったら、やはりゴミ箱直行だと思います。それとだいたい同じような話です。宗教は、似ているところほど、どこも面倒なのです。
 ところで、ここまで読んできたこのルターの考え方は、先ほど読んだ日蓮の『立正安国論』と、考えている方向が近いように思われませんか。両者とも徹底的に此岸的で、いまの現実は悪がかなりはびこっている、そこから脱構築しないといけないという主張。そのためには、正しいドクトリンが何よりも重要だ、という流れです。
 キリスト教の側から見ると、かつて内村鑑三が関心を示したのは、日蓮の中にある、この改革者の精神なのだと思います。それは、徹底して此岸的でなければいけない、かつ、言葉を大切にしないといけないという考えです。誠意はきっちり言葉で表さないといけない。あるいは、「言いたいことがあったら、全部、言葉に出しておっしゃってください」と言葉で伝える。そういう人間観、そこに立つ世界観です。
 空間的にも時間的にも260年ほどずれていて、かつ文化的な文脈もまったく違うし、もちろん宗教的な文脈もまったく違います。にもかかわらず、両者はきわめて似ています。>

□佐藤優『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』(KADOKAWA、2018)の「第二講 改革と革新の源流」の「宗教は似ているところほど、どこも面倒である」を引用

 【参考】
【佐藤優】映画『沈黙-サイレンス-』をプロテスタント的に語る
【佐藤優】創価学会のドクトリンからすると靖国神社に英霊はいない
【佐藤優】宗教者の戦時下抵抗 ~大本教のスサノオ・オオクニヌシ信仰~
【佐藤優】亡くなっても魂にも個性がある/ウアゲシヒテ「原歴史」 ~「日本」論(6)~
【佐藤優】葬式は宗教の強さに関係する ~「日本」論(5)~
【佐藤優】紅白歌合戦の持つ大きな意味 ~「日本」論(4)~
【佐藤優】歴史的時間の「カイロス」と「クロノス」 ~「日本」論(3)~
【佐藤優】点と線の意味づけによって複数の歴史が生じる ~「日本」論(2)~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~


【南雲つぐみ】アロマオイルの事故

2018年07月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 香りで癒やされ、ストレス解消にも代替療法の一つとしても人気のアロマテラピー。しかし、油や火を使うだけに、扱い方には注意が必要だ。
 例えば、アロマキャンドルを風呂場に置く方法は、香りと共に炎のゆれる様子を眺めながらゆったり湯船につかることで、リラックス効果が期待できるという。ところが、火を消し忘れて風呂場を離れて、一部を焦がしてしまったという事故が起こっている。
 また、こぼれたアロマオイルを拭いて、オイルが染み込んだタオルを洗濯し、乾燥機で突然発火する事故もあったそうだ。この事故は布に付着したオイルが乾燥機の熱で酸化反応を起こし、発熱したことが原因となった。家庭での洗濯では、染み込んだオイルは抜けないのだ。
 東京消防庁の報道資料では平成20年から24年の5年間でこうした火災は26件起こり、うち4割はエステ店で起こったという。アロマオイルがついた布は乾燥機を使わず、自然乾燥させたほうが良いだろう。

□南雲つぐみ(医学ライター)「アロマオイルの事故 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年10月4日)を引用