語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】2千円札 ~「九州・沖縄サミット」記念~

2018年07月16日 | 医療・保健・福祉・介護
 沖縄に出掛けて買い物をしたら、お釣りの中に2千円札があった。2000年7月に開かれた「九州・沖縄サミット」(主要国首脳会議)を記念して発行された紙幣だ。表面には「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」として世界遺産にも登録される首里城の守礼門が描かれている。
 私の住む関東地方では何年も見かけたことがなく、沖縄出張の記念として取って置きたくなった。このように、みんなが珍しがるので、2千円札はますます流通しないのだとも聞く。
 海外では米国20ドル紙幣、英国20ポンド紙幣、EU20ユーロ紙幣のように、ほとんどの欧米主要国で2のつくお金が発行され、よく流通しているそうだ。
 日本銀行は、16年に「弐千円札物語」というリーフレットを発行し、2千円券の流通促進を図っている。
 2千円券が円滑に流通すれば、現金の受け渡しに要する紙幣を節約できること、高度な偽造防止技術が使われている2千円札の流通で、偽造抵抗力が強化され、さらに国民の利便性が上がるという。

□南雲つぐみ(医学ライター)「2千円札 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年8月29日)を引用

【佐藤優】一昔前なら火あぶりにされる異端思想を説教する現代日本の牧師 ~グノーシス~

2018年07月16日 | ●佐藤優
 <いずれにせよ、解決できない問題というのは出てきます。それは実証主義の枠を超えてしまう問題です。それは、史的イエスの探究から出てきました。客観主義や実証主義の方法を用いて、イエスという男がいつ生まれて、どこで何をやったかということを確定しておこうという試みです。
 イエスに関しては、生まれたときの話は山ほどあります。しかし、12歳で宮参りするまでの話が欠けている。そこで、その間を埋めるための「イエスの幼年物語」という偽典、偽りの聖書が出てきます。すごい内容なので紹介しましょう。
 (中略)【注】
 このような話を集めたのが、「イエスの幼年物語」という偽書です。
 この偽書ができた当時は、グノーシスという神秘教団がありました。キリスト教にも影響を与えていますし、ストア思想にも影響を与えています。そのグノーシス思想が入ってきてつくられた全知全能のイエス像が、これらの話にも出て来るイエスです。本来のキリスト教とは関係ないということで、いまの聖書からは弾(はじ)かれています。
 しかし、グノーシスのようなものは、いまでもあります。一昔前なら火あぶりにされるような説教をしている牧師はいくらでもいます。以前、ある人の葬式に行ったら驚きました。そこの牧師が、何とかさんが亡くなって、ようやく肉体の苦しみからこの人は解放され、魂は天国に上がっていきましたなどと言っていたのです。これはグノーシスです。
 キリスト教では、肉体も滅びれば、魂も滅びます。魂だけが生き残って清いという思想はありません。説教を聞きながら、この牧師は300年前だったら異端として火あぶりになったはずで、いまの時代でよかったなあと思ったものです。>

 【注】荒井献・編『新約聖書外典』(講談社文芸文庫、1997)pp.43-46

□佐藤優『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』(KADOKAWA、2018)の「第一講 東と西の革命児」の「「イエスの幼年物語」という偽書」を引用

 【参考】
【佐藤優】プロテスタントにおける地獄の軽視 ~「悪」の軽視~
【佐藤優】宗教は似ているところほど、どこも面倒である
【佐藤優】映画『沈黙-サイレンス-』をプロテスタント的に語る
【佐藤優】創価学会のドクトリンからすると靖国神社に英霊はいない
【佐藤優】宗教者の戦時下抵抗 ~大本教のスサノオ・オオクニヌシ信仰~
【佐藤優】亡くなっても魂にも個性がある/ウアゲシヒテ「原歴史」 ~「日本」論(6)~
【佐藤優】葬式は宗教の強さに関係する ~「日本」論(5)~
【佐藤優】紅白歌合戦の持つ大きな意味 ~「日本」論(4)~
【佐藤優】歴史的時間の「カイロス」と「クロノス」 ~「日本」論(3)~
【佐藤優】点と線の意味づけによって複数の歴史が生じる ~「日本」論(2)~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~