由緒正しい貧乏道宗家某亜流の末裔だ。
億の金くらいで性格が変わるわけじゃない。
ワシは筋金入りの「いいかげん」な性格だ。
富豪にふさわしい生き方なんぞできるわけがない。
今までと同じ天上天下唯我独善だぁ。
銀行という、うっとうしい「縁」が切れたのだ。
「金でつながる縁」は、うっとうしいのだ。
ワシが富豪という理由で近寄るならば、
間違っても「縁」は結ばないぜ。
ワシは今までの縁だけでも充分幸せだ。
一夜にして富豪になったのだ。
一夜にして貧乏に戻って不思議はない。
お世話になった友人知人愛人達がいる。
金でよければ、持っていってくれ。
「感謝の氣」は込めてある。
たかが金でも役に立つ。
気持ちを込めれば役に立つのだ。
たまには富豪も悪くない。
笑顔が増えるのは、悪くない。
ワシのライフワークは生命の活性化。
生き方が富豪で変わるわけがない。
富豪でも貧乏でもワシの仕事は同じだ。
生命が喜ぶことは、生命との交流だけだ。
富豪や貧乏はオマケみたいなものだ。
いつでも崖っぷちを歩いていた。
ワシのようなタイプは安全が苦手なのだ。
広い道は飽きてしまう。
だから、この仕事をしていける。
安全を求めるなら、この仕事は無理だ。
「いつでも命懸けだぞ」
故御師匠様の言葉が理解できる。
ダラシナイしナマケモノだから出来る。
崖っぷちを歩いて、一人前が保てるのだ。
富豪で安心できるほどマトモじゃない。
そうかぁ・・・
ワシ・・・マトモじゃないなぁ・・・。
本妻さん、ゴメンネ。
愛人さん、ゴメンネ。
ワシは、危ない道が好きみたい・・・。
由緒正しい貧乏道宗家某亜流水上一族の末裔だ。
富豪になるのが恥ずかしいとは思わないが、
富豪であっても崖っぷちから綱渡りで歩きたい。
いつでもギリギリで生きていたい。
ふと足元を見ると、まだ綱の上だった。
(本館は 「氣の空間・氣功療法院」