後戻りできない高さまで登ってしまった。
体力も無くなってきた。
頭も朦朧としていた。
下は岩がゴロゴロしている。
そうか、死は、こんなに近くにいたのか。
そちら側に行くのは、難しくない。
手を離すだけでいい。
その時だ。
「お~い、大丈夫かぁ~」
海の方から声が聞こえた。
振り向くことはできない体勢だった。
その瞬間、
登る事だけに夢中になった。
恥ずかしい。
見られたことが、恥ずかしい。
思ったことを、見られたようで恥ずかしい。
何故か、羞恥心で目が醒めた。
そして、崖の上に上りきった。
海を見ると、誰もいなかった。
熊笹を掻き分けながら、遠くに見える道を目指した。
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