カルテ番号 ゆ・1(1)
弓削公明がロサンゼルス地震研究所を辞めたのは一ヶ月前だった。
地震は環太平洋地域が多く、それに伴って地震学も進んでいる。
弓削はNASAと米人工衛星協会との提携に基づく地盤変化を担当していた。
アメリカ西海岸は時に大きな地震が発生する。
研究は地震予知の為だった。
当然、対象は北アメリカ本土だった。
南米も大きな地震が多く発生する。
だが、プレートが離れすぎているので、関連しているとは考えられない。
今の地震学は、プレートが違うと影響はあっても直接関係は無いとしている。
もちろん、太平洋を挟んだ日本やインドネシアなどの地震は参考データでしかない。
USA本土が何よりも重要なのだ。
世界が滅んでも、USA本土さえ無事ならいいのだ。
口には出さないが、政府や多くのアメリカ人の本音だと思われる。
研究所や研究環境は日本より遥かに整っている。
実力主義の研究者としてなら、アメリカは住みやすいともいえる。
だが、次第にアメリカの本音に嫌気が湧いてきていた。
市民権を得て、法的にアメリカ人になっても、アメリカ人ではない。
アメリカ人は白人優性思想が根底にある。
公には白も黄も赤も黒も茶も平等だというが、本音が違うのは誰でも知っている。
よく日本人は本音と建て前が違うというが、文明社会国のほとんどが違うのだ。
ロシアも中国もイギリスもフランスもブラジルもインドも建前と本音は違う。
社会という組織を成り立たせる限り、違って当然なのだ。
本音だけなら、争いはすぐに表面化して、その先は滅びるしかない。
建前と本音が違うから嫌というのは、無知と無理解というわけだ。
弓削もそんな事はわかっている。
嫌なのは、差別される側で、しかも人種は変えようがないからだった。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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