客間の整理をしていたら、家内が若い頃使っていた「舞扇」が出て来た。
フォークダンスを長くやっている関係で、民謡踊りや日本舞踊にも手を染め求め
た扇である。
「舞扇 」を手にして思い浮ぶのは、日本画家・上村松園の『序の舞』の絵である。
(NHK「日曜美術館」で数年前放映)
~女流画家として明治、大正、昭和の三時代を、封建的な画壇や社会風潮の中
で、直向きに孤高の絵筆を握り続け、今でも「松園の前に松園なく、松園の後に
松園なし」とまで言われ、女性として初の文化勲章を受賞している~
松園は、20代前半から頭角を現し、30代では既に高名な女流画家として活躍し
ていたが、その人生は波乱に満ち、1934年には最大の支援者であった母を失い
、その2年後の1936年(S11)に、代表作「序の舞」を完成させている。
幾多の苦悩を克服して描かれたものは、~燃える心を内に秘め、朱の着物の指
し伸ばした舞扇の先を毅然として見つめる女性~
松園は『何ものにも犯されない、女性の内に潜む強い意志を、この絵に表現した
かった。 一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香り高い珠玉のような絵
こそ、私の念願するものです』と語っている。
また後年、「気性だけで生てきたとも思い、絵を描くために生き続けて来たようにも
思える」と述懐している。
随分前、名取裕子主演(原作宮尾登美子)の話題作(当時)で、同名の「序の舞」と
いう映画がありましたが、もう一度観てみたくなりました。
※ 上村松園:『序の舞』:1936年
~今日も良い一日であります様に~