初めは、小さな球体に糸を幾重にも幾重にも巻き重ね、頭に描いたイメージ通り
に一針一針、針を打ち綺麗な絹糸で刺繍を仕上げていく。
103歳まで生き抜いた母、その母が作った大きな「手毬」です。
若くして夫(父)に先立たれ、九人の子供を育て上げた、明治生まれの寡黙で芯
の強い女性でした。
若い頃から手先が器用で、誰習うこともなく生活の必要性から、洋裁、和裁、編
み物、刺繍等手芸全般が、得意だったような気がします。
この飾り「手毬」は、100歳前後の頃に作ったのではないかと思いますが、形見
分けの品の中から、私の気に入った手毬と色紙を貰って来て、以後、床の間に
飾っています。
思うに・・・多分、母は最初は誰かに一通り作り方を習い、あとは本を買って、色
合いや模様などを、自分で工夫しながら作ったのでしょう。
この手毬、派手さには欠けさすが、終生控え目だった母の性格が表れている様
で結構好きです。
九十歳を過ぎても、常に何か目標を持ち、病気知らずの健康そのもので生き抜
いた母、ひたすら生き抜いた母の偉大さをつくずく思うこの頃です。
人は生き抜くこと、それ自体に大きな意義がある、と手毬は教えてくれます!
~今日も良い一日であります様に~