過去最低の投票率で3選を果たした高島市長の3期目がスタートした。今月11日から12月議会がはじまり、与党会派やお友達議員からは激励と期待の声が上がる一方で、自民党元会長光安議員からは二元代表制の意味を心にとめ、議会の意見を尊重するよう釘をさされた。さらに、対立候補を擁立した共産党からは、市長選をめぐる高島市長の言動を問題視する意見が相次いだ。
公開討論会無視も謝罪せず
12日の一般質問。福岡市長選で神谷候補や市民からの公開討論会要請を無視したことについて、中山議員が理由を尋ねると、高島市長はスケジュールが合わなかったの一点張りで、反省する様子もなく、責任を秘書に押しつけていた。私も当事者なので言わせていただくと、高島市長は公開討論会の要請書を市民から直接受け取り、書類を見ていた。この点を中山議員も指摘していたが、素知らぬふり。さらに、中山議員が返事もしなかったことを謝罪したらどうかと求めたが、高島市長はお答えすればよかったかなとかわしただけで、謝罪の言葉もなかった。それにしても、これほど頭を下げない首長もいないだろう。呆れて言葉にならない。
高島市長、初著書「福岡市を経営する」で言いたい放題
どうしてこれほど強気でいられるのか。それは今月、出版された高島市長初著書「福岡市を経営する」を読むとわかる。ダイヤモンド社が、WEBでこの本の特集を組んでいるので読んでみたが、途中、何度か血管が切れそうになった。まわりの事情は無視して、自画自賛のオンパレード。福岡市が成長したのは自分のお陰だと言わんばかりで、事実誤認も甚だしい。この錯覚に満ちた自信が強気の原点になっているのは間違いないが、事実確認もせず煽てるメディアにも問題があるだろう。よって、この本の検証はまたきちんとしたい。
博多湾、ふたたび埋め立て
強気の現れか。先週末、突然、箱崎ふ頭の大規模埋め立て計画が公表された。報道によると、場所は箱崎ふ頭の西側約65ヘクタールで、ヤフオクドーム9個分の広さだという。博多湾でこれほど大規模な埋め立ては、1994年に着手した人工島(アイランドシティ)以来で、経費は600億円ともいわれている。人工島といえば、売れない土地を売るために福岡市が最大30億円の交付金付きで企業に分譲しているのは有名な話だが、赤字は400億円を超える。人工島事業の借金はいくら残っているのかさえわからない状態なのだ。
箱崎ふ頭の埋め立ては既成路線。どうやらこの件については、福岡市とみらい会派(自民党でないところに注目)との間で事前のすり合わせがあったようで、13日の一般質問で、笠議員が港湾物流の発展のために新たな空間が必要だと述べると、待ち構えていたように、中村港湾空港局長が土地不足に対応するためには埋め立てが必要で、箱崎ふ頭で検討していきたいと答えている。子供でもわかる猿芝居だが、市民にとっては寝耳に水。議会での議論をすっ飛ばし、執行権を乱用する高島市政に歯止めがかからない。
ロープウェー、10年以内に導入!?
報道によると、福岡市は17日、市議会でウオーターフロント地区の再整備に向けた事業計画を報告。10年以内にロープウェーを導入し、クルーズ船ターミナル、大型コンベンション(MICE)機能を持つ新ホールを新設し、高級ホテルを誘致するという。これらの費用は総額1000億円とも言われている。ロープウェーの運営主体がどこになるのかも決まっていない状態で、しかも市民の意見も聞かないうちに導入を決めるとは何たる暴挙。そもそも研究会で調査をしている最中に公約にかかげるなど、言語道断。こうした動きに、市民からは住民投票をすべきという声が上がりはじめている。
福岡市は18日、箱崎ふ頭の埋め立て計画について、国と協議を始めたことを市議会に事後報告。2019年度にも公有水面の埋め立てに必要な免許取得などの手続きに入るという。この報道には驚いたが、議会でほとんど議論されることなく事が進むことに危機感を感じる。こうなると議員(というか市民)のレベルアップは必須。来年4月の市議選は、福岡市の将来を左右する重要な選挙になるだろう。
12月議会、一般質問に答える高島市長(写真:西日本新聞より)
ウオーターフロント地区再整備イメージ図 すでに大博通りにロープウェーらしきものが、、(西日本新聞より)
箱崎ふ頭埋め立て計画図 博多湾がどんどん消えていく(西日本新聞より)
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