華厳経の絡みで思い出したことがある。
大西 良慶さん、京都清水寺の貫主を務め、その晩年は日本の長寿記録保持者としても有名であったが、昭和53年に107歳で示寂。日本最初の5つ子が生まれた時に名付け親となって話題をさらった北法相宗の僧侶である。
その大西良慶さんが新聞のインタビューを受けた時に「華厳経にはどういうことが書いてあるのか」という記者の質問に「お陰様 ご互様 他人事やない」と答えた。
華厳経のように厖大なお経を3つの平言葉で表現されるなんて素晴らしいと思ったが、「ご互い様」と「他人事やない」とはニュアンスの違いはあっても同じことを言っているように思えてならなかった。
ところが最近これでよいのだと気がついた。仏法僧の三宝のことを言っているのである。
「お陰様」は法のこと、あらゆる事物のことだし、「ご互様」は僧のことで出逢うところの者同士の和合を示すこと。
問題は「他人事やない」を取り違えていたのである。これが仏だったのである。仏とは自己のこと、自己の外に仏というものはないからである。
さて、佛法僧を言い換えた言葉で表現したとすると、華厳経の話に限定されるものでないし、良慶さんは北法相宗のお方、華厳宗の人でないし、ひょっとして華厳経ではなくて記憶間違いをしているのではないかと思い始めているところである。
諸兄にあっては仏教とはどうゆうものかということで理解されたい。