![]() | 永遠の0 (講談社文庫) |
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♪「永遠の0」百田尚樹著 講談社文庫
我が職場の「仙台支店読書部」内で大絶賛のベストセラー小説。もちろん世間でもミリオンセラーとなった。
大学を卒業して司法試験合格を目指しているが、続けて落ち最近はやる気をなくしてぶらぶらしている健太郎は、フリージャナリストの姉から実祖父のことを調査する手伝いをしてほしいと頼まれる。
二人の母は祖母が再婚する前の夫との間の子。その前夫は、海軍でゼロ戦のパイロットであり、終戦間際に特攻隊員として戦死していた。その前夫のことを調べるというのだ。
二人は実祖父と軍隊時代に関係のあった人々を探し出し、話しを聞いていく。次第に祖父の清廉な人間性と共に、いかに先の戦争が悲惨で残酷で愚かなものだったかを思い知っていく。妻を愛し娘を愛し、絶対に生きて帰ると明言していた祖父が、なぜ最後は志願して特攻機に乗り込んだのか。最後に二人は、意外な人生の巡り合わせ、人間の愛の深さに思い至る。
元戦友たちが語る祖父のこと、そして戦地ごとの悲惨な体験等は涙なくしては読めない。読書部でも世間一般でも「泣けた!感動した!」という評価がほとんどだ。
もちろん、最近涙腺緩みっぱなしオヤジの僕も何度かウルウルする場面があった。でも後半になって、別なことを考えてしまった。「なんで日本はこんな愚かな戦争を始めたのか、誰の責任か、過酷で地獄のような前線に机上の空論で勝ち目のない作戦を指示したのは誰なのか、一人の人間が爆弾を抱えて敵艦船に突っ込むなどどいう成功確率もほとんどない愚かな戦法を誰が考えたのか、誰が命令を下したのか…」
太平洋戦争に関わる書籍や研究などは数えきれないほどあるのだろう。もちろん僕もこれまでにいくつかは読んだことがある。でもこの戦争について、日本国として、日本人として、どれだけ総括したのだろうか。
極東裁判で、戦勝国側からの断罪は済んでいる。じゃ日本は、日本人はあの戦争をどう考えるの?どう反省するの?他のアジア諸国に対する責任問題(大量虐殺や慰安婦問題など)も結論は出ていないが、自分の国のことさえ整理がついていないのではないか。ドイツと比べると、全く生ぬるい感じがする。
日本人は、自分のこと、自分の仲間のこと、自分の国のことになると、冷静な目や公正な目で判断したり発言したりができない民族なのかぁー。
このあたりの話はいろいろ微妙だし、不勉強のままの発言は控えるべきなので、もっと勉強してみます。