巸 イ・キ 己部

解字 金文は「巳(赤子)+乳房イ」の会意形声。篆文は、乳房が一つになった形(𦣝イ)に巳がついた巸イ・キになった。婦人が赤子に授乳している形で、赤子が乳を飲んで、よろこぶ・おだやかの意。また、赤子に乳を飲ませて養育する意。単独で用いられることなく、養育する意は頤イ、よろこぶ・おだやかの意は熙キで代用する。
意味 (1)養育する。育てる。(2)よろこぶ。おだやか。
イメージ
「赤子が乳をのむ」(巸・頤・姫)
「形声字」(熙)
音の変化 イ:巸・頤 キ:熙・姫
赤子が乳をのむ
頤 イ・おとがい・あご 頁部

解字 金文は乳房イだけを描いた形。イの発音は、巸イ(赤子が乳をのむ)に通じ、子を養育する意でも使う。篆文で「乳房ひとつ+頁(かお)」になったが、乳房ひとつを、顔のあごが突き出た形と間違え頁(かお)を付けて、あご・おとがいの意とした。したがって、この字は、おとがいと、子を養育する意の二つがある。
意味 (1)おとがい(頤)。あご(頤)。「頤使イシ」(人をあごで使うこと)「朶頤ダイ」(朶は、たれる意、頤はあご。①あごを垂れる意で、あごを動かして物をたべる・食欲の盛んなこと。②転じて、強国が弱国を飲み込もうとすること) (2)養う。育てる。「頤身イシン」(身体を養生する)「頤志イシ」(志を養う)「頤養イヨウ」(育て養う) (3)「頤和園イワエン」とは、北京市西郊にある大庭園。「和やかに静養するための園(その)」の意。もと「清漪園セイイエン」(清らかな漪さざなみの園)といったが、第二次アヘン戦争で焼き討ちに遭っていたのを、その跡地に西太后が造営し、此処に隠居するつもりで名を頤和園と改めた。
姫 キ・ひめ 女部

解字 金文は「女(おんな)+ふたつの乳房」で、乳房の成熟した女を表す。篆文・旧字は乳房が一つになった「女+𦣝イ⇒キ」(現在形は姬キ)の形。成人の女の意から転じて君主の側妾や貴婦人の意。新字体は乳房が𦣝⇒臣に変化した姫になった。
意味 (1)貴人のそばに仕える女性。高貴な女性。「寵姫チョウキ」(お気に入りの侍女)「姫妾キショウ」(中国における遊女もしくは芸妓のこと)(2)[国]ひめ(姫)。女性の美称。「歌姫うたひめ」「舞姫まいひめ」
参考 なお、姫の本来の字である姫シンは、(女が)つつしむ意の別字であるが、ほとんど使われない字だったので、姬キの代用字となった。
形声字
熙[煕] キ・・ひろい・やわらぐ・よろこぶ・あきらか 灬部

解字 金文は巸キの形。篆文は「灬(火⇒火の光)+巸(キ)」の形声。キは暉キ・輝キ(ひかり・かがやく)に通じ、灬(火⇒火の光)と合わせた煕は、ひかりかがやく意。また、光が遠くまでひろまる・ひろい意となる。現在は、新字体に準じた熙が使われる。また、巸キ(赤子が乳をのみ、よろこぶ・たのしむ)の意ともなる。
意味 (1)ひかる(煕る)。かがやく。光をはなつ。あきらか。「光熙コウキ」(光熙ともにひかる意。西晋の恵帝の治世に使われた元号) (2)ひろい(煕い)。ひろまる。 (3)よろこぶ。たのしむ。やわらぐ。「熙熙キキ」(楽しげなさま)「熙笑キショウ」(たのしげに笑う)「熙春キシュン」(やわらいだ春) (4)おこる。さかんにする。「熙隆キリュウ」(盛んにする)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。

解字 金文は「巳(赤子)+乳房イ」の会意形声。篆文は、乳房が一つになった形(𦣝イ)に巳がついた巸イ・キになった。婦人が赤子に授乳している形で、赤子が乳を飲んで、よろこぶ・おだやかの意。また、赤子に乳を飲ませて養育する意。単独で用いられることなく、養育する意は頤イ、よろこぶ・おだやかの意は熙キで代用する。
意味 (1)養育する。育てる。(2)よろこぶ。おだやか。
イメージ
「赤子が乳をのむ」(巸・頤・姫)
「形声字」(熙)
音の変化 イ:巸・頤 キ:熙・姫
赤子が乳をのむ
頤 イ・おとがい・あご 頁部

解字 金文は乳房イだけを描いた形。イの発音は、巸イ(赤子が乳をのむ)に通じ、子を養育する意でも使う。篆文で「乳房ひとつ+頁(かお)」になったが、乳房ひとつを、顔のあごが突き出た形と間違え頁(かお)を付けて、あご・おとがいの意とした。したがって、この字は、おとがいと、子を養育する意の二つがある。
意味 (1)おとがい(頤)。あご(頤)。「頤使イシ」(人をあごで使うこと)「朶頤ダイ」(朶は、たれる意、頤はあご。①あごを垂れる意で、あごを動かして物をたべる・食欲の盛んなこと。②転じて、強国が弱国を飲み込もうとすること) (2)養う。育てる。「頤身イシン」(身体を養生する)「頤志イシ」(志を養う)「頤養イヨウ」(育て養う) (3)「頤和園イワエン」とは、北京市西郊にある大庭園。「和やかに静養するための園(その)」の意。もと「清漪園セイイエン」(清らかな漪さざなみの園)といったが、第二次アヘン戦争で焼き討ちに遭っていたのを、その跡地に西太后が造営し、此処に隠居するつもりで名を頤和園と改めた。
姫 キ・ひめ 女部

解字 金文は「女(おんな)+ふたつの乳房」で、乳房の成熟した女を表す。篆文・旧字は乳房が一つになった「女+𦣝イ⇒キ」(現在形は姬キ)の形。成人の女の意から転じて君主の側妾や貴婦人の意。新字体は乳房が𦣝⇒臣に変化した姫になった。
意味 (1)貴人のそばに仕える女性。高貴な女性。「寵姫チョウキ」(お気に入りの侍女)「姫妾キショウ」(中国における遊女もしくは芸妓のこと)(2)[国]ひめ(姫)。女性の美称。「歌姫うたひめ」「舞姫まいひめ」
参考 なお、姫の本来の字である姫シンは、(女が)つつしむ意の別字であるが、ほとんど使われない字だったので、姬キの代用字となった。
形声字
熙[煕] キ・・ひろい・やわらぐ・よろこぶ・あきらか 灬部

解字 金文は巸キの形。篆文は「灬(火⇒火の光)+巸(キ)」の形声。キは暉キ・輝キ(ひかり・かがやく)に通じ、灬(火⇒火の光)と合わせた煕は、ひかりかがやく意。また、光が遠くまでひろまる・ひろい意となる。現在は、新字体に準じた熙が使われる。また、巸キ(赤子が乳をのみ、よろこぶ・たのしむ)の意ともなる。
意味 (1)ひかる(煕る)。かがやく。光をはなつ。あきらか。「光熙コウキ」(光熙ともにひかる意。西晋の恵帝の治世に使われた元号) (2)ひろい(煕い)。ひろまる。 (3)よろこぶ。たのしむ。やわらぐ。「熙熙キキ」(楽しげなさま)「熙笑キショウ」(たのしげに笑う)「熙春キシュン」(やわらいだ春) (4)おこる。さかんにする。「熙隆キリュウ」(盛んにする)
<紫色は常用漢字>
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