漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「樊ハン」<まがき・かきね>と「攀ハン」「礬バン」

2015年03月23日 | 漢字の音符
 ハン  木部

解字 金文は、木と木の間にⅩを、篆文はⅩを2つ交差させた形(棥ハン)に両手を加えて、まがき(かきね)を手で組んだ形。現代字は、両手⇒大に変化した樊ハンになった。まがき・かきねを表す。転じて、とりかご・獣のおりの意ともなる。
意味 (1)まがき(樊)。かきね。かこい。竹や柴などを粗く編んで作った垣根。「樊籬ハンリ」(樊も籬も、まがきの意)「竹樊チクハン」(竹がき)(2)とりかご。獣のおり。「樊籠ハンロウ」(①鳥獣をいれるおりやかご。②自由を束縛された境遇)③(かきねで)囲む。

イメージ
 「まがき」
(樊・攀・礬
音の変化  ハン:樊・  バン:

まがき
 ハン・よじる  手部
解字 「手(て)+樊(まがき)」の会意形声。まがきに手をかけて、のぼる形。高いところによじのぼること。
意味 よじる(攀じる)。よじのぼる(攀じ登る)。「登攀トウハン・トハン」(山や高所によじのぼる)「攀縁ハンエン」(①よじのぼること。縁をたよって身を立てる。②俗縁にかかずらう)「攀援ハンエン」(援助によって身を立てる)
 バン・ハン  石部
解字 「石(鉱物)+樊(まがき)」の会意形声。まがきがフィルターのような働きをし、汚れた水の不純物を吸着し取り去る働きをする鉱物(石)をいう。水溶性の硫酸塩鉱物で、水質の悪い水に溶かすと不純物を沈澱させるので、きれいな水を得られる効果がある。また、色を安定化させるため染色剤に用いられるなど幅広い用途がある。
意味 硫酸を含んだ鉱物の一種。「明礬ミョウバン」(白色・正八面体の結晶。硫酸アルミニウムの化合物で、水溶液は弱い酸性。染色・防水・工業用に用途が広い。「礬水どうさ」(にかわに明礬を溶かした液体。墨が和紙に滲むのを防ぐ)「白礬ハクバン」(天然の明礬。色が白い)「礬石バンセキ」(明礬石の略。明礬のこと)

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音符「狄テキ」<野焼きして狩りをする>と「荻テキ」

2015年03月23日 | 漢字の音符
 テキ・えびす  犭部  

解字 「犭(いぬ)+火(ひ)」の会意。草原に火を放ち、野焼きをして獣を追い出し、犬を伴にして狩りをすること。野焼きは牛馬の牧草地の維持にも必要であった。草原地帯に居住している異民族をさす。
意味 えびす(狄)。北方の異民族。「北狄ホクテキ」(北方の異民族)「夷狄イテキ」(野蛮な異民族。夷は東方の異民族)

イメージ 「野焼きする」(狄・荻・逖)
音の変化  テキ:狄・荻・逖

野焼きする
 テキ・おぎ  艸部
荻の穂
解字 「艸(くさ)+狄(野焼きする)」 の会意形声。野焼きして管理する草。野焼きは屋根材料の確保などのため河原の草むらでも行なわれる。
意味 (1)おぎ(荻)。イネ科ススキ属のススキに似た多年草。多くは水辺に自生し群落をつくる。かつては、茅葺屋根の材料として用いられた。日本では現在もススキやアシ原の野焼きが行われるが、荻も地名や姓に荻原・荻野が多いことから、かつては野焼きが行われたと思われる。(2)地名。姓。「荻原おぎはら」「荻野おぎの」「荻生おぎう
 テキ・とおい  之部
解字 「之(ゆく)+狄(野焼き)」 の会意形声。野焼きの火を避けて遠ざかること。遠ざかる意から、とおい・はるかの意となる。
意味 (1)とおざかる。とおざける。「離逖リテキ」(離して遠ざける)(2)とおい(逖い)。はるか。

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