漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「魯ロ」 <ロの音>「櫓ロ」「艪ロ」

2015年03月25日 | 漢字の音符
 ロ・おろか  魚部

解字 甲骨文は、「魚(さかな)+口(いう)」の会意。魚を神に供えて神にすすめ、幸いを祈る(口)こと。口は金文で曰(いう)になり、さらに篆文で白となり、現代字は日に変化した魯になった。[字統]によれば、祭祀に用いる魚は嘉魚と言い、魯は金文で、幸い・喜びの意に用いるという。しかし、現在この意味で使われていない。
 一方、この字は、地名・姓として古くから使われている。地名では今の山東省南部にあった周代の諸侯国のひとつをいう。34代約850年続き、前249年にほろびた。孔子はこの国の生まれである。なお、おろかの意は、同音の鹵(塩地)に由来すると思われる。鹵は塩分の強い地であるので作物の育たない痩せ地であるため、痩せ地にすむ人をあざけった、おろかの意味があり、同音の魯がその意味を受け継いだと思われる。
意味 (1)おろか(魯か)。おろかなさま。「魯鈍ロドン」(間が抜けて頭の回転がにぶい) (2)地名。山東省にあった国の名。山東省の略称。現在、中国では車のナンバープレートの「魯」(山東省)に使われている。 (3)姓。「魯迅ロジン」(清末民初の文学者。著書に『阿Q正伝』がある。本名は周樹人。魯迅はペンネーム) (4)「魯魚亥豕ロギョガイシ」とは、書き誤りやすい字のこと。魯魚と亥豕は、間違いやすい。

イメージ 「ロの音」(魯・櫓・艪)
音の変化 ロ:魯・櫓・艪

ロの音
 ロ・やぐら  木部  
解字 「木(き)+魯(ロ)」の形声。ロは艫(船のとも=船尾)に通じ、船尾で船をこぐ木製のカイをいう。また、ロは露(覆いがない)に通じ、木で組んだ屋根がない物見やぐらをいう。中国では、船をこぐカイの意が中心で、日本では物見やぐらから転じた各種の「やぐら」の意がよく使われる。
 船の櫓
意味 (1)ろ(櫓)。船尾で舟をこぐ道具。(=艪)。かい。「櫓歌ロカ」(櫓を動かしながら船頭がうたう歌) (2)やぐら(櫓)。物見やぐら。 (3)[国]やぐら(櫓)。①矢倉とも書く。城郭の武器庫。②城郭の物見やぐら。③相撲・芝居などで、会場の入り口に設ける、幕をはった構造物。「櫓太鼓やぐらだいこ」④こたつに用いる木組みのおおい。「炬燵櫓こたつやぐら
 ロ  舟部
解字 「舟(ふね)+魯(=櫓。ろ)」の形声。船尾で船をこぐ「ろ」をいう。
意味 ろ(艪)。船尾で船をこぐ道具。(=櫓)。「艪櫂ろかい」(船をこぐ道具である、ろとかい)

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