改訂しました。
豕 シ・い・いのこ 豕部いのこ
解字 いのしし、またはぶたの姿を描いた象形。部首「いのこ」「いのこへん」となる。音符として使われることはなく、会意として、いのしし・ぶたなどの意を表わす。亥と似ているが、亥は豚などの骨格を、豕は動物の豚(ぶた)を示す。
意味 い(豕)。いのこ(豕)。いのしし。ブタ類の総称。「亥豕ガイシの誤り」(文字の書き誤りのこと)
参考 豕は部首「豕いのこ」になる。漢字の右辺や下部に付いて、イノシシの意味を表す。[新漢語林]には、24字が収録されている。
常用漢字 3字
豪ゴウ・やまあらし(豕+音符「高コウ」)
豚トン・ぶた(豕+月(にく)の会意)
象ゾウ・ぞう(下部に豕を含むので便宜的に分類される)
※このうち、豪ゴウ・豚トン・象ゾウともに音符となる。
イメージ
「ぶた・いのしし」(豕・豚・遯・逐)
音の変化 シ:豕 チク:逐 トン:豚・遯
ぶた・いのしし
豚 トン・ぶた 豕部
解字 「月(にく)+豕(ぶた)」の会意。ぶたの肉の意で、肉をとるための豚を表わす。
意味 (1)ぶた(豚)。こぶた。いのこ。「豚児トンジ」(不出来な息子) (2)「河豚カトン」とは、ふぐのこと。ずんぐりとした形が似ているから。
遯 トン・のがれる 辶部
解字 「辶(ゆく)+豚(トン)」 の形声。トンは遁トン(のがれる)に通じ、のがれる意を、辶(ゆく)を付けて表した。なお、この字はすべて遁トンに置き換えが可能である。
意味 (1)のがれる(遯れる)。にげる。「遯走トンソウ」 (2)かくれる。「遯世トンセイ」(①隠居する。②仏門に入る)「遯竄トンザン」(にげうせる)「隠遯イントン」(世間をのがれて隠れる)
逐 チク・おう 辶部
解字 甲骨文はいのししの下に止(足)の形を描き、いのししを人が追っているさま。金文は、いのししに彳(ゆく)と止(足)を描く。この部分が篆文でしんにょうの原形(辵)に変化している。現代字は、「辶(ゆく)+豕(いのしし)」の会意で、いのししを追ってゆくこと。
意味 (1)おう(逐う)。おいかける。おい払う。「駆逐クチク」(おいはらうこと)「放逐ホウチク」(おいやる・おいはらう)「逐電チクデン」(①いなずまを追う。速力が非常に速い。②[国]にげうせる。にげて行方をくらます) (2)順を追う。「逐一チクイチ」(ひとつひとつ)「逐次チクジ」(次々に)「逐語チクゴ」(一語一語) (3)きそう。争う。「角逐カクチク」
豖[豕] タク・チク <犠牲にしたぶた>
豖[豕] タク・チク 豕部
解字 豚に右下がりの斜線を入れ、豚を犠牲にした形。単独の字となることはない。新字体では斜線がとれて「豕」と表現され、豕シ(い・いのこ)と字体が同じになるが、発音と意味が異なる。また、豕(豖)タクは、その発音からものをたたく音の擬声語としても用いられる。
イメージ
「犠牲にした豚」(冢・塚)
「ものをたたく音」(啄・琢)
音の変化 タク:啄・琢 チョウ:冢・塚
犠牲にしたぶた
冢 チョウ・つか 冖部
解字 「冖(上からおおう)+豖(犠牲にした豚)」の会意。犠牲獣をともなった墳墓のこと。
意味 (1)つか(冢)。大きな墓。「冢墓チョウボ」(墓)「冢樹チョウジュ」(墓に植えてある樹) (2)おか(丘)。「丘冢キュウチョウ」(①丘。②丘のような墳墓)
塚 チョウ・つか 土部
解字 旧字は塚で「土+冢チョウ(つか)」の会意形声。土を盛り上げた墳墓のこと。冢チョウの意味を、土をつけて強調した字。現代字は斜線がとれた塚。
意味 (1)つか(塚)。土を高く盛って築いた墳墓。「塚穴つかあな」(墓とする穴) (2)塚のように土が盛りあがったもの「一里塚いちりづか」「貝塚かいづか」「蟻塚ありづか」 (3)姓。「大塚おおつか」「塚本つかもと」「塚原つかはら」「塚越つかごし」「手塚てづか」
ものをたたく音
啄 タク・トク・ついばむ 口部
解字 旧字は「口(くち)+豖(タク)」の形声。タクはものをたたく音の擬声語で、鳥が口ばしで木をつつく音になぞらえる。新字体は、豖⇒豕に変化した。
意味 (1)ついばむ(啄む)。くちばしでつつく。「啄木タクボク」(木をつつく)「啄木鳥きつつき」(かたいくちばしで木の幹に穴をあけ、舌で虫を引き出して食べる鳥)「小啄木鳥コゲラ」「赤啄木鳥アカゲラ」 (2)人名。「石川啄木いしかわたくぼく」(岩手県生まれの歌人)
琢 タク・みがく 王部
解字 旧字は「王(玉)+豖(タク)」の形声。タクはものをたたく音の擬声語で、切りだした玉の原石を小刻みにたたいたりけずって形をととのえること。玉を仕上げるので、たたく意より、みがく意が強くなる。新字体は、豖⇒豕に変化した。
意味 (1)みがく(琢く)。玉をみがく。玉を打つ。「琢磨タクマ」(琢はたたいてみがく、磨はこすってみがく。転じて学徳をみがくこと)「切磋琢磨セッサタクマ」「彫琢チョウタク」(①宝石をきざみみがく。②詩文の字句をみがく) (2)徳・技などをみがくこと。「琢句タクク」(字句をみがくこと。詩文を推敲すること)
圂 コン <豚囲い・豚便所>
圂 コン・カン 囗部
豚便所(後漢代の模型)(ウィキペディアより)
解字 「豕(ぶた)+囗(かこい)」の会意。囲いの中で豚を飼うこと。豚囲い。また、豚囲いには横に便所が併設されており人がそこで用をたし、糞が豚の餌になった。
意味 ぶたごや。かわや。
イメージ
「廁の付いた豚小屋」(圂・溷)
音の分布 コン:圂・溷
廁の付いた豚小屋
溷 コン・にごる 氵部
解字 「氵(みず)+圂コン(廁の付いた豚小屋)」の会意形声。廁(かわや)の付いた豚小屋からでる水。にごる・けがれる意。また、圂の意味である「かわや」を表す。
意味 (1)にごる(溷る)。いりまじる。みだれる。「溷濁コンダク」(①にごる。②世の中が乱れる)「澆季溷濁ギョウキコンダク」(澆季は乱れた世、乱れけがれた末世) (2)けがれる。けがす。 (3)かわや。便所。「溷廁コンシ」(豚便所)「墜茵落溷ツイインラクコン」(茵は、敷物。溷は、かわや。風に吹かれて散った花が、あるものは運よく敷物の上に墜(お)ち、あるものは運悪くかわやに落ちる。人には運不運というものがある) (4)豚小屋。家畜小屋。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
お知らせ
本ブログ掲載の漢字を選りすぐった「音符順 精選漢字学習字典」販売中!
豕 シ・い・いのこ 豕部いのこ
解字 いのしし、またはぶたの姿を描いた象形。部首「いのこ」「いのこへん」となる。音符として使われることはなく、会意として、いのしし・ぶたなどの意を表わす。亥と似ているが、亥は豚などの骨格を、豕は動物の豚(ぶた)を示す。
意味 い(豕)。いのこ(豕)。いのしし。ブタ類の総称。「亥豕ガイシの誤り」(文字の書き誤りのこと)
参考 豕は部首「豕いのこ」になる。漢字の右辺や下部に付いて、イノシシの意味を表す。[新漢語林]には、24字が収録されている。
常用漢字 3字
豪ゴウ・やまあらし(豕+音符「高コウ」)
豚トン・ぶた(豕+月(にく)の会意)
象ゾウ・ぞう(下部に豕を含むので便宜的に分類される)
※このうち、豪ゴウ・豚トン・象ゾウともに音符となる。
イメージ
「ぶた・いのしし」(豕・豚・遯・逐)
音の変化 シ:豕 チク:逐 トン:豚・遯
ぶた・いのしし
豚 トン・ぶた 豕部
解字 「月(にく)+豕(ぶた)」の会意。ぶたの肉の意で、肉をとるための豚を表わす。
意味 (1)ぶた(豚)。こぶた。いのこ。「豚児トンジ」(不出来な息子) (2)「河豚カトン」とは、ふぐのこと。ずんぐりとした形が似ているから。
遯 トン・のがれる 辶部
解字 「辶(ゆく)+豚(トン)」 の形声。トンは遁トン(のがれる)に通じ、のがれる意を、辶(ゆく)を付けて表した。なお、この字はすべて遁トンに置き換えが可能である。
意味 (1)のがれる(遯れる)。にげる。「遯走トンソウ」 (2)かくれる。「遯世トンセイ」(①隠居する。②仏門に入る)「遯竄トンザン」(にげうせる)「隠遯イントン」(世間をのがれて隠れる)
逐 チク・おう 辶部
解字 甲骨文はいのししの下に止(足)の形を描き、いのししを人が追っているさま。金文は、いのししに彳(ゆく)と止(足)を描く。この部分が篆文でしんにょうの原形(辵)に変化している。現代字は、「辶(ゆく)+豕(いのしし)」の会意で、いのししを追ってゆくこと。
意味 (1)おう(逐う)。おいかける。おい払う。「駆逐クチク」(おいはらうこと)「放逐ホウチク」(おいやる・おいはらう)「逐電チクデン」(①いなずまを追う。速力が非常に速い。②[国]にげうせる。にげて行方をくらます) (2)順を追う。「逐一チクイチ」(ひとつひとつ)「逐次チクジ」(次々に)「逐語チクゴ」(一語一語) (3)きそう。争う。「角逐カクチク」
豖[豕] タク・チク <犠牲にしたぶた>
豖[豕] タク・チク 豕部
解字 豚に右下がりの斜線を入れ、豚を犠牲にした形。単独の字となることはない。新字体では斜線がとれて「豕」と表現され、豕シ(い・いのこ)と字体が同じになるが、発音と意味が異なる。また、豕(豖)タクは、その発音からものをたたく音の擬声語としても用いられる。
イメージ
「犠牲にした豚」(冢・塚)
「ものをたたく音」(啄・琢)
音の変化 タク:啄・琢 チョウ:冢・塚
犠牲にしたぶた
冢 チョウ・つか 冖部
解字 「冖(上からおおう)+豖(犠牲にした豚)」の会意。犠牲獣をともなった墳墓のこと。
意味 (1)つか(冢)。大きな墓。「冢墓チョウボ」(墓)「冢樹チョウジュ」(墓に植えてある樹) (2)おか(丘)。「丘冢キュウチョウ」(①丘。②丘のような墳墓)
塚 チョウ・つか 土部
解字 旧字は塚で「土+冢チョウ(つか)」の会意形声。土を盛り上げた墳墓のこと。冢チョウの意味を、土をつけて強調した字。現代字は斜線がとれた塚。
意味 (1)つか(塚)。土を高く盛って築いた墳墓。「塚穴つかあな」(墓とする穴) (2)塚のように土が盛りあがったもの「一里塚いちりづか」「貝塚かいづか」「蟻塚ありづか」 (3)姓。「大塚おおつか」「塚本つかもと」「塚原つかはら」「塚越つかごし」「手塚てづか」
ものをたたく音
啄 タク・トク・ついばむ 口部
解字 旧字は「口(くち)+豖(タク)」の形声。タクはものをたたく音の擬声語で、鳥が口ばしで木をつつく音になぞらえる。新字体は、豖⇒豕に変化した。
意味 (1)ついばむ(啄む)。くちばしでつつく。「啄木タクボク」(木をつつく)「啄木鳥きつつき」(かたいくちばしで木の幹に穴をあけ、舌で虫を引き出して食べる鳥)「小啄木鳥コゲラ」「赤啄木鳥アカゲラ」 (2)人名。「石川啄木いしかわたくぼく」(岩手県生まれの歌人)
琢 タク・みがく 王部
解字 旧字は「王(玉)+豖(タク)」の形声。タクはものをたたく音の擬声語で、切りだした玉の原石を小刻みにたたいたりけずって形をととのえること。玉を仕上げるので、たたく意より、みがく意が強くなる。新字体は、豖⇒豕に変化した。
意味 (1)みがく(琢く)。玉をみがく。玉を打つ。「琢磨タクマ」(琢はたたいてみがく、磨はこすってみがく。転じて学徳をみがくこと)「切磋琢磨セッサタクマ」「彫琢チョウタク」(①宝石をきざみみがく。②詩文の字句をみがく) (2)徳・技などをみがくこと。「琢句タクク」(字句をみがくこと。詩文を推敲すること)
圂 コン <豚囲い・豚便所>
圂 コン・カン 囗部
豚便所(後漢代の模型)(ウィキペディアより)
解字 「豕(ぶた)+囗(かこい)」の会意。囲いの中で豚を飼うこと。豚囲い。また、豚囲いには横に便所が併設されており人がそこで用をたし、糞が豚の餌になった。
意味 ぶたごや。かわや。
イメージ
「廁の付いた豚小屋」(圂・溷)
音の分布 コン:圂・溷
廁の付いた豚小屋
溷 コン・にごる 氵部
解字 「氵(みず)+圂コン(廁の付いた豚小屋)」の会意形声。廁(かわや)の付いた豚小屋からでる水。にごる・けがれる意。また、圂の意味である「かわや」を表す。
意味 (1)にごる(溷る)。いりまじる。みだれる。「溷濁コンダク」(①にごる。②世の中が乱れる)「澆季溷濁ギョウキコンダク」(澆季は乱れた世、乱れけがれた末世) (2)けがれる。けがす。 (3)かわや。便所。「溷廁コンシ」(豚便所)「墜茵落溷ツイインラクコン」(茵は、敷物。溷は、かわや。風に吹かれて散った花が、あるものは運よく敷物の上に墜(お)ち、あるものは運悪くかわやに落ちる。人には運不運というものがある) (4)豚小屋。家畜小屋。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
お知らせ
本ブログ掲載の漢字を選りすぐった「音符順 精選漢字学習字典」販売中!