漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「妟エン」 <陽の気になる女> と 「宴エン」 「匽エン」「堰エン」

2023年11月03日 | 漢字の音符
   改訂しました。
 エン  女部          

解字 妟は篆文からできた字で、金文は宴から妟を抜き出した。金文は「日(太陽)+女」で女の後ろに太陽が描かれている形。篆文は日が女の上にきた妟エンとなった。意味は[説文解字]が「妟は安也(なり)。女、日に従う」とし、安んじる意とする。私は匽エンと共通するイメージとして「陽の気になる(女)」とした。
意味 (1)やすんじる。 (2)太陽が出て清らかで明るいさま。

イメージ 
 太陽と女から「陽の気になる」(宴)
陽の気になる
 エン・うたげ  宀部  
解字 「宀(建物)+妟(陽の気になる)」の会意形声。建物の中で、陽気になって楽しんだりくつろぐこと。のちに転じて、さかもり・うたげの意味になった。[説文解字]は「安也。宀と妟に従う」とし、[同注]は「引伸して宴饗エンキョウ(もてなしのさかもり)と為す」とする。
意味 (1)たのしむ・くつろぐ。「宴息エンソク」(くつろいで休む)「宴安エンアン」(くつろぐ)「宴楽エンラク」(心がやわらぎ楽しむ) (2)うたげ(宴)。さかもり。「宴会エンカイ」「酒宴シュエン」「宴餞エンセン」(送別の宴) 


    エン <ふせる>
 エン・ふせる  匸部   

解字 「匸(はこ形のかこい)+妟(陽の気の女)」の会意形声。かこいの中に入った女が、陽気をなくして伏せること。
意味 (1)かくす。 (2)ふせる。たおす。「匽武エンブ」(武器をふせる。戦いをやめる)(=偃武)

イメージ 
 「ふせる」
(匽・偃・堰・・蝘)
音の変化  エン:匽・偃・堰・・蝘

ふせる
 エン・ふせる  イ部
解字 「イ(ひと)+匽(ふせる)」の会意形声。人が伏せて横になること。また、活動をやめること。
意味 (1)ふせる(偃せる)。うつむく。よこになる。たおれる。「偃息エンソク」(寝ころんで休息する)「偃月エンゲツ」(半月。弓張り月。月の弦が横になる状態)「偃旗息鼓エンキソクコ」(旗をふせ太鼓を鳴らさない。軍隊のありかをくらます) (2)やめる。とどめる。「偃戈エンカ」(戈ほこをしまって使用しない。戦いをやめる)「偃武エンブ」(武器をふせる。戦争をやめる)「偃武修文エンブシュウブン」(戦争をやめ文[学問など]を修める)
 エン・せき  土部
解字 「土(つち)+匽(ふせる)」の会意形声。川に土をふせて(積んで)せきとめること。
意味 (1)せき(堰)。いせき。ダム。「堰堤エンテイ」(川をせき止めた堤。ダム) (2)せきとめる。「堰塞エンソク」(せきとめて塞ふさぐこと)
 エン・もぐら  鼠部
解字 「鼠(ねずみ)+匽(ふせる)」の会意形声。土のなかで、ふせて(もぐって)生活するねずみ。もぐらの意。
意味 もぐら()。土竜とも書く。モグラ科の哺乳動物。土のなかでトンネルを作り生活する。「エンソ・もぐら
 エン  虫部
解字 「虫(爬虫類)+匽(ふせる)」の会意形声。家の壁や天井裏にふせて(隠れて)いて、夜になると出てきて昆虫などを捕食する「やもり」をいう。
意味 (1)やもり。「蝘蜓エンテイ」(①やもり。②トカゲ科の爬虫類の総称) (2)蝉の一種。なつぜみ。
<紫色は常用漢字>

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