子 シ・ス・こ 子部
解字 甲骨文字は四角い頭に両手がついた小さい子の象形。金文と篆文は頭が丸くなった形。隷書(漢代)は頭がマ、両手が一になり現在の子へとつづく。子は部首となるが、子どもの意で音符ともなる。
意味 (1)こ(子)。こども。「子息シソク」「妻子サイシ」 (2)たね。み。たまご。「種子シュシ」「卵子ランシ」「子房シボウ」 (3)男子の敬称。「君子クンシ」 (4)小さい。こまかい。「子細シサイ」「原子ゲンシ」 (5)物の名の下に添える語。「扇子センス」「椅子イス」 (6)ね(子)。十二支の第一。子は甲骨文字の段階から十二支の1番目の子(ね・ねずみ)に仮借カシャ(当て字)された。
十二支(「暮らし歳時記 十二支と方位」より)
イメージ
「こども」(子・字・好・孔・仔・孜・李)
「コウの音」(吼)
音の変化 シ:子・仔・孜 ジ:字 コウ:好・孔・吼 リ:李
こども
字 ジ・シ・あざ 子部
解字 「宀(家)+子(こども)」の会意形声。家の中に子どものいる様子を表し、甲骨文字では子どもが生まれることや子孫繁栄を意味して用いられた[漢字字形史字典]。従って、やしなう意味がある。のち、文ブン(文身[いれずみ]の文様)と結びついて文字(letter, character)という概念が生まれた。これは、文身の文様の変化から家の中の子どもが繁殖するように、いろんな文字が発生したことからできた意味で、字単独でも文字の意味となった。なお、あざな(字)というのは、中国で姓・名以外につけた別名・通称のことで、男女が成年儀礼を終えると別名を名乗り、それまでの幼名は親しい者以外は使われなくなった。
意味 (1)やしなう。乳をのませる。いつくしみ育てる。「字育ジイク」(はぐくみ育てる)「字乳ジニュウ」(乳でそだてる) (2)もじ。かんじ。「文字モジ」「漢字カンジ」「字典ジテン」 (3)あざな(字)。男子が元服してつける名。女子は婚約してからつける。のち、実名の他につける呼び名。「綽名・渾名あだな」は字(あざな)の訛った言葉。 (4)[国]あざ(字)。町・村の中の小区分の名。「大字おおあざ」「小字こあざ」※小字(こあざ)は、もともと村の中の小さな集落や農地(畑・田)を特定するために使われてきたもの。大字(おおあざ)は明治時代からのもので市町村合併に伴い、新しい自治体が旧村名を引き継いで残したもの。
好 コウ・すく・このむ 女部
解字 「女(おんな)+子(こども)」の会意。女性が子どもをかわいがるさま。
意味 (1)このむ(好む)。愛する。すく(好く)。「愛好アイコウ」「好意コウイ」 (2)よい。このましい(好ましい)。「好調コウチョウ」「好機コウキ」 (3)したしい。よしみ。「友好ユウコウ」「好誼コウギ」(したしい交わり)
孔 コウ・ク・あな 子部
解字 金文は赤子が乳房を吸う形で篆文はその変形。現代字は孔に変化した。中国古代・商(殷)時代の王家の家族が、本家の子であることから創始した「子」姓の末裔が、のちに「孔」姓を創始したが、これは本家の「子」姓に対し、子が乳房を吸う形の「孔」を姓としたと思われ、もともと孔姓を表す字。また、子が乳房をすうとき乳腺をとおり乳が沁みでる小さな穴をいう。
意味 (1)姓のひとつ。「孔子コウシ」(中国・春秋時代の思想家)「孔孟コウモウ」(孔子と孟子) (2)あな(孔)。小さなあな。とおる。「乳孔ニュウコウ」(乳腺から乳がでる小さな穴)「気孔キコウ」(葉の表皮にある外部と気体の交換をする孔)「瞳孔ドウコウ」(目の黒目の部分が穴にみえるから言う)「鼻孔ビコウ」(鼻のあな)「孔版コウハン」(小さな孔の集合によってできる文字などを刷ること。ガリ版) (3)クの音。「孔雀クジャク」(キジ科の鳥。オスは美しい羽をひろげる)
仔 シ・こ イ部
解字 「イ(ひと)+子(こども)」の会意形声。幼い子を人が負う形で、幼い子の意。現在は動物の子に使われる。また子の意味(4)の、こまかいと同じく「仔細シサイ」として使われる。
意味 (1)こ(仔)。動物の子。「仔牛こうし」「仔魚シギョ」(魚類の成長過程の発育段階の一つ。幼生ともいう。仔魚の次は稚魚となる) (2)こまかい。「仔細シサイ」(=子細)
孜 シ・つとめる 攵部
解字 「攵ボク(=攴。打つ)+子(子ども)」 の会意形声。子どもを愛のムチで打ち、きたえるのが原義。子どもが自分ではげむ意に変わった。
意味 つとめる(孜める)。はげむ。「孜孜シシ」(熱心にはげむさま。あきらめずに努力するさま)「孜孜汲汲シシキュウキュウ」(飽きたり怠けたりせず熱心に励み努力をする。孜孜も汲汲も熱心に続ける意)
李 リ・すもも 木部
解字 「木(き)+子(こども⇒実)」の会意。リという名の木の果実。すももを指す。
すもも(李)の実(「デジタル大辞泉・李」より)
意味 (1)すもも(李)。バラ科の落葉小高木。桃より小さく酸っぱい果実をつけるので「すもも(酸桃)」とよばれる。「李下リカ」(すももの木の下)「李下不正冠」(李下に冠を正(ただ)さ不 (ず)」(スモモの木の下で冠がずれても直さない。冠を直すとスモモを盗んだと思われるので、人から疑いをかけられるような行いは避けるべきであるという例え) (2)「行李コウリ」(使者。行き治める者)に使われる字。行李とは、古代中国で同音の行理と書かれ、外国へ行って自国の事を管理する外交官の意。外交官はよく旅行し荷物を運ぶので、旅行の荷物、また荷物入れの意となり、同音の「行李」となった。「柳行李やなぎごうり」(コリヤナギの枝で編んだ荷物入れ) (3)姓のひとつ。「李白リハク」(中国・唐代の詩人)
コウの音
吼 コウ・ク・ほえる 口部
解字 「口(くち)+孔(コウ)」の形声。コウは吽コウ・哮コウなどと同じく、けもののほえる声をいう。
意味 ほえる(吼える)。獣などが大声でほえる。人が大声を出す。「獅子吼シシク」(獅子が吼える。仏が説法する)「吼号コウゴウ」(大声でさけぶ)
<紫色は常用漢字>
参考 子シは、部首「子こ・こども・こどもへん」になる。漢字の上部・左辺・下部に付いて、こどもの意を表す。子部には常用漢字が9字、約14,600字を収録する『新漢語林』では、36字を含む。子部の主な字は以下のとおり。
常用漢字 9字
子シ・こ (部首)
孔 コウ・あな(子を含む会意)
字ジ・あざ (子+宀の会意形声)
存ゾン(子+音符「才サイ」)
孝コウ(耂+子の会意)
学ガク・まなぶ(子+音符「學の略体」)
季キ(禾+子の会意)
孫ソン・まご(子+系の会意)
孤コ・みなしご(子+音符「瓜カ」)
その他
孟モウ・はじめ(皿+子の会意)
孚フ(爫+子の会意)ほか
このうち、孚フ・季キ・孝コウ、孟モウ、は音符となる。
孨 セン <よわい・ちいさい>
孨 セン・よわい 子部
解字 赤子を三人あわせた形。小さく、か弱い子を三人描いた形で、よわい意。
意味 (1)よわい。 (2)つつしむ。
イメージ 「よわい・ちいさい」
音の分布 セン:孱・潺
よわい・ちいさい
孱 セン・サン・よわい・おとる
解字 「尸(からだ)+孨(よわい・ちいさい)」の会意形声。身体がよわく小さいこと。
意味 (1)よわい(孱い)。おとる。ちいさい。 「孱弱センジャク」(小さくかよわいこと。ひよわなこと)「孱質センシツ」(よわい体質)「孱瑣センサ」(ちいさく細かい) (2)おとる。「孱愚セング」 (3)「孱顔センガン・サンガン」とは、①ふぞろいなさま。②山が高くけわしいさま。
潺 セン・サン 氵部
解字 「氵(みず)+孱(よわい・ちいさい)」の会意形声。よわく小さい水の流れ。小川がさらさらと流れるさま。
意味 水がさらさら流れるさま、またその音。「潺潺センセン」(小川などのさらさらとよどみなく流れるさま)「潺湲センカン・センエン」(潺は、水がさらさら流れるさま。湲は水がゆっくりとめぐるさま。①水が清くさらさら流れる様子。また、その音。 ②涙がはらはらと流れつづける様子)
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解字 甲骨文字は四角い頭に両手がついた小さい子の象形。金文と篆文は頭が丸くなった形。隷書(漢代)は頭がマ、両手が一になり現在の子へとつづく。子は部首となるが、子どもの意で音符ともなる。
意味 (1)こ(子)。こども。「子息シソク」「妻子サイシ」 (2)たね。み。たまご。「種子シュシ」「卵子ランシ」「子房シボウ」 (3)男子の敬称。「君子クンシ」 (4)小さい。こまかい。「子細シサイ」「原子ゲンシ」 (5)物の名の下に添える語。「扇子センス」「椅子イス」 (6)ね(子)。十二支の第一。子は甲骨文字の段階から十二支の1番目の子(ね・ねずみ)に仮借カシャ(当て字)された。
十二支(「暮らし歳時記 十二支と方位」より)
イメージ
「こども」(子・字・好・孔・仔・孜・李)
「コウの音」(吼)
音の変化 シ:子・仔・孜 ジ:字 コウ:好・孔・吼 リ:李
こども
字 ジ・シ・あざ 子部
解字 「宀(家)+子(こども)」の会意形声。家の中に子どものいる様子を表し、甲骨文字では子どもが生まれることや子孫繁栄を意味して用いられた[漢字字形史字典]。従って、やしなう意味がある。のち、文ブン(文身[いれずみ]の文様)と結びついて文字(letter, character)という概念が生まれた。これは、文身の文様の変化から家の中の子どもが繁殖するように、いろんな文字が発生したことからできた意味で、字単独でも文字の意味となった。なお、あざな(字)というのは、中国で姓・名以外につけた別名・通称のことで、男女が成年儀礼を終えると別名を名乗り、それまでの幼名は親しい者以外は使われなくなった。
意味 (1)やしなう。乳をのませる。いつくしみ育てる。「字育ジイク」(はぐくみ育てる)「字乳ジニュウ」(乳でそだてる) (2)もじ。かんじ。「文字モジ」「漢字カンジ」「字典ジテン」 (3)あざな(字)。男子が元服してつける名。女子は婚約してからつける。のち、実名の他につける呼び名。「綽名・渾名あだな」は字(あざな)の訛った言葉。 (4)[国]あざ(字)。町・村の中の小区分の名。「大字おおあざ」「小字こあざ」※小字(こあざ)は、もともと村の中の小さな集落や農地(畑・田)を特定するために使われてきたもの。大字(おおあざ)は明治時代からのもので市町村合併に伴い、新しい自治体が旧村名を引き継いで残したもの。
好 コウ・すく・このむ 女部
解字 「女(おんな)+子(こども)」の会意。女性が子どもをかわいがるさま。
意味 (1)このむ(好む)。愛する。すく(好く)。「愛好アイコウ」「好意コウイ」 (2)よい。このましい(好ましい)。「好調コウチョウ」「好機コウキ」 (3)したしい。よしみ。「友好ユウコウ」「好誼コウギ」(したしい交わり)
孔 コウ・ク・あな 子部
解字 金文は赤子が乳房を吸う形で篆文はその変形。現代字は孔に変化した。中国古代・商(殷)時代の王家の家族が、本家の子であることから創始した「子」姓の末裔が、のちに「孔」姓を創始したが、これは本家の「子」姓に対し、子が乳房を吸う形の「孔」を姓としたと思われ、もともと孔姓を表す字。また、子が乳房をすうとき乳腺をとおり乳が沁みでる小さな穴をいう。
意味 (1)姓のひとつ。「孔子コウシ」(中国・春秋時代の思想家)「孔孟コウモウ」(孔子と孟子) (2)あな(孔)。小さなあな。とおる。「乳孔ニュウコウ」(乳腺から乳がでる小さな穴)「気孔キコウ」(葉の表皮にある外部と気体の交換をする孔)「瞳孔ドウコウ」(目の黒目の部分が穴にみえるから言う)「鼻孔ビコウ」(鼻のあな)「孔版コウハン」(小さな孔の集合によってできる文字などを刷ること。ガリ版) (3)クの音。「孔雀クジャク」(キジ科の鳥。オスは美しい羽をひろげる)
仔 シ・こ イ部
解字 「イ(ひと)+子(こども)」の会意形声。幼い子を人が負う形で、幼い子の意。現在は動物の子に使われる。また子の意味(4)の、こまかいと同じく「仔細シサイ」として使われる。
意味 (1)こ(仔)。動物の子。「仔牛こうし」「仔魚シギョ」(魚類の成長過程の発育段階の一つ。幼生ともいう。仔魚の次は稚魚となる) (2)こまかい。「仔細シサイ」(=子細)
孜 シ・つとめる 攵部
解字 「攵ボク(=攴。打つ)+子(子ども)」 の会意形声。子どもを愛のムチで打ち、きたえるのが原義。子どもが自分ではげむ意に変わった。
意味 つとめる(孜める)。はげむ。「孜孜シシ」(熱心にはげむさま。あきらめずに努力するさま)「孜孜汲汲シシキュウキュウ」(飽きたり怠けたりせず熱心に励み努力をする。孜孜も汲汲も熱心に続ける意)
李 リ・すもも 木部
解字 「木(き)+子(こども⇒実)」の会意。リという名の木の果実。すももを指す。
すもも(李)の実(「デジタル大辞泉・李」より)
意味 (1)すもも(李)。バラ科の落葉小高木。桃より小さく酸っぱい果実をつけるので「すもも(酸桃)」とよばれる。「李下リカ」(すももの木の下)「李下不正冠」(李下に冠を正(ただ)さ不 (ず)」(スモモの木の下で冠がずれても直さない。冠を直すとスモモを盗んだと思われるので、人から疑いをかけられるような行いは避けるべきであるという例え) (2)「行李コウリ」(使者。行き治める者)に使われる字。行李とは、古代中国で同音の行理と書かれ、外国へ行って自国の事を管理する外交官の意。外交官はよく旅行し荷物を運ぶので、旅行の荷物、また荷物入れの意となり、同音の「行李」となった。「柳行李やなぎごうり」(コリヤナギの枝で編んだ荷物入れ) (3)姓のひとつ。「李白リハク」(中国・唐代の詩人)
コウの音
吼 コウ・ク・ほえる 口部
解字 「口(くち)+孔(コウ)」の形声。コウは吽コウ・哮コウなどと同じく、けもののほえる声をいう。
意味 ほえる(吼える)。獣などが大声でほえる。人が大声を出す。「獅子吼シシク」(獅子が吼える。仏が説法する)「吼号コウゴウ」(大声でさけぶ)
<紫色は常用漢字>
参考 子シは、部首「子こ・こども・こどもへん」になる。漢字の上部・左辺・下部に付いて、こどもの意を表す。子部には常用漢字が9字、約14,600字を収録する『新漢語林』では、36字を含む。子部の主な字は以下のとおり。
常用漢字 9字
子シ・こ (部首)
孔 コウ・あな(子を含む会意)
字ジ・あざ (子+宀の会意形声)
存ゾン(子+音符「才サイ」)
孝コウ(耂+子の会意)
学ガク・まなぶ(子+音符「學の略体」)
季キ(禾+子の会意)
孫ソン・まご(子+系の会意)
孤コ・みなしご(子+音符「瓜カ」)
その他
孟モウ・はじめ(皿+子の会意)
孚フ(爫+子の会意)ほか
このうち、孚フ・季キ・孝コウ、孟モウ、は音符となる。
孨 セン <よわい・ちいさい>
孨 セン・よわい 子部
解字 赤子を三人あわせた形。小さく、か弱い子を三人描いた形で、よわい意。
意味 (1)よわい。 (2)つつしむ。
イメージ 「よわい・ちいさい」
音の分布 セン:孱・潺
よわい・ちいさい
孱 セン・サン・よわい・おとる
解字 「尸(からだ)+孨(よわい・ちいさい)」の会意形声。身体がよわく小さいこと。
意味 (1)よわい(孱い)。おとる。ちいさい。 「孱弱センジャク」(小さくかよわいこと。ひよわなこと)「孱質センシツ」(よわい体質)「孱瑣センサ」(ちいさく細かい) (2)おとる。「孱愚セング」 (3)「孱顔センガン・サンガン」とは、①ふぞろいなさま。②山が高くけわしいさま。
潺 セン・サン 氵部
解字 「氵(みず)+孱(よわい・ちいさい)」の会意形声。よわく小さい水の流れ。小川がさらさらと流れるさま。
意味 水がさらさら流れるさま、またその音。「潺潺センセン」(小川などのさらさらとよどみなく流れるさま)「潺湲センカン・センエン」(潺は、水がさらさら流れるさま。湲は水がゆっくりとめぐるさま。①水が清くさらさら流れる様子。また、その音。 ②涙がはらはらと流れつづける様子)
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