漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「曹ソウ」<荷物を運ぶ仲間>と「遭ソウ」「槽ソウ」「漕ソウ」「艚ソウ」「糟ソウ」

2024年03月19日 | 漢字の音符
  改定しました。
 ソウ・ゾウ・ともがら   曰部 cáo

解字 甲骨文字は「東(荷物を入れた袋)+東(荷物を入れた袋)+口(くち)」の形。荷物二つで荷物を運ぶ二人を表す。そこに口がついて、荷物を運ぶ人が互いに話をしている形で、ともがら・なかまの意だが、意味は地名。金文は口⇒口にものを含む形になるが、意味は国名で春秋時期の曹国の意味がある。篆文は曰(いう)になり裁判用語として使われたため、司法関係の役所や広く役人の意味となった。
 音符イメージとしては、「なかま・ともがら」のほかに、東が荷物を入れる袋であることから、ともがらが「荷物をはこぶ」イメージがある。東が荷物を入れた袋であることについては、音符「東トウ」を参照。
意味 (1)なかま。ともがら(曹)。「朋曹ホウソウ」(ともがら) (2)つかさ(曹)。裁判官。役人。「法曹ホウソウ」(法律家) (3)軍隊などの階級の一つ。「軍曹グンソウ」(陸軍下士官の一つ) (4)「曹司ソウシ」とは、役所。官庁。小役人。「曹司ゾウシ」とは、[国]①宮中の女官などの部屋。②貴族の部屋住みの子弟。「御曹司オンゾウシ」(堂上家の部屋住みの子息。名門の子弟) (5)外国語の音訳。「曹達ソーダ」(オランダ語 soda[ナトリウム塩。通常は炭酸ナトリウムを指す]の音訳語)「重曹ジュウソウ」(重炭酸曹達の略。炭酸水素ナトリウムの俗称) (6)国名。「曹国ソウコク」(BC1046年~BC487年)。周代諸侯国の一つ。山東省にあった。(7)姓のひとつ。「曹操ソウソウ」(三国魏の政治家)
覚え方  ついたち(一日)、ふつか(| |日)で。実際の書き方は、こちら

イメージ 
 「なかま・ともがら」
(曹・遭)
 ともがらが「荷物をはこぶ」(漕・艚・槽)
 「その他」(糟)
音の変化  ソウ:曹・遭・漕・艚・槽・糟

なかま・ともがら
 ソウ・あう  辶部 zāo
解字 「辶(ゆく)+曹(ともがら)」の会意形声。ともがらがゆくと、ともがらと道で出会うこと。
意味 あう(遭う)。であう。めぐりあう。「遭遇ソウグウ」(思いがけずあう)「遭難ソウナン」(災難にあう)「遭罹ソウリ」(悩み事にぶつかる。[難に]あう。)

荷物を運ぶ
 ソウ・こぐ  氵部 cáo
解字 「氵(水)+曹(荷物を運ぶ)」の会意形声。水路で荷物を運ぶこと。
意味 (1)船で物を運ぶ。「漕運ソウウン」(船で物をはこぶ) (2)船で物を運ぶ水路。「漕渠ソウキョ」(漕運のための水路) (3)こぐ(漕ぐ)「漕艇ソウテイ」(ボートをこぐ)
 ソウ  舟部 cáo
解字 「舟(ふね)+曹(=漕。水路で荷物を運ぶ)」の会意形声。水路で荷物を運ぶ舟。
意味 水上運送用の木船。また、ひろく小舟のこと。「艚子ソウシ」(小舟)
 ソウ・おけ  木部 cáo
解字 「木(き)+曹(=艚。ふね)」の形声。木製の舟型の容器。当初、馬や牛のえさを入れる「かいばおけ」を言った。のち、水や酒を蓄える容器の意に使われる。

かいばおけ・馬槽(胴は舟型になっている。中国のネットより)
意味 (1)おけ(槽)。かいばおけ。「馬槽バソウ」 (2)水や酒をたくわえる容器。「水槽スイソウ」「浴槽ヨクソウ」「酒槽シュソウ

その他
 ソウ・かす  米部 zāo

解字 春秋戦国時代に使われた籀文チュウブンは「東東(袋二つ)+酉(さけ)」の会意形声。東は筒状の袋で、これに酒のもろみ(濾していない酒)をいれた形。上から圧力をかけて絞ると酒ができる。袋に残ったものが、カス(糟)である。篆文第一字(六書通)は、「酉+曹ソウ」の形になり、篆文第二字で「米(米からつくる酒)+曹(=東東。ふくろ)」の会意形声に変わったが、意味は酒かすである。籀文の字形は、「象形字典Vividict.com]による。
意味 (1)かす(糟)。「糟糠ソウコウ」(酒のかすと米のぬか。まずい食べ物)「糟糠の妻」(粗末な食事をした貧乏な時から苦労を共にしてきた妻)「糟粕ソウハク」(糟も粕も、酒かすの意。かす。つまらいものの例え)「糟魚ソウギョ」(かすづけの魚) (2)酒かすをしぼる前の、もろみ。こしてない酒。
<紫色は常用漢字>

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