改定しました。
韋 イ 韋部 wéi
解字 甲骨文字と金文は、「進む足+囗(城壁)+進む足」の会意。城壁の上下に左右逆向きの足を加えて、城壁を守備のため巡回する形を表わす。韋は、ぐるぐるまわる意から足の速いと俗伝がある韋駄天に当てる他、緯イ(よこいと)に通じ、竹簡の書物の綴じ糸の意になる。また、綴じ糸が革ひもと考えられたことなどから、後に、なめし革の意ができた。新字体で用いられるとき、韋⇒偉の右辺に変化する。音符になると城壁をまもるため、「まわりをめぐる」「行ったり来たりする」イメージがある。
意味 (1)とじひも。「韋編三絶イヘンサンゼツ」(書物の綴じ紐が三度も切れるほど熟読すること。韋は、なめしがわの紐とされてきたが、実際は緯イ(よこいと)に通じ、綴じ紐の意とされる)(2)韋駄天イダテンは、バラモン教の神でシバ神の子とされ、伽藍を守る神。また足が速いとの俗伝がある。「韋駄天イダテン」(足の速い人) (3)なめし革。「韋革イカク」(なめしがわ)「韋柔イジュウ」(なめしがわのように柔らかい)
参考 韋は部首「韋なめしがわ」になる。漢字の左辺に付いてなめし革の意をあらわす。この部に属する字は少なく、主な字は以下のとおり。
韜トウ・つつむ(韋+音符「舀トウ」)
韓カン(韋(=圍。かこい・領域)+倝(はた)の略)
イメージ
「まわりをめぐる」(韋・衛・囲・幃・葦)
「行ったり来たりする」(緯・違)
「形声字」(偉・諱)
音の変化 イ:韋・囲・幃・葦・緯・違・偉 エイ:衛 キ:諱
まわりをめぐる
衛 エイ・まもる 行部 wèi
解字 「行(ゆく)+韋(まわりをめぐる)」 の会意形声。まわりをめぐる(韋)かたちに、さらに行(ゆく。彳と亍に分かれる)をつけ、厳重に巡回して中を守ること。
意味 (1)まもる(衛る)。ふせぐ。「衛兵エイヘイ」「衛生エイセイ」(生命をまもる)「親衛シンエイ」(天子・国家元首などの身辺を護衛すること) (2)まわる。「衛星エイセイ」(惑星のまわりを公転する星)
囲[圍] イ・かこむ・かこう 囗部 wéi
解字 旧字は圍で、「口(かこい)+韋(まわりをめぐる)」 の会意形声。まわりを巡って守備している城を外からかこむこと。城を攻める時、包囲する形をいう。新字体は、旧字の韋が井(井戸枠)に変わった。
意味 (1)かこむ(囲む)。かこう(囲う)。とりまく。「包囲ホウイ」 (2)まわり。「周囲シュウイ」 (3)かぎり。境界。「範囲ハンイ」
幃 イ・とばり 巾部 wéi
解字 「巾(ぬの)+韋(=圍。かこう)」の会意形声。まわりを布でかこった「とばり」をいう。
① ②
①和漢三才図会の「帷幄」、②「日本国語大辞典」掲載図の「帷幄」
意味 とばり(幃)。まわりを囲む布。「幃幄イアク」(とばり。戦場などで幕を張り作戦を立てる所)「幃幕イマク」(=幃幄)
葦 イ・あし・よし 艸部 wěi
解字 「艸(草)+韋(まわりをめぐる)」 の会意形声。水辺をめぐるように生える背の高い草。[説文解字]は「大葭(あし)也(なり)。艸(草)に従い韋の聲(声)」と、大きな葭(あし)とする。
ヨシ刈り(滋賀県近江八幡市円山町付近)(「淡海環境保全財団・ヨシとは」より)
意味 あし(葦)。よし(葦)。イネ科の多年草。水辺に自生し高さ約2メートルをこえる。茎はまるく、スダレやヨシズの材料となる。アシは悪し、に通じるとして、ヨシとも呼ばれる。「葦簀よしず」「葦笛あしぶえ」(葦の葉を丸く巻いて作った笛)「葦席イセキ」(あしで編んだむしろ)「葦汀イテイ」(葦のはえている水ぎわ)「葦舟あしぶね」(①葦で作った舟。②葦を積んだ舟)
行ったり来たりする
緯 イ・よこいと 糸部 wěi
解字 「糸(いと)+韋(行ったり来たりする)」 の会意形声。機織りで布を織るとき、横に行き来する糸。
意味 (1)よこいと(緯)。「緯糸ぬきいと」⇔ 経糸(たていと)。「緯書イショ」(経書ケイショが不変の道(たて糸)を説くのに対し、緯書はよこ道である占いや予言を記した書)「讖緯シンイ」(讖は予言する、緯は緯書。予言を記す書物) (2)よこ。東西の方向。「緯度イド」(赤道に平行して地球の表面を南北に測る基準)「北緯ホクイ」「南緯ナンイ」「緯線イセン」
違 イ・ちがう・ちがえる 辶部 wéi
解字 「辶(すすむ)+韋(行ったり来たりする)」 の会意形声。行くほうと来るほうが異なる道を行くこと。行き違いになること。転じて、ちがう・そむく意となる。
意味 (1)ちがう(違う)。異なる。「違和感イワカン」(ちぐはぐな感じ)「相違ソウイ」 (2)たがう。そむく。「違反イハン」「違約イヤク」
形声字
偉 イ・えらい イ部 wěi
解字 「人(ひと)+韋(イ)」の形声。発音のイは畏イ(おそれうやまう)に通じる。そこにイ(ひと)が付いた偉イは、おそれうやまう人、転じて、すぐれる・えらい意を表す。
意味 (1)えらい(偉い)。すぐれる。「偉大イダイ」「偉人イジン」 (2)大きい。さかんな。「偉観イカン」「偉容イヨウ」
諱 キ・いみな 言部 huì
解字 「言(ことば)+韋(キ)」 の形声。キは忌キ(いむ)に通じ、本名を言うのをさけること。古代の漢字文化圏では、本名の漢字は家族など親しい人のみにしか知らせなかった(本名を教えると、その漢字を用いた呪術などに使われるのを避けるため、という説もある)。したがって諱とは生前の本名をいう。韋イの発音は、イとエイが主であるが、褘キ・イ(ひざ掛け。JIS第三水準)のようにキの発音もある。
意味 (1)いみな(諱)。亡くなった人の本名。歴代天子の本名。 (2)死後に尊んで付けた称号。諡シ・おくりなとも。 (3)いむ。口にすることをさける。「諱言キゲン」(おそれはばかって言わない)「諱忌キキ」(さけて言わない)
<紫色は常用漢字>
韋 イ 韋部 wéi
解字 甲骨文字と金文は、「進む足+囗(城壁)+進む足」の会意。城壁の上下に左右逆向きの足を加えて、城壁を守備のため巡回する形を表わす。韋は、ぐるぐるまわる意から足の速いと俗伝がある韋駄天に当てる他、緯イ(よこいと)に通じ、竹簡の書物の綴じ糸の意になる。また、綴じ糸が革ひもと考えられたことなどから、後に、なめし革の意ができた。新字体で用いられるとき、韋⇒偉の右辺に変化する。音符になると城壁をまもるため、「まわりをめぐる」「行ったり来たりする」イメージがある。
意味 (1)とじひも。「韋編三絶イヘンサンゼツ」(書物の綴じ紐が三度も切れるほど熟読すること。韋は、なめしがわの紐とされてきたが、実際は緯イ(よこいと)に通じ、綴じ紐の意とされる)(2)韋駄天イダテンは、バラモン教の神でシバ神の子とされ、伽藍を守る神。また足が速いとの俗伝がある。「韋駄天イダテン」(足の速い人) (3)なめし革。「韋革イカク」(なめしがわ)「韋柔イジュウ」(なめしがわのように柔らかい)
参考 韋は部首「韋なめしがわ」になる。漢字の左辺に付いてなめし革の意をあらわす。この部に属する字は少なく、主な字は以下のとおり。
韜トウ・つつむ(韋+音符「舀トウ」)
韓カン(韋(=圍。かこい・領域)+倝(はた)の略)
イメージ
「まわりをめぐる」(韋・衛・囲・幃・葦)
「行ったり来たりする」(緯・違)
「形声字」(偉・諱)
音の変化 イ:韋・囲・幃・葦・緯・違・偉 エイ:衛 キ:諱
まわりをめぐる
衛 エイ・まもる 行部 wèi
解字 「行(ゆく)+韋(まわりをめぐる)」 の会意形声。まわりをめぐる(韋)かたちに、さらに行(ゆく。彳と亍に分かれる)をつけ、厳重に巡回して中を守ること。
意味 (1)まもる(衛る)。ふせぐ。「衛兵エイヘイ」「衛生エイセイ」(生命をまもる)「親衛シンエイ」(天子・国家元首などの身辺を護衛すること) (2)まわる。「衛星エイセイ」(惑星のまわりを公転する星)
囲[圍] イ・かこむ・かこう 囗部 wéi
解字 旧字は圍で、「口(かこい)+韋(まわりをめぐる)」 の会意形声。まわりを巡って守備している城を外からかこむこと。城を攻める時、包囲する形をいう。新字体は、旧字の韋が井(井戸枠)に変わった。
意味 (1)かこむ(囲む)。かこう(囲う)。とりまく。「包囲ホウイ」 (2)まわり。「周囲シュウイ」 (3)かぎり。境界。「範囲ハンイ」
幃 イ・とばり 巾部 wéi
解字 「巾(ぬの)+韋(=圍。かこう)」の会意形声。まわりを布でかこった「とばり」をいう。
① ②
①和漢三才図会の「帷幄」、②「日本国語大辞典」掲載図の「帷幄」
意味 とばり(幃)。まわりを囲む布。「幃幄イアク」(とばり。戦場などで幕を張り作戦を立てる所)「幃幕イマク」(=幃幄)
葦 イ・あし・よし 艸部 wěi
解字 「艸(草)+韋(まわりをめぐる)」 の会意形声。水辺をめぐるように生える背の高い草。[説文解字]は「大葭(あし)也(なり)。艸(草)に従い韋の聲(声)」と、大きな葭(あし)とする。
ヨシ刈り(滋賀県近江八幡市円山町付近)(「淡海環境保全財団・ヨシとは」より)
意味 あし(葦)。よし(葦)。イネ科の多年草。水辺に自生し高さ約2メートルをこえる。茎はまるく、スダレやヨシズの材料となる。アシは悪し、に通じるとして、ヨシとも呼ばれる。「葦簀よしず」「葦笛あしぶえ」(葦の葉を丸く巻いて作った笛)「葦席イセキ」(あしで編んだむしろ)「葦汀イテイ」(葦のはえている水ぎわ)「葦舟あしぶね」(①葦で作った舟。②葦を積んだ舟)
行ったり来たりする
緯 イ・よこいと 糸部 wěi
解字 「糸(いと)+韋(行ったり来たりする)」 の会意形声。機織りで布を織るとき、横に行き来する糸。
意味 (1)よこいと(緯)。「緯糸ぬきいと」⇔ 経糸(たていと)。「緯書イショ」(経書ケイショが不変の道(たて糸)を説くのに対し、緯書はよこ道である占いや予言を記した書)「讖緯シンイ」(讖は予言する、緯は緯書。予言を記す書物) (2)よこ。東西の方向。「緯度イド」(赤道に平行して地球の表面を南北に測る基準)「北緯ホクイ」「南緯ナンイ」「緯線イセン」
違 イ・ちがう・ちがえる 辶部 wéi
解字 「辶(すすむ)+韋(行ったり来たりする)」 の会意形声。行くほうと来るほうが異なる道を行くこと。行き違いになること。転じて、ちがう・そむく意となる。
意味 (1)ちがう(違う)。異なる。「違和感イワカン」(ちぐはぐな感じ)「相違ソウイ」 (2)たがう。そむく。「違反イハン」「違約イヤク」
形声字
偉 イ・えらい イ部 wěi
解字 「人(ひと)+韋(イ)」の形声。発音のイは畏イ(おそれうやまう)に通じる。そこにイ(ひと)が付いた偉イは、おそれうやまう人、転じて、すぐれる・えらい意を表す。
意味 (1)えらい(偉い)。すぐれる。「偉大イダイ」「偉人イジン」 (2)大きい。さかんな。「偉観イカン」「偉容イヨウ」
諱 キ・いみな 言部 huì
解字 「言(ことば)+韋(キ)」 の形声。キは忌キ(いむ)に通じ、本名を言うのをさけること。古代の漢字文化圏では、本名の漢字は家族など親しい人のみにしか知らせなかった(本名を教えると、その漢字を用いた呪術などに使われるのを避けるため、という説もある)。したがって諱とは生前の本名をいう。韋イの発音は、イとエイが主であるが、褘キ・イ(ひざ掛け。JIS第三水準)のようにキの発音もある。
意味 (1)いみな(諱)。亡くなった人の本名。歴代天子の本名。 (2)死後に尊んで付けた称号。諡シ・おくりなとも。 (3)いむ。口にすることをさける。「諱言キゲン」(おそれはばかって言わない)「諱忌キキ」(さけて言わない)
<紫色は常用漢字>