漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「炎エン」<ほのお> と 「啖タン」「痰タン」「淡タン」「毯タン」「談ダン」

2024年03月09日 | 漢字の音符
    エン <ほのお>
 エン・ほのお  火部 yán
   
解字 「火(ひ)+火(ひ)」の会意。火をかさねて火焔(ほのお)を表わす。ほのお・もえる・あつい意味を示す。
意味 (1)ほのお(炎)。「火炎カエン」 (2)もえる。「炎上エンジョウ」 (3)焼けるように熱い。「炎天下エンテンカ」 (4)痛み・はれ・熱をともなう症状。「肺炎ハイエン」「炎症エンショウ

イメージ 
 「ほのお」
(炎)
 炎がもえるさまから「さかんに」(啖・餤)
 「形声字」(談・痰・淡・毯)
音の変化  エン:炎  タン:啖・痰・餤・淡・毯  ダン:談  

さかんに
 タン・くう・くらう  口部 dàn
解字 「口(くち)+炎(さかんに)」の会意形声。口からさかんに食べること。また、口から激しい言葉を言うこと。
意味 (1)くう(啖う)。くらう。むさぼり食う。「健啖ケンタン」「健啖家ケンタンカ」(大食い)(2)勢いするどい言葉をいう。「啖呵タンカ」(勢い鋭い言葉。まくしたてる)「啖呵を切る」
 タン  食部 dàn
解字 「食(たべる)+炎(さかんに)」の会意形声。さかんに食べまた、相手にすすめること。また、啖と通用する。
意味 (1)くらう(餤う)。すすむ(餤む)。かつかつと食べる。 (2)くらわす(餤らわす)。すすめる(餤める)。 (3)小麦粉をこねて作った食品。「餅餤ヘイタン」(ビスケット状の菓子)

形声字
 ダン・タン・かたる   言部 tán
解字 「言(ことば)+炎(エン⇒ダン・タン)」の形声。[説文解字]は「語る也(なり)。言に従い炎の聲(声)」「同注」は「語る也(なり)。談者(は)、淡タン也(なり)。平淡之(の)語り」とする。談ダンは、譚タン・ダンと発音が近い。日常的な談話をいう。 
意味 (1)かたる(談る)。話す。「会談カイダン」「雑談ザツダン」「談笑ダンショウ」「相談ソウダン」(2)はなし。ものがたり。「講談コウダン」「美談ビダン」「怪談カイダン
 タン  疒部 tán
解字 「疒(やまい)+炎(エン⇒タン)」の形声。気道(肺に通じる空気の通路)からでる粘液が 疒(やまい)のため、かたまって出るものを痰タンという。通常でも気管支は分泌物におおわれて膜を保護しているが 疒(やまい)になると分泌物が増え咳とともに痰として出てくる。痰が出るのは異物を体内に取り込まないようにするための防御反応。
意味 たん(痰)。「血痰ケッタン」(血の混じったたん)「痰壷たんつぼ」(たんを吐きいれる壷)「喀痰カクタン」(痰を吐くこと)
 タン・あわい  氵部 dàn
解字 「氵(水)+炎(タン)」の形声。タンは覃タンに通じる。覃タンは、壷の中に塩で味付けした食物が熟している形。淡は、そこに水をいれて味がうすまること。音符「覃タン」を参照。
意味 (1)あわい(淡い)。うすい。味がうすい。色がうすい。「淡彩タンサイ」「淡白タンパク」(味がうすい。欲がない)(2)欲がない。あっさりとした。「淡交タンコウ」(あっさりした交わり)「冷淡レイタン」(3)塩分を含まない。「淡水タンスイ
 タン  毛部 tǎn
解字 「毛(け)+炎(タン)」の形声。タンは亶タン・セン(厚い)に通じ、毛を織り込んだ厚めの敷物。毛氈モウセンの氈セン(「毛+亶タン・セン(厚い)」=毛織の厚い敷物)と成り立ちが同じ。
意味 毛で織った敷物。もうせん(毛氈)。けむしろ。「絨毯ジュウタン」※絨ジュウは厚い毛織物の意。
<紫色は常用漢字>

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