改訂しました。
弓 キュウ・ゆみ 弓部 gōng

解字 弓の形を描いた象形。甲骨文・金文には弦を張った形と、弓体だけの形の二種がある。篆文以降は弓体の形を表わす。弓は部首になるとともに、音符にもなる。
意味 (1)ゆみ(弓)。「弓矢ゆみや」「弓道キュウドウ」「弓箭キュウセン」(弓と矢。武士)(2)弓の形をしたもの。「弓状キュウジョウ」「弓張月ゆみはりづき」(弓の弦を張ったような月。上弦・下弦の月をいう)
参考 弓は部首「弓ゆみ・弓へん」になる。漢字の左辺および下部に付き、弓および「弓なりにまがる」意味をあらわす。常用漢字で11字あり以下のとおり。
弓キュウ・ゆみ(部首)
引イン・ひく(弓+タテ線、の会意)
強キョウ・つよい(虫+音符「弘コウ」)
弦ゲン・つる(弓+音符「玄ゲン」)
孤コ(弓+音符「瓜コ」)
弱ジャク・よわい(弓2つ+冫2つ、の会意)
弾ダン・たま(弓+音符「単タン」)
張チョウ・はる(弓+音符「長チョウ」)
弟テイ・おとうと(象形)
弩ド(弓+音符「奴ド」)
弥ビ・や(弓+音符「尓ジ」)
なお、引イン、弱ジャク、弟テイ、は音符ともなる。
イメージ
「ゆみ」(弓・引・蚓・矧・弔)
「弓なりにまがる」(躬・窮・穹)
「その他」(吊・弖)
音の変化 キュウ:弓・躬・窮・穹 イン:引・蚓 シン:矧 チョウ:弔・吊 て:弖
ゆ み
引 イン・ひく 弓部 yǐn

解字 甲骨文字第一字は、弓体の横に大(ひと)を描き、人が弓を引くさま。第二字は、弓体の右横に人の腕が残った形[甲骨文字字典]。金文も甲骨第二字と同形。篆文に至って、弓の横に長いタテ線となり、現代字の引になった。弓を引く、転じて物を引っぱる意となる。
意味 (1)ひく(引く)。ひっぱる(引っぱる)。「引力インリョク」「牽引ケンイン」(2)導く。つれていく。「引率インソツ」(3)ひきだす。ひきよせる。「引用インヨウ」「引証インショウ」(証拠として引用する)(4)しりぞく。さがる。「引退インタイ」
蚓 イン 虫部 yǐn
解字 「虫(むし)+引(ひっぱる)」 の会意形声。引っぱって長くしたような虫で、ミミズを表す。
意味 みみず(蚓)。「蚯蚓キュウイン・みみず」(蚯も蚓も、みみずの意)「蚓操インソウ」(ミミズのみさお(操)。ミミズが土を食い水を飲むだけの生活をしている。それがミミズの操(自分の主義・主張)であって、それ以上のものを求めない生き方)「春蚓秋蛇シュンインシュウダ」(春のミミズや秋のヘビのように、字も行も、うねうねと曲がりくねっていること。字がへたなことのたとえ)
矧 シン・はぐ 矢部 shěn
解字 「矢(や)+引(弓をひく)」の会意。矢を弓で引くこと。矢を射る意であるが、仮借カシャ(当て字)して、「いわんや・まして」の意味となる。日本では、矢を作る人が作った矢を試しに射ることから、矢を作る意で用いられる。
意味 (1)いわんや(矧や)。まして。(2)[国]はぐ(矧ぐ)。矢竹に羽をつけて矢を作る。「矢矧やはぎ」(矢を作ること。矢を作ることを職業とする人。矢師)「矢矧部やはぎべ」(大和朝廷で矢の製作を職業とした人の集団) (3)地名。「矢矧川(矢作川)やはぎがわ」(長野県・岐阜県・愛知県を流れ三河湾に注ぐ河川。名称は矢作橋(愛知県岡崎市)の周辺にあった矢を作る部の民のいた集落に由来している。※はぐ(矧ぐ)は古くは、はく(佩く)。矢竹に羽を佩かせる意か。
弔 チョウ・とむらう 弓部 diào

解字 篆文は「人+弓」の会意。亡くなった人の傍らに弓をおき、死者の霊を邪悪から守ること。転じて、死者の霊をなぐさめる意。のち、人の上部が略されタテ線のみとなった。
意味 とむらう(弔う)。死者の霊をなぐさめる。おくやみを言う。「弔問チョウモン」「弔辞チョウジ」「弔電チョウデン」
覚え方 ゆみ(弓)ひいた(丨)やつを弔(とむら)い、弔辞チョウジ読む。(「漢字川柳」より)
弓なりにまがる
躬 キュウ・み・みずから 身部 gōng
解字 「身(からだ)+弓(弓なりに曲がる)」 の会意形声。弓のようにまがる柔軟な身体。
意味 (1)み(躬)。からだ。「躬身キュウシン」(からだ。からだを曲げて礼をする)「鞠躬キッキュウ」(①身をかがめる。②懸命につとめに励むこと。鞠は、身匊キク(これで一字。身をまるくかがめる)に通じ、身をかがめて子を抱き育てる意味にも使われる)(2)自分。みずから(躬ら)。「躬行キュウコウ」(自ら行なう)「率先躬行ソッセンキュウコウ」(人の先に立って、自ら物事を実行する)「躬耕キュウコウ」(自ら耕す)
窮 キュウ・きわめる・きわまる 穴部 qióng
解字 「穴(横穴)+躬キュウ(み。からだ)」 の会意形声。横穴に躬(み・からだ)を入れること。穴の中で行きづまる意となる。また、穴の中をつきつめて行く意もある。
意味 (1)きわまる(窮まる)。行きづまる。「窮地キュウチ」(2)生活が苦しい。「困窮コンキュウ」「窮乏キュウボウ」「窮民キュウミン」(3)きわめる(窮める)。つきつめる。「窮理キュウリ」(真理を窮める)(4)きわみ。きわまり。「窮海キュウカイ」(海のはて)
穹 キュウ・そら 穴部 qióng
解字 「穴(竪穴住居⇒家)+弓(弓なりに曲がる)」の会意形声。天井が弓なりになったアーチ型の家。ドーム形。転じて、広く張って大地をおおう空。
意味 (1)丸天井。ドーム形。「穹廬キュウロ」(遊牧民族のパオ)(2)そら(穹)。「蒼穹ソウキュウ」(あおぞら)「天穹テンキュウ」(おおぞら)
その他
吊 チョウ・つる・つるす 口部 diào

解字 弔チョウ(とむらう)の俗字として明代から使われた字。現代の中国語では弔う意で使われる。日本では釣チョウ(つる)に通じ、つる意で用いる。
覚え方 口(まるい輪)に、巾(きれ)を通して吊り下げる
意味 (1)つる(吊る)。つるす(吊す)。つりさげる。「吊橋つりばし=釣橋」「吊輪つりわ」「吊革つりかわ」「吊し柿」(つるして干した柿)(2)とむらう。
弖 <国字> て 弓部


氐の異体字(右上)の第一字が、弖のもとになった字(「漢典の氐」より)
解字 氐テイ(=底そこ)の異体字である「弓+人+一」の人を省いて作った国字。漢文訓読に用いるヲコト点で、漢字の四隅にある点を左下から順によむと「て」「に」「を」「は」となることから、四隅の最初の底にあたる「て」に当てた。異体字は「漢典の氐」より
ヲコト点(ごちそう日本語研究所)
意味 (1)助詞の「て」の当て字。「弖爾乎波てにをは」(2)人名。「阿弖流為あてるい」(平安時代初期の蝦夷の軍事指導者。789年に胆沢に侵攻した朝廷軍を撃退したが、坂上田村麻呂に敗れて処刑された)
<紫色は常用漢字>
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弓 キュウ・ゆみ 弓部 gōng

解字 弓の形を描いた象形。甲骨文・金文には弦を張った形と、弓体だけの形の二種がある。篆文以降は弓体の形を表わす。弓は部首になるとともに、音符にもなる。
意味 (1)ゆみ(弓)。「弓矢ゆみや」「弓道キュウドウ」「弓箭キュウセン」(弓と矢。武士)(2)弓の形をしたもの。「弓状キュウジョウ」「弓張月ゆみはりづき」(弓の弦を張ったような月。上弦・下弦の月をいう)
参考 弓は部首「弓ゆみ・弓へん」になる。漢字の左辺および下部に付き、弓および「弓なりにまがる」意味をあらわす。常用漢字で11字あり以下のとおり。
弓キュウ・ゆみ(部首)
引イン・ひく(弓+タテ線、の会意)
強キョウ・つよい(虫+音符「弘コウ」)
弦ゲン・つる(弓+音符「玄ゲン」)
孤コ(弓+音符「瓜コ」)
弱ジャク・よわい(弓2つ+冫2つ、の会意)
弾ダン・たま(弓+音符「単タン」)
張チョウ・はる(弓+音符「長チョウ」)
弟テイ・おとうと(象形)
弩ド(弓+音符「奴ド」)
弥ビ・や(弓+音符「尓ジ」)
なお、引イン、弱ジャク、弟テイ、は音符ともなる。
イメージ
「ゆみ」(弓・引・蚓・矧・弔)
「弓なりにまがる」(躬・窮・穹)
「その他」(吊・弖)
音の変化 キュウ:弓・躬・窮・穹 イン:引・蚓 シン:矧 チョウ:弔・吊 て:弖
ゆ み
引 イン・ひく 弓部 yǐn

解字 甲骨文字第一字は、弓体の横に大(ひと)を描き、人が弓を引くさま。第二字は、弓体の右横に人の腕が残った形[甲骨文字字典]。金文も甲骨第二字と同形。篆文に至って、弓の横に長いタテ線となり、現代字の引になった。弓を引く、転じて物を引っぱる意となる。
意味 (1)ひく(引く)。ひっぱる(引っぱる)。「引力インリョク」「牽引ケンイン」(2)導く。つれていく。「引率インソツ」(3)ひきだす。ひきよせる。「引用インヨウ」「引証インショウ」(証拠として引用する)(4)しりぞく。さがる。「引退インタイ」
蚓 イン 虫部 yǐn
解字 「虫(むし)+引(ひっぱる)」 の会意形声。引っぱって長くしたような虫で、ミミズを表す。
意味 みみず(蚓)。「蚯蚓キュウイン・みみず」(蚯も蚓も、みみずの意)「蚓操インソウ」(ミミズのみさお(操)。ミミズが土を食い水を飲むだけの生活をしている。それがミミズの操(自分の主義・主張)であって、それ以上のものを求めない生き方)「春蚓秋蛇シュンインシュウダ」(春のミミズや秋のヘビのように、字も行も、うねうねと曲がりくねっていること。字がへたなことのたとえ)
矧 シン・はぐ 矢部 shěn
解字 「矢(や)+引(弓をひく)」の会意。矢を弓で引くこと。矢を射る意であるが、仮借カシャ(当て字)して、「いわんや・まして」の意味となる。日本では、矢を作る人が作った矢を試しに射ることから、矢を作る意で用いられる。
意味 (1)いわんや(矧や)。まして。(2)[国]はぐ(矧ぐ)。矢竹に羽をつけて矢を作る。「矢矧やはぎ」(矢を作ること。矢を作ることを職業とする人。矢師)「矢矧部やはぎべ」(大和朝廷で矢の製作を職業とした人の集団) (3)地名。「矢矧川(矢作川)やはぎがわ」(長野県・岐阜県・愛知県を流れ三河湾に注ぐ河川。名称は矢作橋(愛知県岡崎市)の周辺にあった矢を作る部の民のいた集落に由来している。※はぐ(矧ぐ)は古くは、はく(佩く)。矢竹に羽を佩かせる意か。
弔 チョウ・とむらう 弓部 diào

解字 篆文は「人+弓」の会意。亡くなった人の傍らに弓をおき、死者の霊を邪悪から守ること。転じて、死者の霊をなぐさめる意。のち、人の上部が略されタテ線のみとなった。
意味 とむらう(弔う)。死者の霊をなぐさめる。おくやみを言う。「弔問チョウモン」「弔辞チョウジ」「弔電チョウデン」
覚え方 ゆみ(弓)ひいた(丨)やつを弔(とむら)い、弔辞チョウジ読む。(「漢字川柳」より)
弓なりにまがる
躬 キュウ・み・みずから 身部 gōng
解字 「身(からだ)+弓(弓なりに曲がる)」 の会意形声。弓のようにまがる柔軟な身体。
意味 (1)み(躬)。からだ。「躬身キュウシン」(からだ。からだを曲げて礼をする)「鞠躬キッキュウ」(①身をかがめる。②懸命につとめに励むこと。鞠は、身匊キク(これで一字。身をまるくかがめる)に通じ、身をかがめて子を抱き育てる意味にも使われる)(2)自分。みずから(躬ら)。「躬行キュウコウ」(自ら行なう)「率先躬行ソッセンキュウコウ」(人の先に立って、自ら物事を実行する)「躬耕キュウコウ」(自ら耕す)
窮 キュウ・きわめる・きわまる 穴部 qióng
解字 「穴(横穴)+躬キュウ(み。からだ)」 の会意形声。横穴に躬(み・からだ)を入れること。穴の中で行きづまる意となる。また、穴の中をつきつめて行く意もある。
意味 (1)きわまる(窮まる)。行きづまる。「窮地キュウチ」(2)生活が苦しい。「困窮コンキュウ」「窮乏キュウボウ」「窮民キュウミン」(3)きわめる(窮める)。つきつめる。「窮理キュウリ」(真理を窮める)(4)きわみ。きわまり。「窮海キュウカイ」(海のはて)
穹 キュウ・そら 穴部 qióng
解字 「穴(竪穴住居⇒家)+弓(弓なりに曲がる)」の会意形声。天井が弓なりになったアーチ型の家。ドーム形。転じて、広く張って大地をおおう空。
意味 (1)丸天井。ドーム形。「穹廬キュウロ」(遊牧民族のパオ)(2)そら(穹)。「蒼穹ソウキュウ」(あおぞら)「天穹テンキュウ」(おおぞら)
その他
吊 チョウ・つる・つるす 口部 diào

解字 弔チョウ(とむらう)の俗字として明代から使われた字。現代の中国語では弔う意で使われる。日本では釣チョウ(つる)に通じ、つる意で用いる。
覚え方 口(まるい輪)に、巾(きれ)を通して吊り下げる
意味 (1)つる(吊る)。つるす(吊す)。つりさげる。「吊橋つりばし=釣橋」「吊輪つりわ」「吊革つりかわ」「吊し柿」(つるして干した柿)(2)とむらう。
弖 <国字> て 弓部


氐の異体字(右上)の第一字が、弖のもとになった字(「漢典の氐」より)
解字 氐テイ(=底そこ)の異体字である「弓+人+一」の人を省いて作った国字。漢文訓読に用いるヲコト点で、漢字の四隅にある点を左下から順によむと「て」「に」「を」「は」となることから、四隅の最初の底にあたる「て」に当てた。異体字は「漢典の氐」より

意味 (1)助詞の「て」の当て字。「弖爾乎波てにをは」(2)人名。「阿弖流為あてるい」(平安時代初期の蝦夷の軍事指導者。789年に胆沢に侵攻した朝廷軍を撃退したが、坂上田村麻呂に敗れて処刑された)
<紫色は常用漢字>
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