太陽がのぼってくるさまを描いた字
昜 ヨウ 日部

解字 甲骨文は太陽とその上昇を示す T 字型からなる形で、日がのぼることを表している[甲骨文字辞典]。金文以降は太陽の光を表わす彡印をそえ「昜」の字形が整った。「日が高くあがる」意味をもつ。昜は単独で用いられることはなく、さまざまな部首と組み合わせて字が作られる。
意味 (1)あがる。日がのぼる。(2)明るい。日なた。あたたかい。
イメージ
「あがる太陽」(陽・場)
「あがる」(揚・楊・湯・蕩・盪・瘍)
「形声字」(腸・暢)
音の変化 ヨウ:陽・揚・楊・瘍 トウ:湯・蕩・盪 ジョウ:場 チョウ:腸・暢
あがる太陽
陽 ヨウ・ひ 阝部
解字 「阝(おか)+昜(あがる太陽)」の会意形声。あがる太陽の光が丘に当たる形。太陽の光の他、丘の日の当たる側、ひなたの意味を表わす。
意味 (1)ひ(陽)。日の光。「太陽タイヨウ」「陽光ヨウコウ」(2)ひなた。日のあたる。山の南側。「山陽サンヨウ」(①山の南側。⇔山陰。②山陽道の略)(3)あかるい。あたたかい。「陽春ヨウシュン」「陽気ヨウキ」(4)易の用語。主に男性的・積極的な性質をもつものを指す。対語: 陰。「陰陽インヨウ」
場 ジョウ・ば 土部
解字 「土(つち)+昜(あがる太陽)」の会意形声。あがってくる太陽を祭る儀式が行われる土地。
意味 (1)ば(場)。神を祭るための地。(2)ところ。事が行なわれる場所。「会場カイジョウ」「劇場ゲキジョウ」「戦場センジョウ」(3)とき。おり。「場合ばあい」「急場きゅうば」(4)劇の場面「一幕二場」
あがる
揚 ヨウ・あげる・あがる 扌部
解字 「扌(て)+昜(あがる)」の会意形声。手で高くあげること。
意味 (1)あげる(揚げる)。あがる(揚がる)。「揚力ヨウリョク」「掲揚ケイヨウ」(2)勢いがある。気分が高まる。「高揚コウヨウ」(3)地名。「揚州ヨウシュウ」(中国江蘇省の都市。長江北岸にあり大運河の出入り口。明・清時代には文化の中心地のひとつ)
楊 ヨウ・やなぎ 木部
解字 「木(き)+昜(あがる)」の会意形声。枝が上にあがって伸びるヤナギの木。
意味 (1)やなぎ(楊)。枝が垂れないコリヤナギなどをいう。「楊枝ヨウジ」(歯ぐきを掃除する小さな棒。もと楊材を用いたからという)「楊弓ヨウキュウ」(遊戯用の小さい弓。もと楊材を用いたからという)「楊柳ヨウリュウ」(やなぎの総称)(2)人の姓。「楊貴妃ヨウキヒ」(唐の玄宗皇帝に愛された美人)(3)「黄楊つげ=柘」とは、ツゲ科の常緑小高木。暖地の山地に自生し,また庭木とされる。材は黄色で堅く,櫛や印材として使われる。「黄楊の櫛くし」 ※「楊」は枝が上にあがるヤナギ、「柳」は枝が下に垂れるヤナギ。
湯 トウ・ゆ 氵部
解字 「氵(水)+昜(あがる)」の会意形声。勢いよく湯気をあげて沸きたった湯。
意味 (1)ゆ(湯)。水を沸かしたもの。また、風呂。「湯気ゆげ」「湯沐トウモク」(湯に浴し髪を洗う)「湯治トウジ」(温泉に浴して治療する)「熱湯ネットウ」「湯池トウチ」(熱湯の沸き立った池。「金城キンジョウ湯池トウチ(守りのかたい城)(2)人名。「湯王トウオウ」(殷の初代の王)
蕩 トウ 艸部
解字 「艸(くさ)+湯(=湯気。自由にゆれうごく)」の会意形声。草が自由に揺れ動くさまを、人や状態にたとえて言う。
意味 (1)ただよう。ゆれうごく。「蕩揺トウヨウ」(ゆれ動く、また、ゆり動かす)「震蕩シントウ」(ふるえうごく)(2)のびやか。「春風駘蕩シュンプウタイトウ」(春風がのどかに吹くさま)(3)ほしいままにする。「放蕩息子ホウトウむすこ」(酒食にふけりほしいままに振る舞う息子。=蕩子トウシ)(4)[国]とろける(蕩ける)。個体がとけて液体となる。怒りなどがとけ心がやわらぐ。うっとりする。「蕩心トウシン」(心をまどわしとろかす)
盪 トウ・あらう・うごく 皿部
解字 「皿(うつわ)+湯(ゆ)」の会意形声。うつわを湯であらうこと。あらう意、また、あらうとき皿(うつわ)をうごかす意となる。
意味 (1)あらう(盪う)。あらいながす。「盪尽トウジン」(あらいながして、すっかりなくなる)「盪滌トウデキ」(あらいすすぐ。盪も滌も、あらう意)(2)うごかす(盪かす)・うごく(盪く)。ゆりうごかす。「盪舟トウシュウ」(①ふねをうごかす。②舟をゆさぶる)「震盪シントウ」(ふるえうごく)「脳震盪ノウシントウ」(頭部打撲などで生じる突発性の脳障害。失神・めまい・頭痛などが起こる)
瘍 ヨウ 疒部
解字 「疒(やまい)+昜(もちあがる)」の会意形声。皮膚がもちあがるできもの。
意味 できもの。悪性のはれもの。「腫瘍シュヨウ」(腫も瘍も、できものの意。良性と悪性がある)「潰瘍カイヨウ」(ただれくずれること)「胃潰瘍イカイヨウ」(胃壁の潰瘍)
形声字
腸 チョウ・はらわた・わた 月部にく
解字 「月(からだ)+昜(チョウ)」の形声。チョウは長チョウ(長い)に通じ、細長く伸びた「はらわた」(消化器官)のこと。腸と長とは推定上古音でも同音。
意味 はらわた(腸)。わた(腸)。消化器官のひとつ。「小腸ショウチョウ」(胃に続く細長い消化器官)「大腸ダイチョウ」(小腸に続く肛門までの消化器官)「胃腸イチョウ」
暢 チョウ・のびる 日部
解字 「申(イナズマが上から下へのびる)+昜(チョウ)」の形声。チョウは長チョウ(長い)に通じ、長くのびる意。
意味 (1)のびる。のびやか。「暢達チョウタツ」(のびのびとしていること)(2)よどみなく通る。「流暢リュウチョウ」(言葉使いによどみながい)
<紫色は常用漢字>
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昜 ヨウ 日部

解字 甲骨文は太陽とその上昇を示す T 字型からなる形で、日がのぼることを表している[甲骨文字辞典]。金文以降は太陽の光を表わす彡印をそえ「昜」の字形が整った。「日が高くあがる」意味をもつ。昜は単独で用いられることはなく、さまざまな部首と組み合わせて字が作られる。
意味 (1)あがる。日がのぼる。(2)明るい。日なた。あたたかい。
イメージ
「あがる太陽」(陽・場)
「あがる」(揚・楊・湯・蕩・盪・瘍)
「形声字」(腸・暢)
音の変化 ヨウ:陽・揚・楊・瘍 トウ:湯・蕩・盪 ジョウ:場 チョウ:腸・暢
あがる太陽
陽 ヨウ・ひ 阝部
解字 「阝(おか)+昜(あがる太陽)」の会意形声。あがる太陽の光が丘に当たる形。太陽の光の他、丘の日の当たる側、ひなたの意味を表わす。
意味 (1)ひ(陽)。日の光。「太陽タイヨウ」「陽光ヨウコウ」(2)ひなた。日のあたる。山の南側。「山陽サンヨウ」(①山の南側。⇔山陰。②山陽道の略)(3)あかるい。あたたかい。「陽春ヨウシュン」「陽気ヨウキ」(4)易の用語。主に男性的・積極的な性質をもつものを指す。対語: 陰。「陰陽インヨウ」
場 ジョウ・ば 土部
解字 「土(つち)+昜(あがる太陽)」の会意形声。あがってくる太陽を祭る儀式が行われる土地。
意味 (1)ば(場)。神を祭るための地。(2)ところ。事が行なわれる場所。「会場カイジョウ」「劇場ゲキジョウ」「戦場センジョウ」(3)とき。おり。「場合ばあい」「急場きゅうば」(4)劇の場面「一幕二場」
あがる
揚 ヨウ・あげる・あがる 扌部
解字 「扌(て)+昜(あがる)」の会意形声。手で高くあげること。
意味 (1)あげる(揚げる)。あがる(揚がる)。「揚力ヨウリョク」「掲揚ケイヨウ」(2)勢いがある。気分が高まる。「高揚コウヨウ」(3)地名。「揚州ヨウシュウ」(中国江蘇省の都市。長江北岸にあり大運河の出入り口。明・清時代には文化の中心地のひとつ)
楊 ヨウ・やなぎ 木部
解字 「木(き)+昜(あがる)」の会意形声。枝が上にあがって伸びるヤナギの木。
意味 (1)やなぎ(楊)。枝が垂れないコリヤナギなどをいう。「楊枝ヨウジ」(歯ぐきを掃除する小さな棒。もと楊材を用いたからという)「楊弓ヨウキュウ」(遊戯用の小さい弓。もと楊材を用いたからという)「楊柳ヨウリュウ」(やなぎの総称)(2)人の姓。「楊貴妃ヨウキヒ」(唐の玄宗皇帝に愛された美人)(3)「黄楊つげ=柘」とは、ツゲ科の常緑小高木。暖地の山地に自生し,また庭木とされる。材は黄色で堅く,櫛や印材として使われる。「黄楊の櫛くし」 ※「楊」は枝が上にあがるヤナギ、「柳」は枝が下に垂れるヤナギ。
湯 トウ・ゆ 氵部
解字 「氵(水)+昜(あがる)」の会意形声。勢いよく湯気をあげて沸きたった湯。
意味 (1)ゆ(湯)。水を沸かしたもの。また、風呂。「湯気ゆげ」「湯沐トウモク」(湯に浴し髪を洗う)「湯治トウジ」(温泉に浴して治療する)「熱湯ネットウ」「湯池トウチ」(熱湯の沸き立った池。「金城キンジョウ湯池トウチ(守りのかたい城)(2)人名。「湯王トウオウ」(殷の初代の王)
蕩 トウ 艸部
解字 「艸(くさ)+湯(=湯気。自由にゆれうごく)」の会意形声。草が自由に揺れ動くさまを、人や状態にたとえて言う。
意味 (1)ただよう。ゆれうごく。「蕩揺トウヨウ」(ゆれ動く、また、ゆり動かす)「震蕩シントウ」(ふるえうごく)(2)のびやか。「春風駘蕩シュンプウタイトウ」(春風がのどかに吹くさま)(3)ほしいままにする。「放蕩息子ホウトウむすこ」(酒食にふけりほしいままに振る舞う息子。=蕩子トウシ)(4)[国]とろける(蕩ける)。個体がとけて液体となる。怒りなどがとけ心がやわらぐ。うっとりする。「蕩心トウシン」(心をまどわしとろかす)
盪 トウ・あらう・うごく 皿部
解字 「皿(うつわ)+湯(ゆ)」の会意形声。うつわを湯であらうこと。あらう意、また、あらうとき皿(うつわ)をうごかす意となる。
意味 (1)あらう(盪う)。あらいながす。「盪尽トウジン」(あらいながして、すっかりなくなる)「盪滌トウデキ」(あらいすすぐ。盪も滌も、あらう意)(2)うごかす(盪かす)・うごく(盪く)。ゆりうごかす。「盪舟トウシュウ」(①ふねをうごかす。②舟をゆさぶる)「震盪シントウ」(ふるえうごく)「脳震盪ノウシントウ」(頭部打撲などで生じる突発性の脳障害。失神・めまい・頭痛などが起こる)
瘍 ヨウ 疒部
解字 「疒(やまい)+昜(もちあがる)」の会意形声。皮膚がもちあがるできもの。
意味 できもの。悪性のはれもの。「腫瘍シュヨウ」(腫も瘍も、できものの意。良性と悪性がある)「潰瘍カイヨウ」(ただれくずれること)「胃潰瘍イカイヨウ」(胃壁の潰瘍)
形声字
腸 チョウ・はらわた・わた 月部にく
解字 「月(からだ)+昜(チョウ)」の形声。チョウは長チョウ(長い)に通じ、細長く伸びた「はらわた」(消化器官)のこと。腸と長とは推定上古音でも同音。
意味 はらわた(腸)。わた(腸)。消化器官のひとつ。「小腸ショウチョウ」(胃に続く細長い消化器官)「大腸ダイチョウ」(小腸に続く肛門までの消化器官)「胃腸イチョウ」
暢 チョウ・のびる 日部
解字 「申(イナズマが上から下へのびる)+昜(チョウ)」の形声。チョウは長チョウ(長い)に通じ、長くのびる意。
意味 (1)のびる。のびやか。「暢達チョウタツ」(のびのびとしていること)(2)よどみなく通る。「流暢リュウチョウ」(言葉使いによどみながい)
<紫色は常用漢字>
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