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廷 テイ 廴部 tíng


上は廷テイ、下は𡈼テイ
解字 廷テイの篆文は「廴イン(えんにょう)+𡈼テイ(土盛り上の人)」の形。𡈼テイは甲骨文字からある字で、人が土盛りに乗ったさまを表している。字形は人(イ)と土のタテ画が重なって𡈼テイの字になった。意味は、まっすぐ立つ。つきでる。ぬきんでる意などとなる。後漢の[説文解字]は廷テイを「朝中也(朝廷の中なり)。廴インに従い𡈼テイの聲(声)」とし𡈼テイという名の朝廷の意、廴インはここでは区切られた場所の意。廷は宮中祭祀のおこなわれる場所であり、もとは屋根がない区切られた場所であった。さらに政務や裁判などをおこなう役所の意味にもなった。なお、現在の廷テイは𡈼テイでなく壬ジン(みずのえ)に誤った変化をしている。
意味 (1)にわ(廷)。仕切られた場所。「朝廷チョウテイ」(君主が政治をとりおこなう所)「廷議テイギ」(朝廷で協議する。=朝議)「廷臣テイシン」(朝廷に仕える臣下)「廷試テイシ」(朝廷で行う試験。科挙)(2)裁判を行なう所。「法廷ホウテイ」「廷史テイシ」「廷尉テイイ」(裁判を司る官)
イメージ
政務などを行なう「にわ」(廷・庭)
壬テイの意味である「ぬきんでる」(挺)
壬テイの意味である「まっすぐ」(艇・梃・霆・鋌)
「形声字」(蜓)
音の変化 テイ:廷・庭・挺・艇・梃・霆・鋌・蜓
にわ
庭 テイ・にわ 广部 tíng
解字 「广(やね)+廷(にわ)」 の会意形声。屋根がついたにわ。政務や裁判を行なう屋根つきの建物がもとの意味。日本では屋根のない庭園へと意味が変化した。ちなみに、中国では原義を保っており、日本の「法廷」を「法庭」と書く。
意味 (1)役所。「法庭ホウテイ」(=法廷)「掖庭エキテイ」(宮殿わきの殿舎。皇妃・宮女のいる後宮。掖エキは、わきの意)(2)家のホール。広間。家族がともに生活する場所。「家庭カテイ」「庭訓テイキン」(家庭での教育)(3)にわ(庭)。門を含む囲いから建物までの空地。物事を行なうひろびろとした所。「校庭コウテイ」(学校の建物と囲いの間の広い「にわ」)「庭燎テイリョウ」(庭のかがり火)(4)[国]にわ(庭)。草木を植え築山や池を配した所。「庭園テイエン」「庭師にわシ」(庭を造り手入れする職人)
ぬきんでる
挺 テイ・ぬきんでる 扌部 tǐng
解字 「扌(手)+廷(=𡈼テイ。ぬきんでる)」 の会意形声。手の動作で人よりぬきんでること。
意味 (1)ぬく(挺く)。ぬきんでる(挺んでる)。人より先にでる。「挺進テイシン」(先にたって進む。抜きんでて進む)「挺身テイシン」(身を投げ出して事を行なう)「挺然テイゼン」(ぬきんでているさま)「挺身隊テイシンタイ」(危険な任務を遂行するため身を投げうつ覚悟で組織された部隊)
まっすぐ
艇 テイ 舟部 tǐng
解字 「舟(ふね)+廷(=𡈼テイ。まっすぐ)」 の会意形声。先がとがってまっすぐ伸びた小型の舟。
意味 こぶね。はしけ(本船と陸とを結ぶ小舟)。ボート。「競艇キョウテイ」「漕艇ソウテイ」(ボートをこぐ)「艇身テイシン」(ボートの全長)「艦艇カンテイ」(大小各種の軍艦)
梃 テイ・てこ 木部 tǐng・tìng
解字 「木(木の棒)+廷(=𡈼テイ。まっすぐ)」 の会意形声。まっすぐな木の棒。杖や棒の意であるが、日本では、棒を物の下につきさして重いものを動かす「てこ」の意に使う。
意味 (1)つえ。ぼう。こん棒。「梃杖テイジョウ」(つえ)「木梃モクテイ」(木の棒)「梃撃テイゲキ」(棒でうつ)(2)[国]てこ(梃)。梃子とも書く。重いものを手でこじ上げるのに用いる棒。「梃入(てこい)れ」「梃子(てこ)ずる」(もてあます)
霆 テイ・ジョウ・いかずち 雨部 tíng
解字 「雨(あめ)+廷(まっすぐ)」の会意形声。雨の中をまっすぐ伸びるカミナリ。
意味 (1)いかずち(霆)。かみなり。いなづま。「霆雷テイライ」(はげしい雷)「霆撃テイゲキ」(いなづまのような素早い攻撃)(2)(かみなりの音が)とどろく。「霆駭テイガイ」(遠くまでとどろく)「霆震テイシン」(とどろく雷鳴)
鋌 テイ 金部 tǐng・dìng
解字 「金(金属)+廷(まっすぐ)」の会意形声。金属を溶かしてまっすぐな板状にしたもの。
意味 (1)のべがね。銅や鉄を溶かして長い板状にしたもの。「鉄鋌テッテイ」(短冊形の板に規格化された鉄素材。日本の古墳から出土し、朝鮮半島から導入された鉄素材。古代日本の鉄の製錬と鉄器の生産に大きな変革を起こした)(2)あらがね。(3)鏃やじりで矢の竹柄にさしこむ部分。「箭鋌センテイ」(箭は矢、鋌は鏃やじりのさしこみ部)
形声字
蜓 テイ 虫部 tíng
解字 「虫(むし)+廷(テイ)」の形声。テイという名の虫。
意味 「蜻蜓セイテイ」に使われる字。「蜻蜓セイテイ」とは、トンボ目の昆虫。ヤンマの別名。飛行範囲が広い。「蜻蛉セイレイ」は飛行範囲がせまい。
<紫色は常用漢字>
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廷 テイ 廴部 tíng


上は廷テイ、下は𡈼テイ
解字 廷テイの篆文は「廴イン(えんにょう)+𡈼テイ(土盛り上の人)」の形。𡈼テイは甲骨文字からある字で、人が土盛りに乗ったさまを表している。字形は人(イ)と土のタテ画が重なって𡈼テイの字になった。意味は、まっすぐ立つ。つきでる。ぬきんでる意などとなる。後漢の[説文解字]は廷テイを「朝中也(朝廷の中なり)。廴インに従い𡈼テイの聲(声)」とし𡈼テイという名の朝廷の意、廴インはここでは区切られた場所の意。廷は宮中祭祀のおこなわれる場所であり、もとは屋根がない区切られた場所であった。さらに政務や裁判などをおこなう役所の意味にもなった。なお、現在の廷テイは𡈼テイでなく壬ジン(みずのえ)に誤った変化をしている。
意味 (1)にわ(廷)。仕切られた場所。「朝廷チョウテイ」(君主が政治をとりおこなう所)「廷議テイギ」(朝廷で協議する。=朝議)「廷臣テイシン」(朝廷に仕える臣下)「廷試テイシ」(朝廷で行う試験。科挙)(2)裁判を行なう所。「法廷ホウテイ」「廷史テイシ」「廷尉テイイ」(裁判を司る官)
イメージ
政務などを行なう「にわ」(廷・庭)
壬テイの意味である「ぬきんでる」(挺)
壬テイの意味である「まっすぐ」(艇・梃・霆・鋌)
「形声字」(蜓)
音の変化 テイ:廷・庭・挺・艇・梃・霆・鋌・蜓
にわ
庭 テイ・にわ 广部 tíng
解字 「广(やね)+廷(にわ)」 の会意形声。屋根がついたにわ。政務や裁判を行なう屋根つきの建物がもとの意味。日本では屋根のない庭園へと意味が変化した。ちなみに、中国では原義を保っており、日本の「法廷」を「法庭」と書く。
意味 (1)役所。「法庭ホウテイ」(=法廷)「掖庭エキテイ」(宮殿わきの殿舎。皇妃・宮女のいる後宮。掖エキは、わきの意)(2)家のホール。広間。家族がともに生活する場所。「家庭カテイ」「庭訓テイキン」(家庭での教育)(3)にわ(庭)。門を含む囲いから建物までの空地。物事を行なうひろびろとした所。「校庭コウテイ」(学校の建物と囲いの間の広い「にわ」)「庭燎テイリョウ」(庭のかがり火)(4)[国]にわ(庭)。草木を植え築山や池を配した所。「庭園テイエン」「庭師にわシ」(庭を造り手入れする職人)
ぬきんでる
挺 テイ・ぬきんでる 扌部 tǐng
解字 「扌(手)+廷(=𡈼テイ。ぬきんでる)」 の会意形声。手の動作で人よりぬきんでること。
意味 (1)ぬく(挺く)。ぬきんでる(挺んでる)。人より先にでる。「挺進テイシン」(先にたって進む。抜きんでて進む)「挺身テイシン」(身を投げ出して事を行なう)「挺然テイゼン」(ぬきんでているさま)「挺身隊テイシンタイ」(危険な任務を遂行するため身を投げうつ覚悟で組織された部隊)
まっすぐ
艇 テイ 舟部 tǐng
解字 「舟(ふね)+廷(=𡈼テイ。まっすぐ)」 の会意形声。先がとがってまっすぐ伸びた小型の舟。
意味 こぶね。はしけ(本船と陸とを結ぶ小舟)。ボート。「競艇キョウテイ」「漕艇ソウテイ」(ボートをこぐ)「艇身テイシン」(ボートの全長)「艦艇カンテイ」(大小各種の軍艦)
梃 テイ・てこ 木部 tǐng・tìng
解字 「木(木の棒)+廷(=𡈼テイ。まっすぐ)」 の会意形声。まっすぐな木の棒。杖や棒の意であるが、日本では、棒を物の下につきさして重いものを動かす「てこ」の意に使う。
意味 (1)つえ。ぼう。こん棒。「梃杖テイジョウ」(つえ)「木梃モクテイ」(木の棒)「梃撃テイゲキ」(棒でうつ)(2)[国]てこ(梃)。梃子とも書く。重いものを手でこじ上げるのに用いる棒。「梃入(てこい)れ」「梃子(てこ)ずる」(もてあます)
霆 テイ・ジョウ・いかずち 雨部 tíng
解字 「雨(あめ)+廷(まっすぐ)」の会意形声。雨の中をまっすぐ伸びるカミナリ。
意味 (1)いかずち(霆)。かみなり。いなづま。「霆雷テイライ」(はげしい雷)「霆撃テイゲキ」(いなづまのような素早い攻撃)(2)(かみなりの音が)とどろく。「霆駭テイガイ」(遠くまでとどろく)「霆震テイシン」(とどろく雷鳴)
鋌 テイ 金部 tǐng・dìng
解字 「金(金属)+廷(まっすぐ)」の会意形声。金属を溶かしてまっすぐな板状にしたもの。
意味 (1)のべがね。銅や鉄を溶かして長い板状にしたもの。「鉄鋌テッテイ」(短冊形の板に規格化された鉄素材。日本の古墳から出土し、朝鮮半島から導入された鉄素材。古代日本の鉄の製錬と鉄器の生産に大きな変革を起こした)(2)あらがね。(3)鏃やじりで矢の竹柄にさしこむ部分。「箭鋌センテイ」(箭は矢、鋌は鏃やじりのさしこみ部)
形声字
蜓 テイ 虫部 tíng
解字 「虫(むし)+廷(テイ)」の形声。テイという名の虫。
意味 「蜻蜓セイテイ」に使われる字。「蜻蜓セイテイ」とは、トンボ目の昆虫。ヤンマの別名。飛行範囲が広い。「蜻蛉セイレイ」は飛行範囲がせまい。
<紫色は常用漢字>
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