増訂しました。
闌 ラン・たけなわ 門部 lán


上は闌ラン、下は間カン
解字 下の間カンの金文は門のとびらの隙間から月の光がさしこんでいる形の象形。ほそい隙間を表わす。篆文以後は月が門の中に入り込んだ。ほそい隙間・あいだ(間)の意を表わす。新字体で門の内側が日に変化した。一方、上の闌ランの金文は「音符(柬カン⇒ラン)+間の旧字(ほそい隙間)」の形声。細いすき間が、行く手をさえぎることを闌ランという。篆文から「門+柬カン⇒ラン」の闌ランとなった。後漢の[説文解字]は「門を遮(さえぎ)る也(なり)。門に従い柬ランの聲(声)」とし、さえぎる意とする。なお、柬カンは、えらぶ・えりわける意だが、発音がランに変化して音符のみを表している。闌の音符字の新字体は、柬⇒東に変化する。
意味 (1)さえぎる(闌る)。ふせぐ。(2)てすり(=欄)。「闌干ランカン」(=欄干)(3)たけなわ(闌)。(=爛)。さかりの時。また、さかりの過ぎた時。爛ランは、火で煮る意で「さかり・さかん」の意味があるが、「ただれる」という意味に用いるので、闌に「たけなわ」を当てる。「闌夜ランヤ」(夜のたけなわ。深夜)「酒闌シュラン」(酒宴がさかりの時)(4)(出入りの禁を犯す)みだれる。みだりに。「闌入ランニュウ」(みだりに入る)「闌出ランシュツ」(財物をみだりに出す)
イメージ
「さえぎる」(闌・欄・襴・瀾・蘭)
「形声字」(爛)
音の変化 ラン:闌・欄・襴・瀾・蘭・爛
さえぎる
欄 ラン 木部 lán
解字 旧字は欄で「木(き)+闌(さえぎる)」 の会意形声。行く手をさえぎるように作られた木のてすり。また、てすりで囲った、かこい・わくの意となる。新字体は、柬⇒東に変化した欄。

宇治川朝霧橋の欄干
意味 (1)手すり。「欄干ランカン」(2)かこい。わく。しきり。「欄外ランガイ」「空欄クウラン」(3)「欄間ランマ」とは、日本間の天井と鴨居の間に設けた空間。格子や透かし彫りなどがつけてある。
襴 ラン・ひとえ 衣部 lán
解字 「衣(ころも)+闌(=欄:わく)」 の会意形声。衣の上下が同じ枠の中にある着物。すなわち、上衣とそれに続く裳(スカート)がつながったひとえものをいう。
意味 (1)衣と裳を連ねたひとえもの。ひとえ。「襴袍ランポウ」(朝廷に出仕するときに着用した衣服)(2)ふちどりを加えた裳裾もすそ。「襴衫ランサン」(すそ飾りのある裳の服)(3)「金襴キンラン」とは、金糸を緯糸(よこいと)に織り込んで模様を表した織物。京都の西陣織が有名)
瀾 ラン・なみ 氵部 lán
解字 「氵(水)+闌(さえぎる)」 の会意形声。行く手をさえぎるような高い波。
意味 なみ(瀾)。おおなみ。波頭を連ねたなみ。「波瀾ハラン」(大小の波。変化・曲折)「狂瀾キョウラン」(荒れ狂う大波。大混乱した状況)「瀾汗ランカン」(①波の大きくうねるさま、②涙のはらはら流れるさま)
蘭 ラン 艸部 lán
解字 旧字は「艸(草)+闌(さえぎる)」 の会意形声。花の香りが虫をさえぎり、虫除けになる草花。新字体に準じて、柬⇒東に変化した蘭が使われる。

蘭草ふじばかま(「フリー写真素材・蘭草」より)
意味 (1)菊科の香草。和名はふじばかま(藤袴)。「蘭草ふじばかま」(キク科の多年草。秋の七草のひとつ。乾燥した茎や葉は芳香を放つ)(2)らん(蘭)。ラン科の多年草の総称。花は美しく香気があり、観賞用として栽培される。「胡蝶蘭コチョウラン」(白い美しい花をつける蘭)「蘭交ランコウ」(ランの花のように美しいつきあい。親友のまじわり)「蘭麝ランジャ」(蘭の花と麝香ジャコウの香り。よい香りのこと)(3)(蘭の香りが虫除けになることから)書庫・文書を扱う役所。「蘭台ランダイ」(尚書省などの異称)(4)[国名]和蘭(オランダ)の略。「蘭学ランガク」(5)梵語の音訳字。「盂蘭盆ウラボン」とは、陰暦7月13~15日に祖先の霊をまつる仏教行事)
形声字
爛 ラン・ただれる 火部 làn
解字 「火(ひ)+闌(ラン)」 の形声。宋代の[廣韻]は「火で熟(に)るを爛ラン」とする。転じて、ただれる意となる。また、蘭ラン(美しい花)に通じ、火のように明るく輝く美しい花を例えて言う。
意味 (1)ただれる(爛れる)。煮くずれる。うれすぎる。「爛熟ランジュク」(①熟しすぎること。②極限まで発達する)「爛額ランガク」(額が焼けただれること)(2)あざやか。はなやか。かがやく。「絢爛ケンラン」(きらびやかで美しい)「爛漫ランマン」(花が咲きほこるさま)「百花爛漫ヒャッカランマン」「爛爛ランラン」(①きらきらかがやくさま。②眼光がするどく光る)(3)たけなわ。さかりのとき。闌ラン(たけなわ)が受け持つ。
<紫色は常用漢字>
闌 ラン・たけなわ 門部 lán


上は闌ラン、下は間カン
解字 下の間カンの金文は門のとびらの隙間から月の光がさしこんでいる形の象形。ほそい隙間を表わす。篆文以後は月が門の中に入り込んだ。ほそい隙間・あいだ(間)の意を表わす。新字体で門の内側が日に変化した。一方、上の闌ランの金文は「音符(柬カン⇒ラン)+間の旧字(ほそい隙間)」の形声。細いすき間が、行く手をさえぎることを闌ランという。篆文から「門+柬カン⇒ラン」の闌ランとなった。後漢の[説文解字]は「門を遮(さえぎ)る也(なり)。門に従い柬ランの聲(声)」とし、さえぎる意とする。なお、柬カンは、えらぶ・えりわける意だが、発音がランに変化して音符のみを表している。闌の音符字の新字体は、柬⇒東に変化する。
意味 (1)さえぎる(闌る)。ふせぐ。(2)てすり(=欄)。「闌干ランカン」(=欄干)(3)たけなわ(闌)。(=爛)。さかりの時。また、さかりの過ぎた時。爛ランは、火で煮る意で「さかり・さかん」の意味があるが、「ただれる」という意味に用いるので、闌に「たけなわ」を当てる。「闌夜ランヤ」(夜のたけなわ。深夜)「酒闌シュラン」(酒宴がさかりの時)(4)(出入りの禁を犯す)みだれる。みだりに。「闌入ランニュウ」(みだりに入る)「闌出ランシュツ」(財物をみだりに出す)
イメージ
「さえぎる」(闌・欄・襴・瀾・蘭)
「形声字」(爛)
音の変化 ラン:闌・欄・襴・瀾・蘭・爛
さえぎる
欄 ラン 木部 lán
解字 旧字は欄で「木(き)+闌(さえぎる)」 の会意形声。行く手をさえぎるように作られた木のてすり。また、てすりで囲った、かこい・わくの意となる。新字体は、柬⇒東に変化した欄。

宇治川朝霧橋の欄干
意味 (1)手すり。「欄干ランカン」(2)かこい。わく。しきり。「欄外ランガイ」「空欄クウラン」(3)「欄間ランマ」とは、日本間の天井と鴨居の間に設けた空間。格子や透かし彫りなどがつけてある。
襴 ラン・ひとえ 衣部 lán
解字 「衣(ころも)+闌(=欄:わく)」 の会意形声。衣の上下が同じ枠の中にある着物。すなわち、上衣とそれに続く裳(スカート)がつながったひとえものをいう。
意味 (1)衣と裳を連ねたひとえもの。ひとえ。「襴袍ランポウ」(朝廷に出仕するときに着用した衣服)(2)ふちどりを加えた裳裾もすそ。「襴衫ランサン」(すそ飾りのある裳の服)(3)「金襴キンラン」とは、金糸を緯糸(よこいと)に織り込んで模様を表した織物。京都の西陣織が有名)
瀾 ラン・なみ 氵部 lán
解字 「氵(水)+闌(さえぎる)」 の会意形声。行く手をさえぎるような高い波。
意味 なみ(瀾)。おおなみ。波頭を連ねたなみ。「波瀾ハラン」(大小の波。変化・曲折)「狂瀾キョウラン」(荒れ狂う大波。大混乱した状況)「瀾汗ランカン」(①波の大きくうねるさま、②涙のはらはら流れるさま)
蘭 ラン 艸部 lán
解字 旧字は「艸(草)+闌(さえぎる)」 の会意形声。花の香りが虫をさえぎり、虫除けになる草花。新字体に準じて、柬⇒東に変化した蘭が使われる。

蘭草ふじばかま(「フリー写真素材・蘭草」より)
意味 (1)菊科の香草。和名はふじばかま(藤袴)。「蘭草ふじばかま」(キク科の多年草。秋の七草のひとつ。乾燥した茎や葉は芳香を放つ)(2)らん(蘭)。ラン科の多年草の総称。花は美しく香気があり、観賞用として栽培される。「胡蝶蘭コチョウラン」(白い美しい花をつける蘭)「蘭交ランコウ」(ランの花のように美しいつきあい。親友のまじわり)「蘭麝ランジャ」(蘭の花と麝香ジャコウの香り。よい香りのこと)(3)(蘭の香りが虫除けになることから)書庫・文書を扱う役所。「蘭台ランダイ」(尚書省などの異称)(4)[国名]和蘭(オランダ)の略。「蘭学ランガク」(5)梵語の音訳字。「盂蘭盆ウラボン」とは、陰暦7月13~15日に祖先の霊をまつる仏教行事)
形声字
爛 ラン・ただれる 火部 làn
解字 「火(ひ)+闌(ラン)」 の形声。宋代の[廣韻]は「火で熟(に)るを爛ラン」とする。転じて、ただれる意となる。また、蘭ラン(美しい花)に通じ、火のように明るく輝く美しい花を例えて言う。
意味 (1)ただれる(爛れる)。煮くずれる。うれすぎる。「爛熟ランジュク」(①熟しすぎること。②極限まで発達する)「爛額ランガク」(額が焼けただれること)(2)あざやか。はなやか。かがやく。「絢爛ケンラン」(きらびやかで美しい)「爛漫ランマン」(花が咲きほこるさま)「百花爛漫ヒャッカランマン」「爛爛ランラン」(①きらきらかがやくさま。②眼光がするどく光る)(3)たけなわ。さかりのとき。闌ラン(たけなわ)が受け持つ。
<紫色は常用漢字>