(毎日新聞 2009年11月15日 地方版)
生活困窮がアイヌ民族への差別を助長している問題に関連し、先日、北海道アイヌ協会千歳支部支部長の中村吉雄さん(60)から興味深い話を聞いた。
それは無担保で小口貸し付けをするマイクロクレジット構想だ。働く意欲や技術を持つ人々の貧困救済に努め、06年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのグラミン銀行のような制度をアイヌ民族間で作りたいという。もちろん、資金調達の方法など課題はあるが、実現の可能性について、長年同国でフィールドワークを続けてきた坪井ひろみ秋田大准教授は、制度が成り立つ条件である共通文化や共感の土壌、自立への意欲がアイヌ民族社会にあることを踏まえ、「グラミン銀行の哲学を忠実に反映する日本初の素晴らしいものになると思う」と太鼓判を押す。
中村さんは「アイヌ民族で良かったと思える状況にしたい。生活に満足していないと、そうは思えないですから」と話す。アイヌ民族に限らず、貧困は次世代へと再生産されていくことは各種調査で明らかだ。この構想は決して思い付きではなく、中村さんが長年温めてきた夢。貧困の連鎖を食い止める方法の一つとして、ぜひ、応援したいと思う。【中川紗矢子】
記者ブログはhttps://my-mai.mainichi.co.jp/mymai/modules/hokkaido43/
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20091115ddlk01070028000c.html
生活困窮がアイヌ民族への差別を助長している問題に関連し、先日、北海道アイヌ協会千歳支部支部長の中村吉雄さん(60)から興味深い話を聞いた。
それは無担保で小口貸し付けをするマイクロクレジット構想だ。働く意欲や技術を持つ人々の貧困救済に努め、06年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのグラミン銀行のような制度をアイヌ民族間で作りたいという。もちろん、資金調達の方法など課題はあるが、実現の可能性について、長年同国でフィールドワークを続けてきた坪井ひろみ秋田大准教授は、制度が成り立つ条件である共通文化や共感の土壌、自立への意欲がアイヌ民族社会にあることを踏まえ、「グラミン銀行の哲学を忠実に反映する日本初の素晴らしいものになると思う」と太鼓判を押す。
中村さんは「アイヌ民族で良かったと思える状況にしたい。生活に満足していないと、そうは思えないですから」と話す。アイヌ民族に限らず、貧困は次世代へと再生産されていくことは各種調査で明らかだ。この構想は決して思い付きではなく、中村さんが長年温めてきた夢。貧困の連鎖を食い止める方法の一つとして、ぜひ、応援したいと思う。【中川紗矢子】
記者ブログはhttps://my-mai.mainichi.co.jp/mymai/modules/hokkaido43/
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20091115ddlk01070028000c.html