(毎日新聞 2009年11月20日 地方版)
◇支援拡充前に改革を
北海道アイヌ協会(加藤忠理事長)や同協会支部が実施する国や道の委託事業をめぐり、不適切な会計処理などが相次いで発覚している。19日は、助成金を過大請求している疑いがあるなどとして道が、道アイヌ協会釧路支部に緊急の立ち入り調査を実施した。今年7月にまとまった政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の報告書を受け、アイヌへの生活支援策などが拡充される見通しだが、道議会内には「全国に支援策が拡充されれば、(現体制では)混乱する恐れがある」などと指摘する声も出ている。
これまでに不適切な会計処理や不透明な事業運営などが道議会で指摘されたのは道アイヌ協会のほか、札幌▽釧路▽羅臼の同協会支部と釧路市のアイヌ文化団体。国や道、財団法人「アイヌ文化振興・研究推進機構」(札幌市)からの委託事業で不適切な会計処理などが指摘されているほか、羅臼支部では不自然な会員数の増減があるなどとして、生活支援策の受益者となるアイヌの個人認定のあり方が問題になった。
道アイヌ協会をめぐっては「民俗文化財保存・伝承活動事業」で、無料の会場で講座を開催したにもかかわらず、会場経費を計上するなど不適切な会計処理の疑いが指摘されている。このほか、道の修学資金等貸付制度は07年度までに貸し付けを受けた986人24億9000万円のうち21億円が返還免除になっている。免除規定が幅広く貸し付けの大半が返還されない状況に、道は返還を前提とする制度に変更する方針を示している。
これらの問題を道議会で追及している自民党・道民会議の小野寺秀氏(帯広市)は「(現在の委託事業は)一部のアイヌだけが得をする仕組みになっている。多くのアイヌの人たちのためになる政策に戻す必要がある」と指摘。また、同日立ち入り調査を受けた道アイヌ協会釧路支部は「ノーコメント」と話した。【鈴木勝一、山田泰雄】
==============
◇道議会で指摘された主な問題点◇
<道>
▽修学資金等貸付制度
貸付金24億9000万円のうち21億円が返還免除
<道アイヌ協会>
▽民俗文化財保存・伝承活動事業
無料会場の経費計上など不適切な会計処理の疑い
<同札幌支部>
▽職業訓練
材料費の水増しなど不適切な会計処理。支部が道に約47万円を返還へ
<同釧路支部>
▽慰霊祭など3事業
慰霊祭の踊り手の人数を水増しした疑い
<同羅臼支部>
▽会員数の不自然な増減
96年に2人の会員数が97年に279人に。02年は74人に減少
<釧路市のアイヌ文化団体>
▽海外訪問の助成事業
旅費約160万円を過大請求。すでにアイヌ文化振興・研究推進機構に返還
※かっこ内は事業実施主体
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20091120ddlk01040239000c.html
◇支援拡充前に改革を
北海道アイヌ協会(加藤忠理事長)や同協会支部が実施する国や道の委託事業をめぐり、不適切な会計処理などが相次いで発覚している。19日は、助成金を過大請求している疑いがあるなどとして道が、道アイヌ協会釧路支部に緊急の立ち入り調査を実施した。今年7月にまとまった政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の報告書を受け、アイヌへの生活支援策などが拡充される見通しだが、道議会内には「全国に支援策が拡充されれば、(現体制では)混乱する恐れがある」などと指摘する声も出ている。
これまでに不適切な会計処理や不透明な事業運営などが道議会で指摘されたのは道アイヌ協会のほか、札幌▽釧路▽羅臼の同協会支部と釧路市のアイヌ文化団体。国や道、財団法人「アイヌ文化振興・研究推進機構」(札幌市)からの委託事業で不適切な会計処理などが指摘されているほか、羅臼支部では不自然な会員数の増減があるなどとして、生活支援策の受益者となるアイヌの個人認定のあり方が問題になった。
道アイヌ協会をめぐっては「民俗文化財保存・伝承活動事業」で、無料の会場で講座を開催したにもかかわらず、会場経費を計上するなど不適切な会計処理の疑いが指摘されている。このほか、道の修学資金等貸付制度は07年度までに貸し付けを受けた986人24億9000万円のうち21億円が返還免除になっている。免除規定が幅広く貸し付けの大半が返還されない状況に、道は返還を前提とする制度に変更する方針を示している。
これらの問題を道議会で追及している自民党・道民会議の小野寺秀氏(帯広市)は「(現在の委託事業は)一部のアイヌだけが得をする仕組みになっている。多くのアイヌの人たちのためになる政策に戻す必要がある」と指摘。また、同日立ち入り調査を受けた道アイヌ協会釧路支部は「ノーコメント」と話した。【鈴木勝一、山田泰雄】
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◇道議会で指摘された主な問題点◇
<道>
▽修学資金等貸付制度
貸付金24億9000万円のうち21億円が返還免除
<道アイヌ協会>
▽民俗文化財保存・伝承活動事業
無料会場の経費計上など不適切な会計処理の疑い
<同札幌支部>
▽職業訓練
材料費の水増しなど不適切な会計処理。支部が道に約47万円を返還へ
<同釧路支部>
▽慰霊祭など3事業
慰霊祭の踊り手の人数を水増しした疑い
<同羅臼支部>
▽会員数の不自然な増減
96年に2人の会員数が97年に279人に。02年は74人に減少
<釧路市のアイヌ文化団体>
▽海外訪問の助成事業
旅費約160万円を過大請求。すでにアイヌ文化振興・研究推進機構に返還
※かっこ内は事業実施主体
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20091120ddlk01040239000c.html