北海道新聞 07/08 19:31 更新
丸木舟制作のために伐倒するカツラの大木の前で行われたカムイノミ(小松巧撮影)(北海道新聞)
【阿寒湖温泉、弟子屈】釧路市阿寒町阿寒湖温泉地区の木彫師8人が、アイヌ民族の伝統儀式などに使う丸木舟の制作に取り組む。同地区で丸木舟が制作されるのは約20年ぶり。8日には材料となるカツラの大木を伐倒するため、弟子屈町内の国有林の木の前で、神への祈りの儀式カムイノミが行われ、関係者が作業の成功を祈願した。
国のアイヌ政策推進交付金を活用する「アイヌ工芸技術後継者育成事業」の一環。釧路市がアイヌ民族の工芸技術を継承するため、阿寒アイヌ工芸組合に制作を委託した。
カツラの木は高さ24メートル、直径96センチ。根釧西部森林管理署の協力で見つけ、市が材料として購入した。同地区で丸木舟はまりも祭りなどさまざまな儀式で日常的に使うが、現在のものは老朽化。本年度中に新しい1艘(そう)と舟の櫂(かい)など用具も作り、来年度の儀式での活用を計画している。
カムイノミで祭司を務めた秋辺日出男さんは「木は人間の都合で切らせていただくが、丸木舟という女神に生まれ変わっていく」と述べ、木への感謝の思いを伝えた。制作の指導役を務めるのは約20年前に先人たちに丸木舟造りを教わった床州生(とこしゅうせい)さん(55)で、木にまさかりを入れて、祭具イナウ(木幣)を立てて成功へ祈りを込めた。床さんは「真っすぐ伸びた奇跡に近い木で、間近で見て畏怖(いふ)の念を抱いた。制作を通じて釧路市、北海道全体にアイヌ文化を広めていきたい」と話した。木彫師7人と共に技術を伝承しながら制作する。制作に参加する渡辺澄夫さん(59)は「初めてのことなので楽しみ」と期待を寄せた。12日に伐倒し、14日に同地区に運搬を予定する。(伊藤美穂)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/564896
丸木舟制作のために伐倒するカツラの大木の前で行われたカムイノミ(小松巧撮影)(北海道新聞)
【阿寒湖温泉、弟子屈】釧路市阿寒町阿寒湖温泉地区の木彫師8人が、アイヌ民族の伝統儀式などに使う丸木舟の制作に取り組む。同地区で丸木舟が制作されるのは約20年ぶり。8日には材料となるカツラの大木を伐倒するため、弟子屈町内の国有林の木の前で、神への祈りの儀式カムイノミが行われ、関係者が作業の成功を祈願した。
国のアイヌ政策推進交付金を活用する「アイヌ工芸技術後継者育成事業」の一環。釧路市がアイヌ民族の工芸技術を継承するため、阿寒アイヌ工芸組合に制作を委託した。
カツラの木は高さ24メートル、直径96センチ。根釧西部森林管理署の協力で見つけ、市が材料として購入した。同地区で丸木舟はまりも祭りなどさまざまな儀式で日常的に使うが、現在のものは老朽化。本年度中に新しい1艘(そう)と舟の櫂(かい)など用具も作り、来年度の儀式での活用を計画している。
カムイノミで祭司を務めた秋辺日出男さんは「木は人間の都合で切らせていただくが、丸木舟という女神に生まれ変わっていく」と述べ、木への感謝の思いを伝えた。制作の指導役を務めるのは約20年前に先人たちに丸木舟造りを教わった床州生(とこしゅうせい)さん(55)で、木にまさかりを入れて、祭具イナウ(木幣)を立てて成功へ祈りを込めた。床さんは「真っすぐ伸びた奇跡に近い木で、間近で見て畏怖(いふ)の念を抱いた。制作を通じて釧路市、北海道全体にアイヌ文化を広めていきたい」と話した。木彫師7人と共に技術を伝承しながら制作する。制作に参加する渡辺澄夫さん(59)は「初めてのことなので楽しみ」と期待を寄せた。12日に伐倒し、14日に同地区に運搬を予定する。(伊藤美穂)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/564896